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北方宗一の銃器語り #16 拳銃沼へようこそ その3 旧西側系現代ミリタリーオート その他諸国編

今回はその他の西側諸国の戦後軍用自動拳銃について。

実は日本にも純国産自動拳銃計画なんかがあったんですよ。

SIG P226

スイスのスイス工業社「SIG」がドイツのザウエル&ゾーン社とともにM9コンペティションのために設計開発した拳銃です。

四角いデザインでダブルカラムの9ミリなら15発入る設計です。

手動の安全装置は存在せず、AFPBとダブルアクションのトリガーの重さで安全を担保しています。

また、デコッキングレバーをスライドストップの近くに設置しています。

シリーズとしてサイズを切りつめたP228、P228の部品を強化したP229、P229をシングルカラム化して切りつめたP239が存在する。また、長らく欠番していたP227も近年P226の.45ACPモデルとして発表されました。


SIG P220

P226の設計の原形となったダブルアクション拳銃。SIGとザウエル&ゾーンが一体化する前の最後の拳銃。

コスト圧縮を重視してプレス加工を多用したため今までの製品より手が届くような値段になり、アルミフレームや排莢口と箱型薬室を利用したロックブリーチ・ショートリコイルはその後の多くの自動拳銃に影響を与えました。

コンパクト化したP225や上記のP226などもこの銃の設計を基に改良を加えていったもの。

そのためSIGの軍用メタルフレーム拳銃はP22Xシリーズと総称されることもあります。

日本でもライセンス生産品が自衛隊に装備されています。

ダイハード4.0におけるジョン・マクレーンの初期装備で、またガメラ2では怪獣をこの拳銃で倒すシーンがあるなどそこそこ印象的な銃でもあります。


SIG SP2022

P22Xシリーズの特にP228/P229をポリマー化したような銃。

寸法や重量に大きな変化はないが、ポリマー化にあたって機関部をユニット化しており、整備性は若干向上しています。

また指のかかりにくかったデコッキングレバーもデザインが見直されたりしており、簡易分解用のレバーが廃止されM1911などと同じようにスライドストップを取り外しての分解になりました。

当初はSIG PROとしてSP2340という.40S&Wと.357SIGを使用する拳銃として発売。その後9ミリ仕様のSP2009が発売されたのち、独自企画のレールをピカティニー規格準拠の物に変更しSIG PROシリーズ全てをまとめたSP2022という名前を与えられました。

ポリマーフレーム化によってコストがさらに圧縮されました。

ヨルムンガンドでは後半からの主人公部隊の標準装備となります。


SIG P250

SIGがより低コストを目指したポリマーフレーム拳銃。

グロックを意識したダブルアクションオンリーの設計で、機関部を単純化しました。

また、ユーザーが自分でサイズが変更できるようにシリアルナンバーの入ったインナーフレームとシリアルナンバーの無いアウターフレームに分けることができ、簡単に口径やサイズを変更できるようにしたのがウリです。


SIG P210

P22X以前にSIG社が設計生産した拳銃。

スイス軍向けに設計されたこの銃は鋼鉄削り出しで製造され、非常に高精度な拳銃として世界中の高精度拳銃の製造の指標にもなりました。

しかし実用品としては非常に高価であり、この銃のコスト圧縮計画がP220につながっていきます。

スライドがフレームの内側に噛み合う設計です。

シングルカラムですが過去にはダブルカラムモデルが提案され、その当時にはグリップが握りにくくなったとして却下されました。

ヤンマーニで有名なマドラックスが二挺拳銃で使用する拳銃で、また、日本初のプラスチック製モデルガンもこの銃の物でした。


ベレッタPx4

ベレッタがアメリカ軍でのM9後継の新拳銃コンペティションに提出したポリマーフレーム拳銃です。なおそのコンペティションは白紙撤回されました。

基本的な操作はM9=M92Fと同じですがサイズをコンパクトにし、バックストラップが交換可能。

メカニズムの源流はM8000クーガーです。

閉鎖はロックブリーチ・ショートリコイルを意識した部品の強化が行われ、またコンパクトモデルはロックブリーチ式になっています。

またデザインを自動車デザインで有名なイタリアを代表する工業デザイナー、ジウジアーロに依頼しました。

この銃のODフレームモデルはCAANANの主人公カナンが使用したため日本では絶大な人気を誇ります。インセプションでもレオナルド・ディカプリオ演じるコブの愛銃とされています。


ベレッタ M8000

ターン・バレル・ロッキングまたはロータリー・バレル式、はたまたローテイティング・バレル方式という珍しい方式のショートリコイルを実装した。これはバレルがスライド後退とともに左回転して一定角度回転すると閉鎖が解除されるという方式。

