表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒーローカップルの、人に言えない悩み――変身すると男女が入れ替わる  作者: 青い水


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/24

Imagine and Honesty、そしてライダ~、じゃなくてバイカ~...チェンジ!

正月を挟んで久しぶりの投稿になってしまいました。タイトルにあるような状態にまだまだなっていませんね。

(かおる)くん、自動二輪免許合格おめでとう。バイクは乗って帰って良いわ。安全運転で日常の脚に使いなさい。」


 イリーナはにっこり微笑んで郁にキーを渡した。


「ありがとうございます。」


「これでいつでも好きなときにここへ来られるようになったわね。ガソリンの領収書も持ってきなさい。精算するから。」


「良いんですか?通学の交通費がタダになっちゃいますけど。」


「報酬なしで正義の味方をやってもらっているんだもの、そのくらいは当然よ。」



挿絵(By みてみん)



「うわ、風が気持ちいい!これからは毎日こいつと一緒か。頼りにしてるぜ、相棒!」


 郁はガソリン代を気にせずに走り回れると聞いたので、調子に乗って”地名だけは知っていたけれど行ったことがない場所“を次々と踏破した。お台場の潮風公園、東京ゲートブリッジ、城南島海浜公園。行った先々でバイクを停め、ヘルメットを脱ぎ、自撮りをして、それまでの郁には似合わない”俺カッケー“ムーブに入る。初心者にありがちな痛々しい行動を止めてくれる人はいない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 (はる)は初心者コードをマスターした。スマートギターなので弦がビリつかず、指も痛くならないので、何の苦労もなかった。AIのチャッピーくんが勧めてくれた、“英語の勉強に役に立つ初心者用の曲”としてジョン・デンバーの“Country Roads“を選んだ。コードはG, C, D, Em、誰でも弾ける。とりあえず歌詞カードに目を通すと、だいたいわかる。だけど“だいたい”止まり。それではダメだ。美咲さんも言っていた。英語に埋もれた気持ちにならないと。とりあえずAIに頼らず意味を調べて、訳文を作ってみた。自分でも変な日本語だとわかる。1行ずつAI翻訳にかけてみる。自分が誤解していた部分がわかった。関係文がわかっていなかった。それと“I should’ve been yesterday.“ これまで適当に流してきた仮定法過去だ。何度か口にすると、これは後悔している言葉なのだとわかってきた。


「よし、とりあえず歌おう。歌って違和感があったらまたAIに尋ねて疑問点を潰してゆく。」



挿絵(By みてみん)



 歌っているうちにそこに展開する光景が目に浮かぶようになってきた。ウェストヴァージニアに行ったことはないけれど、山や渓谷、広い空、故郷に帰ろうと疾走する車。3回歌って飽きてきたので次のを探す。


「チャッピーくん、次は何を歌おうか? ………… “Stand by me“かあ。これ誰でも知ってるやつじゃん。線路を歩いてる。あれ?何で線路を歩いてるの?チャッピーくん、何でこの歌は線路を歩いてる映像とセットで記憶されてるの? ………… なるほど、映画の場面か。映画音楽だったんだね。観てないな。今度観よう。さてコードはっと...G, Em, C, D...あれ?さっきと同じだ。楽勝だ....と思ったらメロディーわかんない。」


 こうして温の楽しい英語学習は延々と続くのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「そうだ。大学にバイクで通うとなると、許可証が必要なのかな?検索してみよう。 ………… 何々...事前登録は不必要で、決められた駐輪場に停めろと。おや、ずいぶんと簡単なんだ。最初から自転車通学にしておけば良かった。」


 郁はバイクに飛び乗ってトランポリンセンターへ行き、2時間しっかりと汗を流した。ストレートジャンプはほぼ完全にマスターし、体幹がずれることはなくなった。次はタック、つまり空中で膝を抱え込む技だ。これはそう簡単にマスターできない。時間配分を間違うとそのまま落ちてしまう。そしてもうひとつ、パイク、L字型に身体を曲げてつま先に指先で触れる。郁はこのふたつを集中的に練習した。汗が滝のように流れた。


「自販機で給水するのはたやすい。しかし....バイカーとなった俺は奥多摩の湧き水を飲みに行く。検索したら奥多摩周遊道路に三頭の名水というのがある。周遊道路というのもバイカーを魅了して止まない。行くぞ、ライダー...じゃなくてバイカー!」


 かっこよくキメたつもりだったが、同じ多摩と言っても奥多摩は遠い。郁は走りながら少し後悔していた。湧き水に到達する前に喉の渇きがピークに達したらどうしよう?スマホを取り出してナビゲーションを起動すると、奥多摩周遊道路まであと81㎞と出ている。無理だ。渇き死ぬ。餓え死にが餓死なら渇き死には渇死....郁の現国脳がいらぬ思考を紡ぎ出した。おとなしく自販機でコーラ飲んで帰ろう。奥多摩周遊道路はメインイベントとして、朝から周到に準備して行くことにしよう。



挿絵(By みてみん)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ダーリン、ダーリン♫ スタンド・バイ・ミー♪」


