仙孤さん、ファイト!
今、何話目?
サウス・クァーリーとノース・クァーリーを繋ぐ鉄道。
通称クァーリー鉄道。
クァーリーとは、アクアリオ王国の東部に位置する細く長い地域である。
それを縦断する鉄道に、私たちは乗っていた。
「しかし、列車とは……、ここはあまり文明が高くないようだね」
「いや、十分高いわよ」
「……確かに」
ビル群などの現代を象徴するイメージを持ってしまったが故にこの列車は昔のものに思えるが、実はかなり文明が先だ。
夜行列車に揺られ、私はさっき買ったグミを口に含んだ。
本当はホテルで勝利の美酒に浸りたかった。
しかし、刺客が襲ってきたことを二人に言ったら、すぐに移動することとなってしまった。
確かに危険かもしれないが、どうだっていいだろう。
「ふぁ~……、眠い……」
「寝てていいよ。僕らはこの列車内を索敵してくる」
「うむ、お主は先程あの力を使ったのじゃろう? 休んでおれ」
「じゃあ頑張って~」
さて、寝るか。
羊が一匹、羊が二匹……。
すぐに寝息を立て始めたエキュリソーに毛布を掛ける。
「やはり、疲れておったか……」
「仙孤さん、僕は先頭車両まで見に行くよ。後ろは任せる」
「り! じゃ」
「ネット用語はあんまり現実で使わない方がいいよ」
な、なんじゃと……!
ブレインでは皆が使っておると言うのに……。
難しいものじゃのぉ。
「しかし、刺客は本当にいるのじゃろうか……」
いるとすれば【龍装】を用いる魔導騎士か、天王配下の転生者じゃろう。
じゃが、ワシも【龍装】のことならば一日の長がある。
魔導具の中でも、太古から存在しているオーパーツ。
それが【龍装】。
もとは七つあった【龍装】も、今は三つ……、いや二つまで紛失している。
恐らく、エキュリソーのように【龍装】を投げ捨てた奴がいるのじゃろう。
もうあと二つしか残っておらぬ。
もったいない事をするのぉ……。
「そこのお狐様、車内販売はいかがです?」
「む?」
車内販売とな?
聞いたことがあるのぉ。
確か、列車内で様々なものを売るというものじゃったか。
「ワシに構うでない。他の乗客へ行け」
「お飲み物のラインナップはオレンジジュース、トマトジュース、烏龍茶、コーヒーがございます。お菓子はきのこの山、たけのこの里、すじのこ村、ポッキー、プリッツがございます」
「聞こえておらんかったか? 他のの乗客に売り込め。ワシらは忙しい」
「お探し物ですか? 落とし物ですか? お手洗いはこの先の車両にございます」
「やかましいわい! さっさと消えんか!」
「お客様、他のお客様に迷惑となりますので、大声は控えてください」
違和感。
なんじゃ、この強烈な違和感は……。
そうじゃ、今乗っているのは夜行列車であった。
「深夜に車内販売、じゃと?」
「ええお客様。あなた様のお探し物をお届けに参りました」
販売員が剣を取り出す。
それは、レイピア。
ワシはそれを知っている。
【龍装】、ベルフェゴール。
その剣先は、ワシに向けられた。




