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すけすけ娘と定食

名前を考えた末決まりましたんで、次回、スケスケ娘の名前が分かります

「ちょ、マジで降りて」一本目の坂の中盤、カーブと傾斜のダブルパンチを二人乗りで挑戦したが、やはり限界が来た。

一人のときでさえ息が上がりきってしまう所を二人乗りで挑戦したのは無謀過ぎた

「暑いのにまったく」少しむくれて荷台から降りる

「みんな平等に暑いんだ」深呼吸をしてみるが湿度にコーティングされた分厚い空気が入ってくるだけだった。

自分もペダルから足を外し、自転車を押しながら坂を上った。

目的地は二段目の盆地、商店街や定食屋があるゾーンだ

少しの間無言ので太陽にジリジリと背中を焦がされながら坂を上った。

患者の方も相変わらず顔が赤いまま息をあげて少し後ろから登ってきている

「ま、まてぇ」突然背後から患者が駆け上がってきて肩を掴んでくる

「あと少しで付くから頑張れって」肩に手をかけている患者の息が整うまで立ち止まる

立ち止まると足の下からも熱が這い上がってきて全身が熱に包まれる、体に火がついてもおかしくないほど暑い

「あのさ荷台にのして」舌が回っていない、顔も真っ赤になっている、目からもう限界だとシグナルを送ってくる、

確かに一度倒れた人間をこのまま歩かせて再び倒れたら今度は運ぶ途中で自分もダウンして共倒れになるだろう

「ほら、これでお茶と合わせて貸し2なるからな」自転車を引く手に力が入る

「あんがとさん」荷台に乗った患者は足をぶらぶらしてバットホルダーを膝に抱えて人力車を満喫している様子だ。

靴の裏のゴムが溶けてきもおかしく無いような頃にやっとの事で坂を上りきった。

汗で服がスケスケになって目のやりどころに多少困る状態になった荷台に乗っている患者さんが肩を軽く叩いてくる

「ちょいちょい、うしろ」患者が指差すその先は一面緑の田んぼとその中に点在する学校や役所が見えた。田んぼの緑と空の青、そして雲の白、見当たる限りでは三色しか無い。本当に殆ど田んぼか無い、不便さが一目で分かる光景だ。しかし田舎のいい所は自然が豊かな所だ、それくらいしかないがそれが都会では味わえない、

「もう降りて案内してくれ」荷台からスケスケ娘が飛び降りバットホルダーを肩に掻ける。

「まかせとけ!メチャクチャ近いから用心しとけ」近いなら大感謝だ。

人一人分軽くなった自転車を押しながらスケスケの背中を追う

一分もしないうちにスケスケが歩みを止める、暑さのあまりぼーっとしていてスケスケの背中にぶつかりそうにになる、

「ここか?」スケスケ娘が立ち止まった定食屋は何回か行った事のある定食屋だ

なかなか美人な店員さんがいる定食屋でもある、

「そだよ」店の脇に自転車を止めてスタンドを足でけり落とし安定させる

「ちょっと着替える」バックの底にあるTシャツを引っ張り出し汗で癒着したYシャツを脱ぎ自転車の篭へ放り込む

「むほぉなかなかの筋肉」スケスケ娘がジロジロと着替え中の体を品定めする

「部活やってるからな」素早く乾いたTシャツに袖を通してスケスケ娘の方を見る

「え、もう終わり?」

「見せ物じゃねぇよ」

自転車の鍵を引き抜きポッケに突っ込む、盗むやつはいないだろうけど防犯対策は必要だ。唯一の足より速い交通手段を奪われたらこの田舎の地形ではやっていけない。

「んじゃあ行きますか」ガラガラとスライド式の扉を開けて入店する

クーラーの効いた室内の風が全身を包み熱を消し去って行く、思わずため息が出る

何度か来ている店だからお気に入りの席に腰をかけるとスケスケ娘は席に着かずカウンターの方へ行く

「海百合さぁん」突然店員のいるであろう扉に向かって誰かの名前を呼ぶ

すると椅子から立ち上がるような物音のあとに扉が開き例の海百合さんが登場する

「その声はふみちゃんね~」扉の奥から現れたのは自分のよく知っている美人の店員さんだ。スケスケと中良さそうに会話している

「あら、またきたの」海百合さんが手招きしている、顔を覚えていてくれた事に嬉しくなる一方お気に入りの席にサヨナラしてカウンター席に移ることになった。


感想をお願いいたしマッス。

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