北方宗一の警察語り #11 警察のエースが集う 捜査一課特殊捜査班
さて、若干何を扱うか悩みつつある北方宗一。
今度はなに書こうかと思いつつ今回は捜査一課の特殊部隊です。
警察の一般的イメージは、交番のお巡りさん、街頭警備の機動隊、交通課の車両部隊、そして刑事部の刑事たちが作り上げています。
この四者は常にドラマで描かれる部署ですが、そのような中でも筆頭は刑事部捜査一課。
殺人、強盗、誘拐、傷害、強姦などの凶悪犯罪に対応する警察のエース組織。
一番人気の部署で、最高レベルの人材が求められます。
その中でも特に重大な事件に対処する部隊があります。
捜査のスペシャリスト、火器のエキスパート、交渉のプロフェッショナルが集うエース・オブ・エーセス。
その名は総じて特殊捜査班と呼ばれます。
特殊捜査班は各地方警察本部の捜査一課に編成されています。
各地で呼び方は様々で、警視庁や愛知県警など大多数では特殊犯捜査係 Special Investigation TeamからSITと呼ばれています。しかしこれは後になってついた謂れで、初めは捜査一課特殊犯の頭文字を取って名付けたのが、アメリカ帰りの管理官が勘違いしたのが始まりだそうです。
大阪府警では特殊事件係として近接格闘攻撃隊 Martial Arts Attack Team MAAT、千葉県警察では急襲救助部隊 Assault and Rescue Team ARTと呼ばれています。他にも様々な名前が存在します。
これらは多くの場合、刑事部特殊部隊の中でも前線突入部隊を指します。これらはMP5SFKといった短機関銃改造単射カービンやP230JPなどの自動拳銃を運用しています。
しかしSITの本領は突入部隊以外の任務部隊にあります。
SITは誘拐事件や人質立てこもり事件、電話や文書による脅迫・恐喝、公共交通機関における重大事故事件、爆破事件、爆発事故、産業災害による業務上過失致死の捜査において最も重要な存在になります。
それぞれに「誘拐事件、人質立てこもり事件」は第一特殊犯捜査・特殊犯捜査1係、「電話や文書による脅迫・恐喝」は2係、「公共交通機関における重大事故事件、爆破事件、爆発事故、産業災害による業務上過失致死」は3係の担当となります。
また第二特殊犯捜査・特殊犯捜査4係は「特殊犯に係る重要特異事件」を担当しています。これは、どうもSITが対応する事件の関連事件を探る組織のようですが、具体性に欠けており、一部では殺人事件を捜査しているとのことです。
SITの重要任務は犯人との交渉と分析です。
犯人との回線を開き、交渉をすることによって、出身や心情、性格、動機を分析し、人質解放を促したり、脅迫犯の行動範囲を割り出すことが主任務となります。
また、一般の警察官には厳しい専門的知識の必要な事件に対応する3係は捜査一課の中でも最も異質な組織でもあります。医療ミスの捜査も彼らの分野の一つであり捜査一課随一の頭脳派と言う一面も見えてきます。
SITとSATに関しては多くの誤解が生じがちです。名前がよく似ていて、両方とも警察の特殊部隊であることが原因だからでしょう。
SITはその性質上、交渉による解決を優先しています。火器はそのために必要な手段の一つです。
しかしSATは事件の解決のために手段を択ばないとされています。もしもの場合、犯人を射殺してでも人質を救出するという側面があります。
またSITには専任の狙撃部隊が存在しません。狙撃は機動隊の銃器対策部隊に一任されます。
それに加えてSITはハイジャックに出場することはありません。飽くまで一般刑事事件の強行犯に対抗する部隊です。
日本各地で犯罪の凶悪化が叫ばれて久しいですが、SITは今後さらに活躍の場が増える事でしょう。
彼らがいる限り、凶悪犯は成すすべなく逮捕されるだけなのです。