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変身ヒーローカップルの、人に言えない悩み――変身すると男女が入れ替わる  作者: 青い水


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温と郁、それぞれに新装備

今回は温と郁、それぞれ新装備が与えられます。

 温は美咲からLINEを受信した。


「やっほー、温ちゃん。週末のバイトのシフト空けといて。基地に案内するから。」


「はい、よろしくお願いします。」


「サブウェポンだなんて、やる気満々ね。」


「キックボクサーの美咲さんのように動けないので、防御強化です。」


「なるほど、温ちゃん、中学で剣道部だって言ってたもんね。」


「はい、サブウェポンの話をしてから、竹刀を持ち出してずっと家で素振りしてます。」


「おお、美少女剣士の爆誕ね。」


「あ、それ燃えるネーミングですね。美少女戦士にして美少女剣士ビブリア、ここに参上です、って。」


「ふふふ、ビジュアルが目に浮かぶわ。じゃあ週末に高幡不動駅で待ち合わせね。」


「はい、よろしくお願いします。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「じゃあ郁くん、ドームアイソレーターへどうぞ。」


「はい。よろしくお願いします。」


「バーニア機構と変身コアが融合して馴染むまで24時間かかるから、しばらく夢の世界で美少女戦士さんとデートでも楽しんでなさいね。」


 女はそう言ってウィンクした。いままで名無しの女として取り扱ってきたが、この女の名前はイリーナ・イオネスコ。なんか業の深そうな名前だ。言われたとおり、麻酔が効いて睡眠に落ちた郁は、雲の上で笑いながら温と、そしてもうひとり美咲と手をつないで浮かんでいた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 高幡不動駅で待ち合わせた美咲と落ち合った温は、京王線で京王八王子まで進み、そこからJR八王子駅まで歩いて中央本線に乗った。乗って一駅、降りたのは、こないだ郁と訪れた相模湖駅である。



「さあ着いたわ。あっちの駐車場に迎えの車が来てるはず。」


 美咲に促されて駐車場に入ると、黒服にサングラスの男たちが待ち受けると思いきや、グレーの作業服を着たふつうのおじさんが2名、こちらも黒塗りではなくライトブルーのSUVの前で待っていた。


「お待ちしてました、ヴァイオレット。」


「出迎えご苦労様。さあ、温ちゃん、これで基地まで行くわよ。」


「近いんですか?」


「林道を通って行くの。一般車両が通れない山林管理用道路ね。うちの組織が通行証を発行させたので通れるわ。一般車両の目に付かないのでバレないの。」


「うわ、なんかTVの秘密戦隊ものみたいですね。」


「林道を進むと、途中で廃材焼却用施設に偽装したコンクリートの建物があるの。そこが基地の車両出入り口。中に入って斜行エレベーターに乗ると基地へ着くわ。」


「めちゃかっこいいです。楽しみです。」


「あ、見えてきた。あのコンクリートのでかいダムみたいな建物、あれが車両出入り口よ。」


「おお、秘密基地だ。」


 温と美咲は斜行エレベーターに乗って基地の中枢部に到着した。


「IPWFへようこそ!」


 いつもの通信機に出る声だ。ドイツ語じゃない。年齢は...外国人なので判別できない。


「こんにちは、いつも通信機で的確な指示をありがとうございます。」


「自己紹介がまだだったわね。私の名前はヒルデガルト。元美少女戦士で引退後にここに就職したの。」


「そうだったんですか。」


「美少女戦士時代の名前はソフィア。フィリアと迷ったけど、愛より知恵だと思ってソフィアにしたのよ。主にヨーロッパで活動してたわ。で、引退後はそれまでの人間関係がリセットできる日本へ来たというわけ。」



挿絵(By みてみん)



「金髪碧眼の美少女戦士...かっこいい!」


「ふふ、あなたのサブウェポン、用意ができてるわよ。名前は例によってドイツ語。Blaulicht、青光よ。刀身がミスリル製なので青く輝くの。それを見て敵が怯むわ。」


「おおおおお、かっこいい!」


「ちょっと試してみたいので、そこの装置の中に入って。テストフィールドへ転送します。」



挿絵(By みてみん)



「ではテストを始めます。変身して。」


「フェアヴァンドレ・ミッヒ!」


「ブラウリヒトを取りだして。」


「Blaulicht herausnehmen!」



挿絵(By みてみん)



「わあ、かっこいい!」


「では切られ役の人型ドローンを数体射出します。すべて切り伏せてください。」


「了解!はぁーあっ!」


 巻藁まきわらのような感覚で人型ドローンは次々と真っ二つになった。



「OK、温、ご苦労様。Blaulicht aufbewahren, bitte!」


「ブラウリヒト、アウフベヴァーレン!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「さあ、郁くん、起きて。バーニアは無事に組み込まれました。起動実験をしますから、こちらの転送装置に入ってください。」


「わかりました。」


「転送先はテストフィールドです。様々な地形を用意しましたから、バーニアの性能を試してください。脳とリンクしているので捜査は不要です。手足を動かすのと同じくらい自在に動かせます。ただし...慣れれば、の話ですが。」



「フィールド転送が成功しましたね。それでは変身してください。」


「変身!」


「足下を崩すのでバーニアで浮上してください。」


「うわっ!」



挿絵(By みてみん)


 郁は崩れ落ちた足場とともに落下した。



「ダメですね。最初からこれは難しいかもしれません。いったん平地に戻します。今度は平地から上にジャンプしてバーニアで軟着陸してみてください。」


 郁はジャンプしてバーニアに点火しようとしたが、点火する前に地上に戻ってしまった。そして地上でバーニアが点火したのでそのままロケットのように打ち上がり、上空をくるくると回ったあとで落下した。かなりダメージを受けたようだ。


「今日はもう無理みたいね。治療するので戻します。訓練は明日再開します。きょうはこのまま休んでください。」


「申し訳ありません。」


「謝らなくても良いわよ。バーニアを操れる人間なんてそうそういないのだから。明日の特訓に期待しましょう。あ、そうそう、大切なことを言うのを忘れてたわ。あなたの変身、無限ではないの。エネルギーを消費して変身を維持してるのよ。エネルギーは通常の人間体のときに太陽光線から蓄積されます。光合成の原理ね。ふつうの生活をしていれば溜まるわ。部屋に引きこもっていては溜まらないけど。で、満タンのときの稼働時間だけど、15分です。短い?でもウルトラマンよりかなり長いわよ。で、今回実装したバーニアだけど、これを使うとエネルギー消費が増えるので、バーニアを使った戦闘だと10分になるわね。整数になったわ、おめでとう。」


「めでたくないんですけど。」


「なので長期戦は無理。勝てそうにないと思ったら逃げなさい。バーニアで飛び退き、あとは必死で走れば逃げられるから。」


「わ、わかりました。」


 返事をしながら郁は自分のふがいなさを呪った。弱点ばかりだな、俺。





温は最初からブラウリヒトを使いこなしているのに、郁のバーニアは前途多難のようです。刀とバーニアを比べるのも変な話ですが。

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