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料理人を料理しよう

 あれは……、鬼まんじゅう?


「どこからそれを取り出したか知らないが、そんなもので僕に勝てると思わない事だ」


「取り出したんじゃない。料理したんだ。俺は料理人だからな」


 いや、この鬼まんじゅうは本命を隠すためのものだな。

 料理人の体から波が出ている。

 何か、しようとしている。

 行動の前に起こる波が、奴の体から出ている。


 だが、一向に動こうとしない。


 動くはずなのに、動かない。

 クソ、一部しか悪魔化してないから詳細がよく分からない!

 全部を持ってくるか……?

 いや、まだノイアルルとの戦いがある。

 無駄な消耗は避けなければ……。


「なんか、暑いな……」


「そんなこと言ってる場合? それにここは動いてる車の上なのよ? そんな暑い訳が……」


 そこで、私は気が付いた。

 汗をかいている。

 いや、本当に暑い。


「んなッ! 血管が!」


 血管が、ブクブクとしている。

 まるで小さな動物が血管内に入ったかのような感覚だ。


「もしかして、沸騰してるのか!?」


 波、料理……。

 マイクロ波か!

 咄嗟に逆位相の波を放つ。


「ちくしょぉ……。料理人が電子レンジ使ってんじゃねぇよ!」


「別にいいだろ」


「そこだけは僕も同感だね」


「おいランヴェル! お前は私の味方をしろよ!」


 クソが。

 マイクロ波は波だが、私が扱う波とは違う。

 私が扱うのはあくまで動きの起こりにある波だ。

 つまり、マイクロ波の動きを止めておくことはできるが、逆位相を解除すればまた私たちを襲うという事だ。


「ランヴェルさん! 短期決戦でいきましょう!」


「だけど【断罪】と相性が悪そうなんだけど」


「なんで!」


「あの料理、罪を肩代わりしてる。多分、作った料理が魂に刻まれて同化してるからだと思う」


「どうかしてるぜ!」


「仙孤さん。助けて」


「無理じゃ! 車の操作で手一杯じゃ!」


 クソ。

 本当にクソだ。

 ノイアルルめ……、どこでこんな強い奴を見つけたんだ。

 しかたない。

 あれをやるか。


「目には目を……。歯には歯を……。熱には……、熱だ!」


 ラプラスの悪魔はやめだ!

 時代遅れ!

 これからの時代はマクスウェルの悪魔だ!


「速い、遅い、速い、速い」


「ちょっ、もの凄く寒いんだけど!」


 料理人に向かう速い分子は素通りさせ、遅い分子は波で弾く。

 料理人から遠ざかる遅い分子は素通りさせ、速い分子は波で弾く。


 こっちは滅茶苦茶寒くなるけど、料理人の周囲はクソ暑いはずだ。

 これは完全に悪魔化せずに使える最も強い技。

 めっちゃ寒いからあまり使いたくなかったが、この際しょうがない!


 蒸されて死ね!


 料理人の蒸し焼きじゃあ!!!

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