北方宗一の軍事語り #5 最強を目指して 特殊作戦群
今回は自衛隊最強の部隊に関して。
意外とわかってること多いですよね。
自衛隊の特殊部隊として、多くの人が思い描くのは陸上自衛隊の精鋭が集まるとされる習志野の第1空挺団でしょう。日本唯一の空挺部隊である第1空挺団は、戦前戦中の挺身集団、戦後のアメリカ軍第187空挺連隊「ラッカサンズ」といった空挺部隊のメッカである船橋市の習志野駐屯地に所属しています。
そんな彼らの下から分派したのが今回取り上げる陸上自衛隊特殊作戦群SFGpとなります。
もともと、第1空挺団は自衛隊の前線を切り開く軽歩兵部隊として企画されたということもあって、対ゲリラコマンドとしての性質も持っていました。しかし、近年のテロ攻撃の傾向では、より特化した組織が必要と判断され研究が始まりました。
特殊作戦群が目指すのはアメリカ陸軍のグリーンベレーやデルタフォースといった精鋭特殊部隊。
一応ロイヤルSASも参考にしたものの、訓練が過酷すぎるために断念したと言います。デルタも過酷さでは群を抜くと言われますが、SATがSASの訓練を導入したのに対し空挺が一時は訓練の受け入れ拒否をしたという逸話から、どうも鍛えるベクトルが違うと考えるのが妥当でしょう。
SFGpの訓練の詳細は知られていませんが、的の隣に隊員を立たせて的を撃ち抜く。アメリカの民間軍事警備会社に隊員がアルバイトとして参加するなど、正気じゃないことが行われているようです。
装備に関しては、SAT以上にわかっているというのが不思議です。89式は折り曲げ銃床式。M4A1も装備し、EoTec社のホロサイトを搭載しています。拳銃はUSP。サブマシンガンとしてMP7を導入。SIGからも拳銃を導入していると資料にはあります。バレットの対物狙撃銃、ウィルソンのM870カスタムショットガン、H&Kの特殊小銃の装備も資料にはあります。.45ACPの特殊拳銃というトキメキを感じさせる文字列もあります。どのような銃なのかはよくわからずMk.23とか先述のUSPだとも言われています。特殊小銃はHK416といわれています。わざわざHK33やG3、G36を導入してもうまみがないことを考えると妥当といえます。
また、隊員の素性が不明なのも特徴です。これはオウム事件が原因の一つとなっています。オウム真理教は過去に第一空挺団の団長の娘に接触し篭絡、人質にとるという計画を練っていました。この計画が後に判明したこともあって、もしもの時に人質を取られ作戦行動に支障が出ないように隊員の素性を隠し本人と家族を保護する意図があります。また、反自衛隊活動家による妨害を防ぐ意図もあるようです。
特殊作戦群はその全貌が不明な組織です。過酷な法に触れるギリギリのレベルの訓練。実戦経験の共有のためのPMC参加。専用の特殊装備。真相は機密の中です。それほど高度な組織なのでしょう。
しかし、彼らにとってはまだまだなところが多いようです。
実践に即した訓練を行おうとすると止めに入る防衛省幹部や、最後の切り札にしたがる政治家など、組織の「戦闘最初期に圧倒的戦力で有無を言わさず敵を撃滅する」コンセプトに反する動きもあります。
今後、組織の慣熟が行われるであろう特殊作戦群。
彼らがいかなる成長をするのか。わかる範囲で注視していくべきでしょう。