北方宗一の軍事語り #6 地味。だがかなり強い。西部方面普通科連隊
今回は短め。西部方面普通科連隊です。
普通科。それは自衛隊の基礎たる『歩兵』のことである。
先ずそのことを頭に入れておきましょう。
最近、自衛隊を海兵隊的な運用ができるようにする方針が立ちましたが、その先陣を切ったのがこの西部方面普通科連隊―通称WAiRです。
西部方面普通科連隊はその名の通り歩兵連隊で、組織自体の歴史は2002年から。不安定の弧の反対側にある九州・沖縄地方は離島が多く、通常の防衛という方法ではまず対応できないため、奪われた離島の奪還を目的とした強襲制圧部隊として設立されたのです。佐世保という立地は海上自衛隊やアメリカ海軍との合同作戦といった点で有意であるためです。また、小規模ゲリラによる攪乱に対応できるように訓練が行われています。しかし、訓練が想像以上に過酷だったのか設立してすぐに自殺者を3名も出すという事態が発生。国会議員が査察に来る騒ぎにもなりました。
装備は一般の陸自部隊と同じで89式小銃にミニミ、9ミリ拳銃や9ミリ機関拳銃、対人狙撃銃M24SWSを装備しています。
全体的に揚陸戦を前提とした訓練を行っており、アメリカ海兵隊との合同訓練であるアイアンフィストを行っています。ヘリから投下されたゴムボートや、潜水具を用いるそのスタイルは、第一空挺団が空挺特化であるのと対照的です。
全体的には海兵隊の中でも武装強行偵察部隊フォースリーコンの性質が近いと言えます。さらにアメリカ海軍のSEALsやイギリスのSBSの影響も若干見受けられます。
本部が長崎にあることもあって海上自衛隊佐世保基地との関係が深く、潜入に必要な潜水能力を海自から指導を受け、基地警備に必要な陸戦のノウハウを指導するという関係のようです。
正しくは特殊部隊ではない西部方面普通科連隊。国境線に近い離島の多い中国・九州・沖縄の防衛、奪還作戦の要になるであろうこの部隊の重要性は日に日に強烈になっていくのです。