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トラウマ

魔物達は僕たちを最高の獲物だと言わんばかりに囲んでおり何もすることのできない僕たちはただ地面にへたり座り込んでいた。

僕は体が動かせずに苦しんでいて魔物に襲われそうになった瞬間に周囲の温度が下がるのを感じる。


「凍りつけ」


氷のような冷たい声が聞こえる、同時に僕たちを取り囲んでいた魔物達を一瞬にして凍らせてしまった。

僕は目を見開き声の方を見るとそこには先生とアシリアが立っていた、先生は僕たちに近づいてくると地面に倒れている僕たちを心配するように聞いてくる。


「間に合って良かったよ、怪我はないな?」


ニーナは怒られるかもと思ったのか少し泣きそうな顔をしながらも先生にあった事を伝えた、静かに聞いていた先生は話が後半になるに連れて体をプルプルと震わせながらも最後まで聞いてから静かに答える。


「エアル、お前はよくやってくれた、ありがとう」


僕の頭を撫でながら優しくいう先生に僕は照れ臭くなるがその後のニーナとアクトに対してのキレた様子を見て自分の事ではないが体が震えた。


「ニーナ、アクト、お前達じゃ手に負える魔物は少ないからあれ程森に入るなと言ったよな?それなのにどうしてそう無茶をするんだ?アクトもこんな様でエアルが来ていなかったら死んでたかもしれないんだぞ!?もっと自分の命を大切にしてくれ、お前達が死んだら周りの人が辛い思いをするんだぞ、それがどんなに辛いものなのか今はまだわからないだろうが、いやあんな思いは永遠にわからないほうがいいかもしれないな」


そこまで言うと先生が少し悲しそうな顔をしているふうに感じたが直ぐに切り替え直す。


「とにかくだ、2度とこんな危険な真似はするんじゃ無いぞ!わかったな!?」


先生が怖い顔して言うとアクトは気絶していたがニーナは顔をぐしゃぐしゃにしながら号泣して謝っていた。


「ごべんなざい〜ぜんぜいによろごんでぼじくでぇ!」


何を言っているのかよく聞こえなかったがそういえばこの2人はポブボアを先生の誕生日プレゼントとして捕まえるつもりだって言っていたような、あれ?でも周りにはそんなモンスターいなかった様なそれにルーンベアなんてこの辺にいるモンスターじゃ無い気がする。

近くの”サンマウンテン”にしか生息してないって聞いた気がするが、僕は先生なら何か知っているかもしれないと思い聞いてみることにした。


「先生、さっき僕たちはルーンベアと戦ったのですがこんなところに出る魔物でしたっけ?」


僕は痛みが引いてきたので地面に座り込みながら聞いてみる、先生は僕の質問に頭を冷静にして答えてくれる。


「確かにな、この辺で出る様な魔物じゃ無い、それにルーンベアは縄張り意識が強く滅多に山を離れる事はないと思う、もしかしたら山で何かあったのかもしれないな、また調べてみるよ」


僕は先生に肩を借りて立ち上がる、アクトはアシリアとニーナで運んで僕たちは村まで戻る事にした、ルーンベアと先生のおかげで帰り道は魔物に遭遇する事はなく何事もなく村についた、その頃には日も傾き始めて村を茜色に照らしていた。

村に着くと先生は調べるものがあると1人で自宅に戻ってしまった、僕たちも各々帰宅して家に着くとボロボロの僕を見て父親は驚愕していた。


「エアル!?何があったんだ?」


「いや、うーん、ちょっと修行しててさ」


僕は軽く誤魔化して疲れていたのでそのまま布団に倒れ込む様に横になる、今日は色々あり過ぎた、1人で森に入りルーンベアと戦いそして中級回復魔法を成功させたと思ったら魔力暴走まで体験した、あれは正直死ぬほど痛かったしもう2度とごめんだ、でも1番はみんなが無事で良かったと本当に思う。

