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2人の捜索

アシリアと別れて1人で森に入る事になった僕は正直少し不安ではあった、森には魔物が多数存在しており、群れで動くものや危険性の高いもの毒を持っているものなど多数存在する、もちろんこの村の近くの森も例外なく危険が多数あるのだそんな森を1人でしかも2人の場所がわからないのでウロウロしないと行けないとなると危険に遭遇する確率はかなり高いだろう、村の北にある川まではそこまで遠くはないのだが僕は細心の注意を払いながら走っていると横から草木が揺れる音が聞こえる、僕は近くの木に素早く登り音がした方を見る。


「そこまでやばいやつじゃないと良いんだけど」


そう小さく呟きながら見るとそこに居たのは小さなウサギだった、僕は胸を撫で下ろして安心する、少し警戒しすぎたのかもしれないな、取り敢えず先を急ごうと木から降りようとした瞬間ウサギが空から襲来した鳥型の魔物に襲われてそのまま鷲掴みにされ空高く連れて行かれる、僕は突然の事に身を木の中に隠しながら気づかれない様に上を見ると3匹ほどの鳥の魔物が僕に気づいているのか円を描くように僕の頭上を飛んでいた。

やばいどうしよう動けない、僕は焦るが自分を落ち着かせようと静かに気にしがみついていたまま後悔する。


「やっぱり1人で来なきゃよかった、どうしよう」


鳥の魔物が3匹ぐ交互に泣きながら旋回しているのを見て僕は覚悟を決める事にする、ニーナとエアルも心配なのでここは今僕にできる全力で追い払ってみて無理だったら逃げよう。

僕は掌を鳥の魔物達の中心に向ける、そして体の中心にある魔力器官から魔力を手に集めるように流す。


「雷よ鳴れ!」


僕の詠唱と共に雷の魔法は鳥の魔物達の方へ飛ぶ、ハズレはしたが魔物達は驚き散開すると僕は好きを見逃さずに川の方へと走り出した。

何とか追い払うことは出来たけど狙いが上手く定まらないなぁ、逃げられたから良いのは良いんだけど少し腑に落ちなかったが今はとにかく走り続けた。

目的の川に到達して辺りを見渡すが2人の姿は見えなかった。


「うーん、あの2人どこ言ったんだ?」


僕が歩きながら周りを見たして居るとふと違和感に気づいた、何故か川の近くなのに魔物はおらずそれどころか虫や鳥の鳴き声すら聞こえないので僕は何か嫌な予感がするのでこの場を直ぐにでも離れたかったがやはり2人が心配なのでもう少し探索する事にした。

川を中心に歩いているとガサガサと気が揺れる音が聞こえた。


「うわっ、びっくりしたぁ、木が揺れただけだよね?」


僕は少しビクビクしながら探索しているとパキッと枝が折れる音が後ろから聞こえて僕は武器を構えるが何もいない、うぅもう帰ろうかなぁ、僕が弱気になっているとその音の正体が姿を表した。


「え、クマ!?それもルーンベアじゃないか!」


僕はその小さなルーンベアの幼体を見つめて1人で驚く、ルーンベアとは危険度2の魔物である。

魔物の危険度は10段階で表されており、数字が大きくなるほど危険度は増していくのだ、とは言っても危険度2は冒険者でないと手に負えないレベルの魔物なのであるもし2人がこの魔物に襲われていたらもう僕の手に負えるないだろう、そう思いながら親熊が来る前にその場を離れようとするが2人の顔がチラついて出来なかった、本当に2人はどこにいるんだよ、と少し気持ちが落ち着かなくなってくると近くから高い声の悲鳴が聞こえてくる、僕は嫌な予感がしてその悲鳴の方へと走り出した。

僕は草木を掻き分けて茂みを抜けるとそこにはニーナとアクトがルーンベアと対峙していたのだが僕は目の前の光景に驚愕する、何とそこにはニーナとルーンベアに引っ掻かれたであろう傷が胸にあるアクトが横になって倒れていたのだ、かなり深刻な状態に見える僕はルーンベアのことなど忘れて走り出した。


「アクト!ニーナ!大丈夫!?」


すると僕の声に反応したニーナが僕を見て安心したのか涙を流す、アクトを抱えたまま僕に必死になって言ってくる


「エアルゥ、大変なのぉアクトが、アクトが!私を庇ってぇ死んじゃったのぉ、うわぁぁん」


僕は素早く2人に駆け寄るとアクトの脈があるのかを見る、どうやらまだ生きているようだがこの傷は相当深そうにも見えるので早く治療しないと行けなさそうだ、僕はアクトの体に手を向けて回復魔法を試してみる。


「自然の癒しを」


光と共に少し傷は塞がったが初級ではこれが限界かもしれない、早く村に連れて帰らないと、とそんな事を考えていたら今まで僕たちを見ていたルーンベアが威嚇するようにこちらに近づいてくる、そんな状況でも僕はかなり冷静であったと思う。


「ごめんニーナ少しアクトを頼む」


「え?う、うん」


僕はニーナにアクトを預けると立ち上がりルーンベアに向き直ると剣を構えて呼吸を整える、勝てなくても良いただこの魔物を追い払って直ぐにでもアクトを村の病院に連れて行ってあげないと彼が死んでしまう。

