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変身ヒーローカップルの、人に言えない悩み――変身すると男女が入れ替わる  作者: 青い水


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10/22

憧れの初デート

タイトルにあるように初デートです。とはいえ、戦闘に備えた訓練を兼ねてのことですけどね。そういう理由じゃないと郁くんも誘いづらかったでしょう。うん、青春だ。

「ねえ、温ちゃん、今度の2人の共通の休日に筋力アップも兼ねて相模湖に行かないか?」


「(わ、デートの誘い来た!)はい、ぜひ。」


「巨大クライミングアトラクションがあるんだ。ぶら下がったりよじ登ったり、さらにはパンチの力を試すサンドバッグ的なものも付いている。俺たちにピッタリだと思うんだよ。」


「おお、それは燃えますね。変身前の生身がどれほどのものなのか、限界を知るにも良い機会です。」


「相模湖へは、京王線で八王子まで行って、そこで中央線に乗り換えて相模湖駅まで行く。けっこう歩くよ。」


「すごくお腹が空きそうですね。お弁当、任せてください。女子のお弁当じゃないですよ。肉体を酷使したあとに食べるがっつり系です。こう見えても得意なんですよ、そういう系の料理は。」


「わあ、それは楽しみだ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



挿絵(By みてみん)



「わあ、すごく巨大ですね。3階建てですか。」


「安全のためハーネスを付けて進むみたい。始める前にレクチャーもあるよ。」


「屋上は展望台になってるんですね。景色良さそう!」


「急ぐ必要はないからゆっくり進もう。」



挿絵(By みてみん)



「下を見ちゃダメだ、温ちゃん。」


「何か腰から下がスースーします。」


「うんうん、わかるよ。たぶん男女差はあると思うけど。」


「変身したら飛行できるようになったので、高所への恐怖はなくなりました。」


「今は生身の人間なんだから少しは緊張しようよ。」



「あ、見てください!サンドバッグがあります。」


「ちょ、ちょっと待って。あれ、細い梁の向こう側にあるんだけど。」


「大丈夫、美少女戦士は場所を選ばず攻撃できないと。」



挿絵(By みてみん)



「とりゃああっ!」


 足下が不安定なのに温は思いきりサンドバッグにパンチを叩き込んだ。反動で梁が揺れる。だが温は安定してバランスを取り無事に生還した。



「どうですか、郁さん、やってみませんか?」


「あ、ちょっと無理。かっこ悪いけど、空を飛んだ経験がないので恐怖を克服できない。」


「そうですか。なら本番では空の敵を私が担当しましょう。空中でも踏ん張ってパンチに体重を乗せられそうです。」


「頼むよ。俺、変身するとメタリックボディーが200kgぐらいになるんだ。落下ダメージが半端ない。いちおう防衛力と力は20倍になるので、変身後の動きが重量で鈍重にはならないのだけど。なので、盾になって弾丸から温ちゃんを守ることはできる。」


「わあ、それは頼もしいですね。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



挿絵(By みてみん)



「ふう、ようやく頂上の展望台に着きました。わりと余裕でしたね。」


「うん、生身なら余裕。体重65kgだし、落ちる気がしなかった。でも変身すると怖いかな。この問題は本部とも話し合わないと。」


「アニメの機動兵器に付いていますよね。たしかバーニアとか。」


「そう、それだ。バーニア。空が飛べるわけではないけれどジャンプの補助と空中の短期ホバリング、着地の際のバランス補助。それが付けられないか相談してみよう。」


「もしダメでも私が抱き抱えて空を飛んであげます。」


「うん、ありがとう。その姿が悲しすぎるので是が非でもと頼み込んでみるよ。」


「はははは、じゃあ地上まで飛び降りてお弁当にしましょうか?」


「だから、飛び降りはダメなの。普通に慎重に降りよう。」


「ふふふ、冗談ですってば。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


挿絵(By みてみん)



