北方宗一の警察語り #15 それは生きた盾 警視庁警備部警護課セキュリティポリス
要人やその他警護が必要とされる人物を護るための特殊部隊。
それが警視庁警備部警護課、通称セキュリティポリス、略してSPです。
総理大臣、衆院参院議長、内閣閣僚、共産党以外の主要政党代表、与党幹部、東京都知事、一部の国の駐日大使に常についています。また過去には経団連会長にも常についていました。
共産党が警護リストから漏れているのは共産党自身が警護を自前の警備員でまかなうとして警備を断っているためです。警視庁公安部や公安調査庁が共産党を準テロリストとして監視対象としているのが理由です。
また、経団連会長の警備解除に関しては鳩山由紀夫政権下における政治的陰謀が関わっているとされます。
基本的に一人の警護には二人で当たることになりますが、警護対象が大会などの不特定多数が集まる場所に赴く場合は人員を時には数十人規模にまで増やすことになります。
また総理大臣には常に数人のSPが付いています。
なお、国会議員は危険が予想されない限りSPは付きません。
民間人も影響力が大きく、テロの標的になった場合など危険が強く迫った場合には警護を受けることができます。
SPは1975年9月に設立されました。
同年6月16日、当時の首相だった三木武夫が大日本愛国党の党員に顔を殴られる事件が発生したのが設立の理由です。
まだ当時の警護法は遠巻きに警護する方法であったために急に近づいて来た襲撃者に対する対応能力が低かった事が事件を発生させました。
前年のアメリカ大統領、フォードのシークレットサービスの警護手法が手本とされました。
基本的には多くが男性隊員ですが、女性隊員も女性要人の警護のために存在しており、特にエリザベス女王来日時には表敬部隊として女性だけの部隊が臨時で設立されました。
SPにはより高いスキルが求められます。
身長173センチ以上、拳銃射撃上級、柔道及び剣道三段以上、英会話可能などが条件です。
また、圧倒的な精神力も必要で、犯人と警護対象の間に入って盾になることを厭わないことが特に重要となります。
また、他の部署よりも圧倒的に洞察力が必要になります。
装備に関しては特殊警棒と拳銃、そして折りたたみ式の防弾盾となっています。
拳銃に関してはP230JPやP2000、M37、M360Jを装備しています。
特にP2000はこれらの中で最も装弾数が大きく、一発の威力もあるためそこそこ普及しているようです。
またグロック19を使用した訓練映像が存在します。
ちなみにアメリカのシークレットサービスのようなMP5KやP90に代表される短機関銃による重武装は成されておらず、その点でも日本の警察らしさが表れています。
また、要員のバッジは不定期に交換され襲撃者の混入を防ぐように工夫されています。
SPの服装は、背広は常にボタンを開いているのが基本です。背広の内側に装備を隠し持つため、即座に取りだせるようボタンはあけておくのです。
これらのノウハウは各県警の警備部の警備隊員、身辺警戒員や民間のボディガードにも反映されています。
SPは近年ドラマや映画でフィーチャーされています。
それだけあって高い認知度を得るようになりました。
警備部有数の腕利き部隊として今後も国家要人を守る肉の盾であり続ける事でしょう。