部品点数が減るものの、バレル等が大型化するという欠点もあります。

操作はM92Fと同じです。

またこの銃はPx4にない.357SIG仕様モデルがあります。

基本的には脇役が多い銃です。

スウィート・スキルというエロ漫画で主人公の少女が使用しています。


ベレッタ 90‐Two

これでナインティ・ダッシュ・ツーと読む。M92FSをPx4と同じくジウジアーロにリデザインしてもらったモデルです。

基本的な性能は変わりませんが、曲線を多用した独特のデザインはよりデザイン性を追求したと言えます。

また拳銃としては珍しくアンダーレールにレールカバーが標準でついています。

バレルとマガジンの交換だけで.40S&Wが使用できるようになります。

またチャンバーインジケーターが追加され、薬室内に弾薬があるかがすぐわかるようになりました。

現在はベレッタUSAでディスカウント価格で販売されているだけだとか。

2015年になり日本で栃木県警が採用したことが判明。世界で唯一90‐TWOを採用した公的機関になりそうです。


ベレッタ M93R

M92シリーズを基にシングルアクショントリガー化、3点射化したモデル。

セーフティがフレームにありバレル先端が延長されコンペンセイターになったほか、フレームも大きく形状が変わりトリガーガードの前に特徴的な折りたたみ式フォアグリップが追加されました。

連射が存在せず、単射と3点射のみになっているのはコントロール性を重視したためだとか。

法執行機関や軍の要請があった時にのみ生産されるとされていますが、実際はそこそこの数が民間市場に流通しているらしく、映画にもちょくちょく登場しています。

ロボコップのオートナインは2まではこの銃の改造品でした。


ベレッタ M1951

M92Fの原点ともいえる大型拳銃。

ワルサーP38を基にしたプロップアップ式ショートリコイルメカニズムを搭載していますが、シングルアクションです。

ベレッタにとっては初めてのショートリコイル式拳銃で、初めての9ミリパラべラム拳銃でした。

1980年まで製造され、イスラエル、エジプト、イラクにも輸出されていました。

また、連射機能付きモデルも生産されました。


リャマ M82

スペインのリャマ社が製造した自動拳銃。

M92Fを基に設計したモデルではあるが、排莢口は小さくなっている。


IMI ジェリコ941

イスラエルのIMI社が製造する自動拳銃。

チェコのチェスカー・ゾブロヨフカCz75、それを基にしたイタリアのタンフォリオTA90拳銃を原型として設計されました。

整備性の高さやマガジン容量の多さが特徴で、デザートイーグルに似た非常に平面的なデザインになっています。

カウボーイ・ビバップのスパイクが愛用したモデルとして知られています。

IMIではこの銃の後継モデルとしてバラクSP‐21を開発しましたが、現在ではジェリコBとして販売しています。


タウルス PT‐92

ベレッタM92を基に大幅な改造が施されたモデル。

フレームにセーフティー兼デコッカーを搭載し、オリジナルでは行えなかったコック&ロックが可能になっています。

ハリウッド映画ではなかなかの頻度で登場します。


バジェスター・モリナ

アルゼンチンにおいてM1911からグリップセーフティーを排除し全体をリデザインしたモデル。

形状や構造が単純になって生産性向上を図っています。

フォークランド紛争でイギリス軍に多数鹵獲されました。


インベル M911

M1911A1のライセンス生産品。

M1911のライセンス品としては古株で、後期型ではセレーションが斜めになったりサイトが大きくなったりしているうえに9ミリモデルも生産された。

ブラックラグーンにおいてはロベルタの使用拳銃として日本で一躍有名になりました。


大宇 DP51

韓国の大宇精機(現S&T大宇)が開発しK5として採用された自動拳銃。

ダブルアクショントリガーで、コックしたハンマーを指で押し戻すことで軽いトリガープルでダブルアクションを実現するファストアクション機構を内蔵している。これはFNの持っていた特許を利用したとのこと。

S&W M5906の15発マガジンを流用可能とされています。

ただ、どうも兵士やアメリカの評論家からの評価は辛辣です。

設計にはM92Fの影響も見て取れます。


特別項目 日本で設計された戦後の軍用自動拳銃。

ニューナンブ M57A

日本の新中央工業(現ミネベア)で1950年代末に試作された自衛隊向け自動拳銃。

M1911A1を基に9ミリパラべラム対応に設計し直したモデルでサイズが少し小型化されたほか、グリップセーフティ―ではなくマガジンセーフティ―に変更された。

採用されずに現在自衛隊の武器学校に保管されているという。


ニューナンブ M57A1

1970年代末に試作されコンペティションに掛けられた自動拳銃。

SIG製の拳銃を参考にしたデザインと機構にブロックユニット化した機関部を搭載した。軽量化のためにトリガーはシングルアクションになっている。

シングルカラムはまだしも、シングルアクションという古さが目立つ設計のためにこのコンペティションではP220が採用された。

なお、SIGの方はDAで重量も軽かった。

この件やニューナンブM60の構造上の欠陥や、住友製機関銃の性能不足などと絡められて武器禁輸政策の弊害の一例とも一部では考えられている。

この銃も現在武器学校に保管されているという。

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