「さあ、お弁当ですよ。たくさん召し上がれ。」


「わあ、すごい。感激です。たくさん動いておにぎりと唐揚げ、これ以上の幸福はありませんね。」


「郁さんに誘ってもらってテンション爆上がりで作ったんですよ。一緒に食べられるなんて神様からのご褒美でしかない。」


「温さん、ホント、俺は猛烈に感動してます。こういうお弁当、ずっと食べたい。」


「ふふふ、リクエストがあればいくらでも作ってあげますよ。(ママ、ありがとう。胃袋を掴めば恋は負けなし、本当でした。)」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「バーニアを付けて欲しいと?」


 郁は秘密基地に来ていた。


「はい、今のままだとビルの屋上など高所での戦闘が不安です。身体の防御力が上がったとはいえ、重量も増えて200kgもあります。落下ダメージが半端ないと思います。」


「たしかに.どこでそれに気付きました?」


「訓練を兼ねて3階建ての巨大アスレチック施設へ行ってきたのです。そこで、もし変身中だったらと考えました。200kgの重量に耐えられない足場だと踏み抜いて落下するな、と。」


「なるほど。それは良い訓練をしてきました。交通費や諸費用は精算します。領収書はありますか?」


 思わぬ展開に戸惑いつつも、郁は財布からアスレチック施設のレシートを出した。温との思い出に取っておいて良かった。


「往復の交通費も精算させていただきます。あら?“2名様”となっていますが?」


「び、美少女戦士と一緒でした。」


「なるほど共闘する相手と合同訓練ですか。ならば彼女の分も精算します。あとで経理部から受け取ってください。さて、バーニア実装は可能ですが、調整や試験飛行も含めて3日かかります。よろしいですね。」


「あの、できましたら大学に公欠届を出したいので何とかなりませんか?」


「律儀ですね。良いでしょう。この基地の名前では出せないので国連の関連団体から出せるよう手配しましょう。」


「ありがとうございます。」


「それではさっそく実験室へ行きますよ。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 温はIPWFに連絡した。


「ハロー、ビブリア、お元気?」


 いつものドイツ語が出なくて拍子抜けした。


「はい。訓練で順調に強くなっていると思います。先日は相模湖の巨大アスレチック施設に行ってきました。もちろん変身前の生身で施設を利用しましたが、頭の中で、もし変身後だったらとシミュレートしてみました。」


「あら、自主訓練とは感心ですね。かかった費用があればレシートとともに申請すれば精算しますよ。」


「いえ、その...変身ヒーローさんが払ってくれましたので。」


「そうですか。これからは美少女戦士活動で発生した費用は精算するので、領収書は必ず取っておいてくださいね。」


「はい、よろしくお願いします。」


「で、今回は何の用ですか?」


「ロッドは異空間収納されます。ということは他の武器もaufbewahrenとherausnehmen できますよね。」


「はい、可能です。今までそんな要望を出した戦士はいませんでしたが。サブウェポンが欲しいのですか?ちなみに規則で銃器は渡せませんよ。」


「はい、変身後に攻撃力は10倍になりますが、防御のほうは装甲のない生身です。防御力が10倍だとしても、攻撃を食らえば痛いし、傷も付くでしょう。パンチとキックではリーチが足りずに敵の攻撃を受けてしまうことも多くなると思います。」


「なるほど、盾が欲しいのですか?キャプテンアメリカのような。それともワンダーウーマンのようなガントレット?」


「えーと、あまりアメリカンな戦闘スタイルにはしたくありません。私、中学では剣道部だったので、剣や刀のようなものが欲しい。日本刀は攻撃と防御の両方に使えます。」


「なるほど、斬撃に適した軽量の両手剣ですね。わかりました。用意しますので取りに来てください。」


「あのー、場所がわかりません。」


「そうでしたね。ではヴァイオレットに連絡しておきますので、一緒にいらっしゃい。歓迎しますよ。わりと近いのでびっくりするかも。」


「わかりました。楽しみにしています。」



瓢箪から駒のように、初デートから新装備。これは熱い。次回が楽しみです。

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