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変身ヒーローカップルの、人に言えない悩み――変身すると男女が入れ替わる  作者: 青い水


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トランポリンセンターで正義のために本気で訓練

巨大トランポリン施設は実際に多摩にあるようです。10分で1時間のジョギングに相当する熱量消費だということで、ダイエットに良さそう。

 はるのスマホに美咲からLINEが入った。


「これから空間戦闘のバランス訓練をしたいのだけど、良いかしら?」


「はい、強はもう何も予定がありません。」


「良かった。じゃあ住所を送るのでそこまで来て。あ、そうだ。運動に適した服を持ってきて。けっこうハードな運動になるので、汗を拭くタオルも。」


「了解しました。40分で到着できると思います。」




挿絵(By みてみん)


「あら温ちゃん、予定より10分早く到着ね。」


「マッハで準備してやってきました。ここ何ですか?」


「見ての通り、トランポリンセンターよ。」


「これからトランポリンするんですか?」


「そうよ。費用はIPWFが経費で落としてくれるわ。」


「戦闘訓練になるんですか?」


「そうよ。空中でのバランスはとても大事なの。とくに飛行型の怪物と戦うときは、こちらも鳥になった気持ちにならないと勝てないわ。」


「空中での姿勢を制御する訓練ですね。」


「私、こう見えてもこの競技の選手なの。しっかり指導してあげるわね。」


「よろしくお願いします!」


 温はぴょこりと頭を下げた。



「じゃあ、まずは基本中の基本、ストレートジャンプね。直立姿勢を維持したままで上下に跳ぶだけ。簡単そうだけど、意外と威勢を維持するのは難しいのよ。この練習で求められるのはバランス感覚。ベッドの反発を読む練習。それによって高さをコントロールする感覚が掴める。直立を維持できるようになることで、危険な前後移動・斜め移動を防ぐのが目的。」


「そのボヨンボヨンの面をベッドって言うんですか?」


「そうよ。身体を預ける面だからね。じゃあ、ちょっとやってみせるから見ててね。」



挿絵(By みてみん)



「どうかしら?できそう?」


「がんばってみます。」



 温は最初の低いジャンプでは直立を維持できたが、1メートルを超えるあたりから身体が曲がり、ベッドの中心から離れた場所に落下するようになった。


「ダメ、ベッドが流れてる。1回降りて!」


 温は無様に尻もちをついてバウンドし、ようやくベッドの上に座り込んだ。


「最初にコツをしっかり教えなかったのが悪かったわね。大事なのは視線。下のベッドや上の天井を見ないで前を向いて遠くを見ること。視線が動くと首が動き、首が動くと胴体がブレる。その結果、ベッドが流れる。そしてベッドを踏む足裏だけど、親指の付け根で踏む。そうしないと後ろに流れたり横に流れて直立が維持できない。膝は伸ばしきらない。軽くクッションが残ったままなんだけど、これは口で言っても伝わらない。身体で覚えるしかないわね。腕を使ってバランスを取ろうとしてはダメです。腕で回転モーメントが発生すると流れます。まずは、同じ高さ、同じリズム、同じ位置で3回繰り返せれば合格ね。やってみて。」


「はい、がんばります!」



 温は再びトランポリンに乗り、しっかり前を見て直立姿勢を維持しながら5回跳んで尻餅をついた。



「OK、ずいぶん良くなったわ。これをあと5セットやって。私、あっちのベッドで少し練習してくるから。」


「わかりました。がんばります。」



5セットやり終えたので小休止しに廊下のベンチへ行こうとしたら、温は思わぬところで思わぬ人と遭遇してしまった。




「郁さん...。」



挿絵(By みてみん)



「あ、温ちゃん。」


「郁さん、どうしてここに?」


「あはは、見られちゃった。」


「ひょっとして私と同じで空中での姿勢バランスの訓練ですか?」


「うん、バーニアを付けてもらったんだ。これで空中の敵にも対応できる。ただし稼働時間は10分。それが過ぎると変身が解けてしまう。」


「なんかスリリングですね。」


「バーニアは高エネルギーで揚力を付与するのでスピードが出るけど、変身すると体重が200kgになるのでとても危ない。」


「人型小型ロケットみたいですね。」


「そう。だから姿勢制御には命がかかっているんだ。」


「ここにはけっこう通っているんですか?」


「本部が費用を精算してくれるから、時間があるときはいつも。」


「そうかあ。私、きょうが初日なんです。美咲さんに連れられてきて。美咲さん、トランポリンの選手ですって。」


「わお、見てみたい。」


「あっちで練習しているから見に行きましょう。」



挿絵(By みてみん)



「わ、すごくきれいだ!」



 温は郁が美技に感動したと信じたかったが、なんだか内心がモヤッとした。レオタードに惹かれたのだったらどうしよう。温は中学生のような体操服なのに。せめてタンクトップにすれば良かった。肩から二の腕にかけてのラインはわりと自信がある。


「美咲さん、空中を舞う妖精のようだ。すごいなあ。ずっと見てられる。」


 郁は前のめりになって美咲を眺めていた。うん、美技に酔いしれて鑑賞してるだけ、じっと見つめてるわけじゃない。温は自分に言い聞かせ、心のさざ波は警戒を要する高波になることはなかった。


 美咲はトランポリン台から降りてきて、郁に気付いた。


「あら、郁くん、来てたの?」


「はい、俺も空中戦闘が可能になったので、空中での重心制御をマスターする必要になりました。」


「熱心ね、さすがヒーローだわ。」


「いえ、その、マスターしないと小型ロケットの衝突という笑えない状況に陥るので命がけなんです。魔法と違ってマシンの技術には重量が伴うので。」


「大丈夫、郁くんならきっとマスターできるわよ。何なら30分ぐらい基礎的なレクチャーをしてあげようか?」


「本当ですか?ぜひお願いします!」


 温の心のさざ波が5cmほど高まった。


美咲さんはレオタード、温は中学生みたいな体操服。並ぶとこれはマズいです。

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