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天知る

 私がこの戦いですべきことは三種の神器を使わせないことだ。

 まず、【聖杖】。

 これは通信遮断を使う。

 【聖杖】は人々が発する祈りの波を辿って魂を捉える神器。

 つまり通信遮断で祈りを遮れば問題ない。


 【龍玉】も大したことはない。

 悪魔の力をちゃんと使えなかった時でさえ精神の所有権を奪い合えた。

 雑魚だ。


 問題は【魔導書】だ。

 これは防ぐ手段に乏しい。

 幸いなことに、複数の【能力】を同時に発動することはできないので頑張って対処すればなんとかなるはずだ。


 お、ランヴェルさんがノイアルルを斬った。

 ……やっぱりくっついたわね。


「天王、少し期待してたんだけどね」


「期待を裏切る稀代の天王、それが俺さ」


 ノイアルルは私と似ている。

 私が思いつくことはノイアルルも思いつくし、ノイアルルが思いつくことは私も思いつく。

 だから双子として生まれたのだろうか。


「やれー、ランヴェルさーん。させー!」


「クソ、競馬場じゃねぇんだぞ」


「……」


 おっと、【魔導書】が開いたわね。

 なにが出るかしら。


「【魔導書】、【消去】」


 消える波が出た。

 反射で逆位相を生み出す。

 危ないわね。

 油断も隙もない。


「【解凍】、【反逆】」


「んなっ!」


 全ての波が反転した!?

 やばっ、危ない危ない。

 危うくランヴェルさんが消える所だった。

 くそぉ、舐めやがって……。


「動きが反転してしまう、か」


「……なんで消えない?」


「ふっ、【魔導書】の力なら封じているわよ」


「そうじゃない。あらゆるものは万有引力によって引き合っている。その力が反転すれば、あらゆるものは離れようとしてバラバラになる」


「それも封じているわよ」


 万有引力と同じ力の波を作って、もう一回同じ力の波を作れば元通り。

 ただし負担が大きい。

 悪魔化するか?

 でも、戦闘が長引いたらマズイわね……。


「エキュリソーさん! 短期決戦で決める!」


「……まあそれがいいかもしれないわね」


 悪魔の体を引っ張ってくる。

 これは完全に、だ。

 全身を悪魔化するのではなく、悪魔の体を地獄から引っ張る。


 言うなれば脱皮。


 これをやるとエキュリソーの肉体が死ぬが、まあいいか。

 死んで復讐を果たせたら気持ちいいだろうな……。


 悪魔の体を持ってくる。

 地獄の炎を纏いながら、私は現世に昇ってきた。


「このままお前を地獄に――」


『よくやりました。悪魔よ』


「「「は?」」」


『あなたの肉体を媒介として、干渉できる』


 この声は……、ジェネリック神だ。

 なんでこのタイミングで……。


『ノイアルル、あなたの【能力】を回収します』


「おいジェネリック神。漁夫の利をする気? 殺すわよ」


「逆にお前の【能力】を奪ってやるよ」


『ぐ……、ここまで信仰を集めているとは……』


 ふむ、お互いに苦しんでるわね。

 一番嬉しい状況になったわ。


「ランヴェル! あいつらが争っている内に殺すわよ!」


「……それは漁夫の利ではないのだろうか」


 どさくさに紛れてジェネリック神も殺してやる!

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