この歌は、使われている単語が簡単だけど、歌うのが大変。知ってたつもりだったけど、聞いたことあると歌えるじゃ全然違う。この歌で新しく覚えた単語は、tumble と crumble と shed だけ。コスパが悪すぎる。


「チャッピーくん、次の歌プリーズ!え?ビートルズの“Let it be“?これも聞いたことはあるんだけどさ。とりあえずコスパを前もってチェックだわさ。あ、わかる。わかるけど、歌って新しく覚える単語がないじゃん。チャッピーへの訊き方を工夫しないといけないのね。“次の歌は、演奏が簡単で、歌詞がそこそこ難しいやつ。大学受験に出そうな単語を含むもの”と。さて、こんな都合の良い尋ね方でAIは最適解を出してくれるのかしら? ………… “Imagine by John Lennon“? これも聞いたことがある。コードは、C,F, G, Amのみで楽勝っと。で歌詞は....うん、だいたいわかる。そしてメロディーがかっこいい。よし、歌い込むぞ。いや、歌い込む前にしっかり聴き込まないと。そう、先走っちゃダメなの、私。そもそもこれ、歌えるようになって何を得られるか?今のところ possessions という単語だけだわ。もう覚えたし、歌えるようにならなくても問題ないか。でもかっこいい。1回だけ歌ってみようか。」


„Imagine all the people♪“


「何か平和のために頑張らなければという気持ちになってきたので、美少女戦士的には得たものが大きいわね。それじゃあチャッピーくん、次は? ………… え?あのノーベル文学賞のボブ・ディラン?"Blowin' in the Wind"?コードは簡単。歌詞は?あれ?単語はわかるのに何だか意味が入ってこない。さすがノーベル文学賞ね。ここは現代国語が得意な私がじっくりと取り組んでみましょうか。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 コーラを一気飲みしたので炭酸ガスを大量に飲み込んでしまい、郁はバイクを走らせながら大きなゲップをした。バイクに乗ってるので誰にも気付かれない。ラッキー。と思ったとき、通信機に基地から連絡が入った。怪物が出現したらしい。場所はここから近い。なるほど、バイク貸与にはこういう利点があったか。いつでもスタンバイOK。通信機はスマートウォッチを兼ねているので、逃れられない。世の中、うまい話には裏がある。バイクは便利な移動手段だが、それは郁本人にとって便利なだけではなくて、組織にとっても便利だということか。良し、ヒーロー出撃だ!」


 怪物出現の座標は旧国道につながる使われていない林道だった。このまま林道に突っ込むと生身のまま攻撃されてしまう。郁は変身してからバイクで突っ込んだ。



挿絵(By みてみん)



 いた。見上げるほどの巨大な怪物だ。3メートルはある。バイクに武器が付いているとイリーナは言ってたな。この赤いボタンだ。お、カウルの左右から銃身が出たぞ。トリガーは...これか。郁は通信機で本部に連絡した。


「怪物とエンカウント。攻撃します。武器の使用許可を。」


「パルスキャノンの使用を許可します。トリガーはグリップからハンドルバーに親指を伸ばすと届きます。ゲームのコンソールのように操作してください。」


「これか。良し、食らえっ!」



挿絵(By みてみん)


 小気味の良い連続発射音とともにパルスキャノンが発射され、怪物に着弾し、怪物は傷ついた。だがそれによって怯むことはなく、むしろ手負いの獣となってこちらに襲いかかってきた。郁はバーニアに点火して宙に逃れ、バイクをそのまま怪物に突進させた。パルスキャノンの銃痕が並ぶ胸部にバイクが激突し、怪物は倒れた。郁はそこをめがけて20メートルの高さから垂直にスタンピングキックを決めた。トランポリンの特訓が活かされた強力なフィニッシュだった。怪物はそのまま沈み、塵になって消えた。


「怪物の駆除、完了しました。バイクを特攻させたので調整をお願いします。自走できればこのまま基地へ向かいます。自走が難しい場合はまた連絡します。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あれ?何か今、郁さんの声が聞こえたような気がするけど、空耳かしら?それよりチャッピー、音声モードにしたから、何かお勧めの歌を口ずさんでみて。」


「了解しました。”Honesty is such a lonely word♪”」


「あ、それ知ってる。家族でカラオケに行ったときお父さんが歌ってた。でもってお母さんがなんだかうれしそうに顔を赤らめていた。きっと2人のロマンスを彩った歌なんだわ。よし、歌詞を出して。」


「はい、これになります。」


「お、いいぞ、これ。tenderness はなんとなくわかるけど、truthfulness、目がちらつくなんたらネスの仲間だ。sympasize、きっと動詞ね。シンパシーの動詞ね。こういうの待ってたの。mostlyはなんとなくmostに似ていてるけど違うとか、試験でつまずくやつ。品詞が変わって形が変わるシリーズの歌だ。よし、これをマスターして情感たっぷりに歌えるようになったらお母さんに聴かせて泣かせてみよう。」


 温が「オ~ネスティ~♪」と熱唱していると、楽譜にしているタブレットにラインの通知が入った。美咲からだった。


「基地から招集がかかったわ。相模湖駅に集合よ。」



国際美少女戦士協会からの呼び出し?何が待っているのでしょう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