入ります
掲載日:2026/04/25
誰もいない部屋。
そこで私は一人で作業をしている。
会議室、といえば体のいい話だが、その実、この部屋は単なる物置だ。
一応机1つと椅子3つが部屋の真ん中に、これらを取り囲むように一重二重、さらに三重に棚とそこに積まれた山ほどの段ボールが部屋を陣取っている。
ここは私が一人で作業にふけるにはとてもいい場所だ。
ほかの人も来ず、かといって私を探すことも滅多になく、この部屋に積まれた荷物も、なかなか探しに来る人はいない。
「失礼します」
と思っていたが、たまにこうやって入ってくる人がいる。
「あ、いたんですね。資料を取りに来たんですが……」
3年前の入社式で見た顔だ。
私の4年後輩ということになる。
何が欲しいかを聞いてその資料の棚番号を教えると、軽く私へと頭を下げてくれた。
「では、失礼しました」
パタン、とドアが締められ、再び私一人の部屋となる。
そして私もカタカタとパソコンのキーボードをたたき続ける。
仕事はしないといけないだろうから。




