北方宗一の警察語り #3 サクラ チヨダ ゼロ そして
今回は警察の中の警察。公安警察のさらに深淵を探ってみましょう。
そのものの名は、誰一人として確証を得ることができない。
まさに秘密警察です。
日本の公安警察を語るのに必須となる要素は警視庁公安部、警察庁警備局、転び公妨、そしてチヨダといわれています。
今回はチヨダとは?に焦点を当てていきます。
チヨダとは警察庁警備局警備企画課に存在するという組織の通称です。話によれば警備企画課の第四係として存在するらしく、名前も現任責任者、通称『裏理事官』も所属人員も極秘。作戦の仔細も不明とかなり秘密度の高い組織でした。名前に関しては過去の名前はサクラ、チヨダまでは確定、現在はゼロと呼ばれていると言われているが、とっくの昔に名前は変わっている、ともされています。
さて、名前がころころ変わるこの組織の任務。それは監視対象の団体の内部に協力者を作り、団体内部の動きを監視するというものです。その他にも各種非合法諜報作業を行っているともされ、日本共産党幹部を盗聴した事件が明らかになった事もあります。そのためか、日本国内の左翼活動家はこのチヨダを非常に警戒しているらしく、その手の雑誌では偶に個人情報保護法無視の晒しあげをすることもあります。無論、発覚した協力者や工作員はその時点で全任務を放棄し証拠を処理した後切り捨てられます。しかし、そのようなヘマをしないように徹底的な教育が行われており、近年では発見自体がまれとなています。
さて、公安の用語は特徴的です。『作戦』に当たる言葉は『作業』、『盗撮・盗聴』は『秘撮・秘聴』、『監視』は『視察』としています。
さて、このチヨダがまだサクラと呼ばれていたころ、日本共産党幹部宅盗聴事件が発生します。警察が日本共産党幹部の家に盗聴器を仕掛け会話を聞いていたというこの事件は、その後大きな波紋を残します。
さて、なぜ日本共産党と公安警察が関係しているかですが、もともと公安警察は、右翼と共産主義政党の監視を名目に設立されました。そのような中、国際的な共産主義政党の躍進から危機感を抱いた日本の公安警察は、より先鋭的な諜報特務機関を欲しました。それがチヨダであり、彼らは共産党や社会党、そしてその傘下団体などの動向を探り、暴力革命の動きを事前に察知することで決行直前に組織を一網打尽にするという指針で行動するようになります。さらに、国内の共産主義・社会主義テロリストと政党のつながりを探り、共産主義組織の解体も念頭に置いたようです。そのために、個人宅で何が会話されているかを仔細に理解しなくてはならず、法的に限りなく黒に近い手法を使わざるをえなくなったのです。
まず、事件に関与していた神奈川県警警備部長、本部長をはじめ、警察庁警備局の裏理事官や公安一課長、警備局長までもが引責辞任しました。表向きサクラも消滅し、その名前の由来となったサクラの所在地である警察学校のさくら寮も解体されました。しかし、すぐにチヨダとして復活。作戦は続けました。
また、この事件が通信傍受法の成立の一因となりました。申請をしてその事実を公表しなければならないという条件があるとしても、捜査における通信の傍受を合法化することで公安の動きを阻害しないようになりました。無論、『作業』を知られてはいけないので法律に基づいての行動はしていないと考えられますが、もしもの時に情報を書き換える程度のことはできるでしょう。
チヨダもまたオウム事件以降に改名を余儀なくされます。マスコミが公安警察を取り上げるようになったためです。暗号であったはずのチヨダの名前は公安警察の非合法工作員の記号として時に国家権力の悪そのものとして、時に国家の守護者としての英雄として取り上げられました。この事を重く見たため警察庁はチヨダをゼロに改名し、再度闇へと引き戻します。ゼロという暗号名には「ゼロからもう一度始める」という意味があるそうです。ただ、ゼロの暗号も最近は使わなくなったとされています。秘密部隊であるため、資料は非常に少なく、偽情報や推測まで情報があふれているためです。時に悪意あるゴシップ記事が週刊誌などに載ることもあります。
さて、このチヨダの中には実働隊員は少ないとされています。実際は警視庁公安部や各警察本部の公安課に所属している人員の中の一部を小間使いすることがほとんどです。中には地方の警察署の公安係にも実働部隊が置かれ、本部長や署長を飛び越えて警察庁のチヨダから直接指示を受ける人員も多いとされます。この段階をあっけなく飛び越える指揮系統がもとで嫌われることが多いらしいです。
さて、ここまでそのほとんどが推量で書かれていることに気が付きましたか?そう。組織は存在しているだろうが、正体は知れない。公然の秘密という奴です。
多くは語れないチヨダは、今現在も、陰で日本の平和を守っているのかもしれません。