そう思うと僕は今日の父親との模擬戦を思い出して体勢を低くして構えるとルーンベアの足を目掛けて飛びかかる。


「エ、エアル!?」


ルーンベアに向かっていく僕に驚きを隠せないでいるニーナが目を見開いていた、僕がルーンベアの足元まで行くと当然ルーンベアは手を振りかぶり攻撃を仕掛けてくると僕はすかさずその手に剣を当ててルーンベアの力も利用してそのまま腕を切り落とす事に成功する。


「よし」


一言そう呟きそのまま、痛みで怯んでいるルーンベアに追撃をかますかのように剣の先の部分で体に突きを入れると怯みはするもののある事に気づく。


「抜けない」


その隙を見てルーンベアは腕で僕を吹き飛ばそうと振るうと僕は爪での致命傷は避けたものの攻撃をもらい少し後ろに吹き飛ばされてしまった。


「ぐぅわっ」


「エアル!」


ドサッと地面に倒れ落る僕を見てニーナは悲痛の声を上げる、僕は痛みで動けないでいると足を一本失いながらも素早い動きで僕に追撃を喰らわそうと走ってくるルーンベアが視界に映る、正直逃げ出したいが2人も視界に入ると僕は自分を奮い立たせてどうルーンベアを倒すか頭をまわして考える。

今僕は剣がない、ルーンベアに刺さってしまっている、魔法も雷の魔法なら使えるが僕の魔力であの硬い皮膚を貫通できるのだろうか不安になる、それに早くしないとアクトが血を流し過ぎてしまう、そんな事を考えながらある一つの方法が頭に浮かぶ。

硬い皮膚を魔法が貫けないなら皮膚を貫いている部分から魔法を当てれば良いと、良しっ!これなら行けそうだ。

僕は走ってくるルーンベアを寸前のところで躱してそのままルーンベアの下に潜り込むそして剣の刃の部分に手を当てる。


「雷よ、鳴れ、駆け回れ!」


僕の今の全力で魔力を流すと雷の魔法は剣を伝いルーンベアの体内を駆け回り即死させた。

魔法を喰らったルーンベアは横にどすんと砂埃をあげながら倒れてしまい僕も地面に座り込み、はぁはぁと僕の荒い呼吸だけが聞こえる。


「す、すごい、すごいよエアル!ルーンベアを倒しちゃうなんて!びっくりだよ!」


ルーンベアが倒れて少し経ってからニーナは興奮気味に僕を褒めてくれる、嬉しくなるが今はそれどころではないと思いアクトに駆け寄る、脈を見てみるとかなり弱くなっている、ここで直ぐにでも治療しないとアクトが死んでしまいそうで不安になる。


「ねぇ、エアル、アクトは大丈夫なの?」


そんな不安そうなニーナに安心させてあげれるような言葉はかけれなかった。


「このままじゃかなり危ない状況だね、そうだ、一か八かあれをやるしか…」


すると僕は再びアクトのキズに向かって手を伸ばすと回復魔法をかけようとしてみる、するとニーナが横から言ってくる。


「回復魔法はさっきもダメだったんじゃ」


確かに回復魔法の”初級”はダメだったでも今回僕がやろうとしてるのは”中級”の回復魔法だ、僕は魔力器官を全力で活用するよう意識して手に魔力を集める。

一度も成功した事はない、けど、ここで成功できないと僕は一生後悔するだろう、だから一度でいいから頼む、成功してくれ。


「大地の癒しを」


僕が詠唱すると、アクトの傷は優しい光に包まれて綺麗に塞がった事を確認する、僕は魔法に成功して安心する。


「アクト!良かった傷が治ったよぉありがとうエアル!流石だよ」


「本当に良かった」


僕は安堵していると自分に無理をさせ過ぎたのか魔力器官の暴走が始まった。

人族は体に魔力を生成する器官を持っている、それが魔力器官だ、それを酷使し続けて魔力を行使し続けると魔力器官の暴走へと繋がる、魔力器官が魔力枯渇状態になると自然にある魔力を無理矢理にでも吸収しようとして全身の魔力が逆流するので全身痛みと頭痛や吐き気に襲われ最悪の場合は気絶してしまう、それ程人族にとっては使用するのが難しい器官である。

そして今エアルの身体は今魔力器官の暴走が始まっていた。


「あがぁぁぁぁ」


僕は突然の痛みに声が出るとニーナはそんな僕に気づいて泣きそうになりながらも心配する。


「エアル、どうしたの?大丈夫なの?」


僕が全身の痛みに悶えていると周りから棲家をルーンベアに追いやられた魔物達が出てきた、狼の魔物や蛇、鳥、虫の魔物なんかもいたが僕は痛みでそれどころではなかった。

必死で声を抑えて我慢するが少し漏れると僕の声で魔物達は近づいてくる、全身の魔力が逆流するとは聞いていたがここまでのものだとは思っていなかった。

気を失いそうになりながらも僕はニーナとアクトを守ろうと立ち上がろ後するが体がいう事を聞かなかった、クソっここまできてなんでこうなるんだよ!せめて2人だけでも逃してあげたいけど、全身の痛みに思考がまとまらず会話ができなかった。

魔物達は僕たちを最高の獲物だと言わんばかりに囲んでおり何もすることのできない僕たちはただ地面にへたり座り込んでいた。

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