北方宗一の銃器語り #9 え?東側のアサルトライフルだって?
今回は東側の銃について。
若干東側じゃないのも混ざっているけど、そこは目を瞑って。
AK47
1947年にソビエト連邦が採用した銃です。
設計者はミハエル・カラシニコフ氏で、世界的に有名な銃器設計者です。
もともとSKSカービン向けに作られた7.62ミリの短小弾を使うようにして反動を小さくし、部品同士の隙間を大きめに取っておくことでちょっと汚れたり歪んだり錆びたりしても平然と動き、部品の数を少なくすることで教育水準の低い人でも簡単に扱うことができるようになりました。
その後、東側と呼ばれる共産主義の国々や、共産主義を信奉するゲリラやテロリストに向けて輸出されました。
ストックを下側に折り畳むことができるAKS47が作られました
AKM
AK47に改良を加えた銃です。
銃口に竹槍のような形のハイダーを取り付け、ストックの形状を変えて重心の延長線上の部分で肩付けできるようになりました。また部品をプレスで作れるように形状が工夫されました。
この銃にもAKS47と同じような構造のストックを持ったAKMSがあります。
AK74
1974年に採用されたAKの改良型です。
5.45ミリ弾に弾が変更され、ハイダーが特殊な形状になりました。
実は、カラシニコフ氏はこの改造に反対したようですが、その声は聞き届けられることはなかったのです。
この銃にもストック折り畳みモデルであるAKS74がありますが、これからは左側にスイングするようになっています。銃身も切り詰めたAKS74Uもあります。
ここからはAKの他国生産モデル列伝だよ!!
・MPi‐K (東ドイツ)
ハンドガードに膨らみをつけて生産したモデル。
AKMやAK74もライセンス生産したが、AKMに相当するMPi‐KMから本家より先に木製部品のプラスチック化を進めた。それとともにイボが付くようにもなった。なお、銃の種類としてはサブマシンガンとされています。
・ヴィーガーStG940 (東ドイツ)
インド向けに開発した5.56ミリモデル。しかし、ドイツ統一のいろいろで計画が流れ、生産した殆どが捨てられてしまったらしい。
・AIM (ルーマニア)
ハンドガードから下にフォアグリップがニョキッと生えたデザインAK。
グレネードランチャー取り付けに難がある。
・AKM (ブルガリア)
ブルガリアで生産されたAKM。しかし、ストックなどにソ連向けAK74のプラスチック部品の型を流用した部品を使っている。一部の部品の形状を変えたり欠陥を改良して冷戦後も作っているとか。
・AR (ブルガリア)
今までAKを作ってきたノウハウを利用したモダンなモデル。
AKを弾を変えて使い続けたい国向けに生産しているらしい。
・AKM63 (ハンガリー)
AIMのようにフォアグリップが付いたモデル。
しかしハンドガードがなぜか金属で下にしかないというヘンテコ設計。しかもライフルグレネードを使えるようになっている。
・M70 (旧ユーゴスラビア)
ライフルグレネードを使えるようにしたAK。部品の強化のためにノーマルAKといろいろな部品が違う。
・PMK (ポーランド)
このAKもライフルグレネードが使える。
・ベリル (ポーランド)
5.56ミリAKクローンの中でも有名な、レールを追加し5.56ミリNATO弾を採用したモデル。先代のタンタル、オニキスから続く鉱石名シリーズ。
・Cz2000ラダ (チェコスロバキア)
Vz58の後継を目指して開発したが、NATO加盟で口径を変えCz805として輸出も計画されたが、その後お流れになった。
なおいまCz2000の系譜はSCAR似の完全新規のアサルトライフルCz805となっている。
・56式自動歩槍 (中国)
中国がライセンス生産したAK47.スパイク型銃剣を搭載する。なお、いま、世界中に流れるAKの多くが、この56式を源流としているらしい。
・58式小銃 (北朝鮮)
普通のAK47の北朝鮮版。この後68式88式98式とAKシリーズが生産された。
・Rk62 (フィンランド)
AK47のフィンランドモデル。AKクローンでも特に高い精度を誇る。なお、フィンランドは世界有数のロシア嫌い国家であり、資本主義国家なのだが、ソ連の圧力と地理の問題で武器の殆どがソ連製のライセンスで米ソ戦争になったらソ連側に立つという、たちの悪い冗談みたいな事になっていた。
・ガリル (イスラエル)
アメリカからM16が輸入できない上に、砂漠では心配だという理由でRk62を参考に作った5.56ミリAKの始祖。ARMモデルはせん抜き機能付きで有名。
・ナーディー(日本)
非常に特殊な事情で製造されたAK74クローン
日本のカルト教団であるオウム真理教が最終戦争に備えた教団武装化のため部品を密輸しコピーして生産を開始した。
無論違法品だが、世界中に存在する違法生産モデルの中でも部品横流しに頼らず一から生産されたという点で特殊。