僕は今日を振り返っている途中に睡魔に襲われて眠ってしまった。




ここは、エアル達が勉強を教わる家の地下にある”ミッシェル・キリエライト”が使用している部屋の一つ、彼女はこの部屋の存在を皆に隠している、人には誰しも知られたくない過去というものがある、彼女もそのうちの1人という事だ。


「もしかして、また現れたのか?こんな村の近くに?」


彼女は独り言を呟く、彼女は昔とあるダンジョンである”魔族”と出会い仲間を3人失った、その事件以来彼女は世界中でこの世界マナテリアを脅かさんとする魔界の住民”魔族”を心の底から憎む様になり、昔は世界中を捜索して回る様な旅を5年ほどしていたが魔族と出会えはしたもののこれと言った情報はなく、何故このマナテリアで最近になって姿を表したのか、そもそもどうやってこの世界に入れたのかその糸口を何も掴めないでいた。

そんな時に今回の森の異常現象があり、彼女はこれは魔族関係のものだろうと睨んでいた。

彼女は装備を整えて、山に探索に行こうと準備を整える、そして家を出ようとするが立ち止まる、魔族への恨みは強いがそれでも彼女は今の生活をかなり気に入っており大事にしていた、もし魔族がいたら、そのまま何か手掛かりを掴んで村を離れる事になったらと思うと正直山に居るものの正体を知りたく無いと思う自分もいた。


「私はどうすれば…」


ポツリと呟く、そんな事を考えながら家の前に長い間立っていたが私は決心する、仲間の仇は討つと覚悟を決めて山に向かう事にした、みんなにはちゃんと説明すれば理解してくれるだろうと思いミッシェルは村を後にした。

山に着くと辺りはすっかり闇に包まれており私はランタンを片手に照らしながら進んでいた、暗くて周りがよう見えない。

山の中腹あたりに着くとルーンベアの巣らしき洞窟を発見する、私は警戒しながら少しづつその洞窟の奥に進む事にした。


「うーん、よく見えないな」


洞窟の中は思っよりも広く天井まで7〜8m程ありかなり広々 空間がありランタン一つでは薄らとしか壁や天井は見えず、奥は暗闇で包まれていた壁沿いに進んでいるとヒュッと反対側を何かが風を切る様な音が聞こえた気がして、ランタンを向けて確認してみるが何も確認できなかった。


「なんだ?気のせいか?」


1人で呟きより一層警戒して先に進む事にした、そのまま少し歩くとふと違和感を感じるルーンベアの巣とは言えここまで広いものなのか?そもそも本当にルーンベアの巣なのか?そんな疑問を感じながらも奥に進むと前に壁が現れる、行き止まりの様だった。

四方にランタンを向けながら色々見てみたが特に変わったところはなくただの洞窟の様だった、私は何か引っ掛かる様な気もする。


「何も無いな。」


洞窟の中で独り言が反響している、今回も何も収穫を得られなかったのかと落胆したがとりあえず村に戻ろうときた壁と反対の壁に沿って歩き始めた、洞窟の中には何もなくただ一本道が続いているだけだった。

洞窟から出た時私は異変に気づく、何か異臭がしたので嗅覚を頼りに移動していると信じ難い光景が目に映った、私はその光景を見て膝をついて座り込んでしまう、そこに映っていたのは村が火炎に包まれており黒煙が上がっていた、そんな光景を見て私は絶望する。


「そ、そんな………はっ、み、みんなはエアル、ニーナアシリアにアクトお前達だけでも無事でいてくれ!頼む」


座り込んでいたが地を蹴り村へと祈る様に駆ける、草木を掻き分け無我夢中で走り続ける、肺が痛い呼吸が荒くなりはち切れそうだ、木の枝で手が切れて血が滴り落ちる、ただ今は私の事などどうでもいいただみんなが無事でいてくれれば私は満足だ、無事でいてれ。

頼むよ

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