錬金術と狐
文姫のバットの真相が明らかに!!等価交換を分かりやすく説明するのに悩みました
「じゃあふみちゃん助けてもらったのね」海百合さんがグラスに麦茶を注いでいく
「そいこと」
「ありがとね、えと何君?」
「中瀬川聡真です」フルネームを言うのは久しぶりだ。
「そーま君ね、本当にありがとね」海百合から麦茶を受け取る、氷がいい具合に麦茶を冷やしている
「海百合さん、そーまにお礼として何かごちそうしていい?」おまえが作るんじゃないだろとツッコミを入れたくなる。
「いいわよ、ふみちゃんの救世主さんね」
ふみちゃんやら海百合さんやら二人の関係がもの凄く気になる
「さぁ遠慮せずに選びたまえ」スケスケが立てかけてあったメニューを渡してくる
「さんきゅ、それとなんて呼べば良い?名前知らないからさ」
「あちしは夏瀬文姫って言うのかっちょいいでしょ?」
「なるほど確かにふみちゃんだな」
「あたしの名前は聞かないのぉ?」海百合さんがカウンターから乗り出してくる
「あ、じゃあお名前は」仕方なく海百合さんに聞いてみる、既に海百合さんで十分だが
「海百合五月って言うの、ふみちゃんの腹違いの姉よ」
「ほほぉ」腹違いとは思ったより深い話があるらしい、
「ねぇ早く食べよ」文姫がメニューを指で叩く
「じゃあ海老フライ定食で」写真の第一印象で選んだ、涎が湧き出てくるのを飲み込んで押さえる。
「あちしは冷やし中華で」
「はーいちょっと待っててね」
海百合さんは出てきた扉の奥に戻り調理に取りかかりに行った。
クーラーのかかり過ぎで少し乾燥しているせいか気が付くと麦茶を飲み干していた
「バット下ろしたらどうだ?」
入店してからずっと気になっていたが文姫はずっとバットホルダーを下ろさなかった。カウンターは背もたれの無い丸い椅子のためバットが邪魔にならないから下ろさないのかもしれないがさすがに食事中は肩にベルトがかかっている分邪魔になりそうだ。
「そだね、よっしょ」肩にかかったベルトを下ろして足下に置くとホルダーのチャックを開けた。
「そのホルダーにバット何本はいってんだ?」
「え?バットは一本も入ってないよ」ありえない返答になぞなぞかと思ったが文姫がチャックを開いてホルダーの中を見せられて口から麦茶を吹き出した
「え?じゃあアレは?」吹き出した麦茶を台布巾で拭く
「えへへ、出ておいで」ホルダーの奥に声をかける
するとホルダーの奥から小さな動物らしき物が出てきて文姫の肩に飛び乗る
「狐?」ホルダーから出てきたのは小さな毛並みが異常なほど綺麗な狐っぽい動物だ
「神様だよ」夏の暑さで自分の脳みそがどうかしているのかと思ったがその心配は消し飛んだ
「ジロジロ見るな、下衆が」狐が、まぎれも無く文姫の肩に乗った狐がしゃべった
「だめだよきっちゃん、この人があちしを助けてくれたの」
「ほぉこいつが」狐、否神様が細い目をもっと細めて聡真の顔を覗き込む。それときっちゃんて、ネームセンスの問題が
「でさぁ、バット…は?」一番の疑問が残っている、どこからあのバットが産まれてそして消えたのか
「それは錬金術よぉ~」ポフポフと肩の神様をなでる、よく見ると狐のしっぽが二本ある。
「れ、錬金術?」数学より難しい問題に出会ったのは初めてだ。
「えっとじゃあ小銭ある?」
「これくらいしか無いけど」販売機で出たおつりを渡す。
「じゅーごえんか、ふむふむ」小銭をカウンターに並べ数えたあと十円だけを手に取る
「少年、よく見てろ」文姫の頭で休んでいる狐がめんどくさそうに頭だけ持ち上げる
「ぽいッ」文姫が十円を中になげ程よく落下した十円を横からキャッチする
、キャッチした瞬間に小さく光った気がした。
文姫が手を開くと手の中には十円ではなく小さな銅メダルが握られていた
「うぉっ」思わず拍手する
「てへへへ」
「少年、錬金術の定義分かるか?」狐は肩から降りてカウンターに飛び乗った。
「さぁ」錬金術は世界史で少しだけ文化の一部としてみた気がした
「錬金術と言ってるが根底にあるのは等価交換だ、銅から錬成できるのは銅、もちろんの事金が無きゃ金は産まれぬのだ。簡単に言えば粘土はどんな形を作ろうと粘土と言う事実はは変わらんだろ?」
「なるほど」案外分かりやすい
「きっちゃんセンセー分かりやすい!!」文姫が拍手する
「じゃあバットは何を材料で?」拍手している文姫の方に椅子を回転させる
「ホルダーの中をみてみそ」足下のホルダーをつま先に引っ掛けて渡してきた
ホルダーに手を突っ込み中にあった物を掴み引っ張り出す。
「これは?」1円玉を黒いゴムテープで十枚組ににしてまとめてある物体だ
「ほら、1円玉がバットの素材でゴムテープがグリップ部分」
「あぁ!よく出来てるな!」錬金術とか全ての流れを納得してしまった自分に拒絶する。が時既に遅しだ
「ホルダーから取り出す前にバットに錬成し、戻す時にその状態にするわけじゃ」
気が付けば自分の背中側のカウンター席で狐が寝そべっている
「それよりまだかな?ひやしちゅー」麦茶のグラスに口を突っ込み口を尖らせている、
麦茶のおかわりをコップに注いでいると扉の奥でバタバタと足音がして海優里さんが冷やし中華と海老フライ定食を持って戻ってきた。
さぁこの先どんな展開を作るか考え中です。
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