警察が押収したモデルは科捜研での検証ではファイアリングピンの設計ミスやバレル生産や材料に代表されるノウハウ不足、各種部品の性能不足・精度不足でろくに動かなかったとされる一方発砲すればアサルトライフルとして所定の威力は出せるとされる。
写真がネット上に出回っているほか、ガンマニアが電動ガンで再現してオークションで売っている。
AN94
ソ連がロシアになってから設計されたAK74の後継銃。しかし設計が複雑すぎて生産が低調で、特殊部隊以外が扱えないという問題があります。銃の連射制御にプーリーとワイヤーを使っていることや、グリップを機構凍結キーにしたことが原因とされ、特にプーリーとワイヤーは既存の銃での採用例が存在しないに等しく、これのおかげでマガジンを挿し込むハウジングに角度をつける羽目になったと言います。
Vz58
チェコスロバキアが、ただただ「ソ連をバカにする」為だけに作った銃。当時のチェコスロバキアの人々は自国より工業化が大きく遅れた『未開のロシア人』の作った(設計した)機械など使いたくないという意識があったといいます。部品すべてがAKと互換性がないうえにAKより射撃性能は上という結果故にソ連はチェコスロバキアにだけAKを押し付けることができなかったという伝説を持つ銃です。なお、この当時のチェコスロバキアの軍隊の小火器や各種装備はソ連とはかなり違うものを使っていました。
Cz805
チェコのチェスカー・ゾブロヨフカが設計した新世代のアサルトライフル。
チェコスロバキア分離独立前にAK改修型のCz805ラダとして設計されCz2000に改名、輸出されたものの、生産が中止。
その後2000年代中盤になってVz58代替のため完全独自設計のCZ S805が設計されそれがCz805ブレンに改名。この瞬間先代Cz805はなかったことになりました。
ラダはAKの設計を基にセレクターをサムセレクターに変更しています。これはVz58が小型のセレクターだったためです。
ブレンはSCARによく似たデザインにまとめていますが二点バーストを搭載しています。マガジンハウジングを交換すれば独自のマガジンだけでなくSTANAG規格やG36用のマガジンが使用できます。他に7.62ミリはNATOではなくAK用の弾薬を使用するようになっているため、アッパーレシーバーを共用できます。
MSBS
よっぽど詳しく知らないとMASADAやACRと間違えてしまうポーランドのラドム製の新世代型ライフル。
特徴的なのは組み換えだけでブルパップ化できる点。
マガジンが基本的にPMAGなのが余計わけをわからなくしている。
81式自動歩槍
中国がAK47を更新するために開発したアサルトライフル。
見た目はAKシリーズの発展型だが、実際はAKのひとつ前のSKSカービンや、AKの技術をSKSに合流させ連射化した63式自動歩槍を基に設計されました。
マガジンや部品がAKとは対応しておらず、構造はAKより簡素化しているとされています。
バリエーションとして中国独自の軽量高速弾である5.8ミリ弾を使用する87式自動歩槍が存在します。
95式自動歩槍
81式、87式で得たノウハウを基にした5.8ミリ弾を使用するブルパップ式アサルトライフル。
バリエーションとして5.56ミリNATO弾を使用する輸出型、97式が存在します。
東側の銃としては最初期にポリマー製レシーバーを採用しました。
トリガーガードがフォアグリップと一体化しており、他にもFA‐MASやM16を参考にしたような部分が多々見られます。
03式自動歩槍
95式を旧来然としたデザインに仕立て直したアサルトライフル。
95式が空挺や海軍陸戦隊、北京や香港の駐屯部隊などのエリート部隊向けなのに対して、03式はそれ以外の部隊向けになっています。
改設計の段階で95式の機関部の欠点などが判明し、それらの小改良も加わっています。
CQ 311
ノリンコが生産するM16A1のコピーモデルです。
パッと見では違いが分かりにくいですが、ハンドガードが波打った独特の形状となっており、ストックも形状に若干違いがみられるほか、グリップがリボルバーのように曲がっていたりフロントサイトの形状が変わっていたりもします。
使用弾薬が5.56ミリNATOではなく同寸法ながら弾丸の材質と火薬量の違う.223レミントンに対応しています。NATO弾では本来の性能が引き出せないとも言われています。
現在、イランやスーダンなど、アメリカ製の武器の輸入ができない国向けに軍用モデルが輸出、ライセンス生産されています。イランではNATO弾に対応したモデルを生産しています。
またM4と同様のカービンモデルなども生産されています。
KH2002
イランがCQライフルを基に設計したブルパップライフルです。
デザインはFA‐MASとAUGを基にしておりボルトはM16と変わらないとされます。
実際、機関部の収まっているストック周辺にはM16の機関部の面影が見受けられます。
なお機関部がリュングマン式であったなら、砂に弱いという特性をどう許容したかが問題となります。