新装備で共闘、流血で包帯、そして初めての
タンデムをしちゃうとスピードが速まりますね、バイクだけに。
美咲の演技が始まった。堂々としている。ストレートジャンプで高さを作り出し、空中でタック、パイク、ダブルバック、ダブルツイスト、すべて安定して揺るぎない。
「すごいわ、美咲さん、重力を支配している。」
「美少女戦士が平常時にも降りてきているみたいだ。」
「会場の視線と歓声を独り占めだわ。」
「完璧なフィニッシュだ。大歓声だ。」
「この状況で高得点を付けられない審査員はいないわ。」
「点数が出た!暫定1位だ!」
美咲のあとに演技した選手で美咲を越える点数を出した者はいなかった。美咲の優勝が決まった。表彰式のあとで温と郁は美咲に駆け寄った。
「美咲さん、おめでとう!」
「素晴らしかった、感動しました!」
「ありがとう!来てくれたのね。」
「見逃せるはずがありません!」
「何だか今日のあなたたちって...ううん、何でもない...」
温と郁は興奮が収まらないまま会場を後にした。初夏の風が気持ちいい。
「ねえ、温ちゃん、せっかくだから少しツーリングして帰ろうか?」
「ええ、気持ちが昂ぶっちゃいましたからね。ツーリングの風でクールダウン!」
2人は西に向かって走り、多摩の奥の方へ入っていった。周囲の景色は山と森林。交通量は少ない。
「あ、あそこの林道は抜けられるんだよ。秘密の裏道。」
「なんか忍者が林から飛び降りてきそうな場所ですね。」
「ちょっと...縁起が悪いことを言わないでよ。」
「ふふ、大丈夫、忍者ぐらい、私が守ってあげますよ。」
出た。忍者ではない。かつて郁を苦しめたコウモリ型の怪物だ。あのときよりサイズが大きい。数は...数え切れない。
「温ちゃん、降りて!俺は変身してマシンで特攻する。」
「わかりました。」
郁は基地で特訓したマシン特攻を敢行し、敵を瞬く間に3体倒した。その間に温は変身した。
「Verwandle mich! Blaulicht herausnehmen!」
電光石火の太刀さばきで温は怪物たちを切り裂いた。その姿は天女のようだったが、その破壊力は鬼神のようだった。
「数が多いな。大丈夫か?」
「はい、この新仕様だと運動能力が15倍なので、敵の攻撃はすべてかわします。」
「そうか、だが油断はするなよ。運動能力が15倍でも装甲はゼロの生身の身体だ。」
「女の肌は宝物ですから必死で守りますよ。」
「よし、行くぞっ!」
「はいっ!」
戦闘は7~8分ほど続いた。敵はすべて殲滅され塵になって消えた。
「大丈夫か?」
「はい。」
「おい、血が出てるじゃないか!」
「あ、被弾したのに気付きませんでした。血を見たら痛くなってきた。」
「待ってて、止血するから。バイクに乗るようになって、転んだときのために簡易治療キットを持ち歩いてるんだ。」
「ありがとう、郁さん。」
包帯を巻いてくれる郁をじっと見ていたら温は胸が熱くなった。抗えない感情がこみ上げてくる。
「郁さん...お願い、キスして!そうしたら痛いの飛んで行くから!」
温の真剣な目を見て、郁は何のためらいもなく唇を合わせた。2人とも初めてのキス。ふつうの人間ならこれで感情ゲージが頂点に到達するだけのイベントだ。しかし、改造人間と美少女戦士、ふつうの人間ではない。ふたりの変身アイテムが妙な光を発している。
「なんだ、これは?」
「見たことない光を発してる!」
5分ほど異常な作動を起こしたあと、変身アイテムは沈静化した。
「何だったんだろう?」
「私、いちおう基地に連絡を入れます。」
「俺も。」
今回はちょっと短かったかも知れませんが、初めてのチュウがあったので、それに免じてお許しください。ところで、タイトルがわかりにくかったので変えました。この状況になるのが次回以降なので、ちょうどいいタイミングかも知れません。




