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うんち

十二話

 紆余曲折あり、私たちは関所の街を目前にした。


「本当に大変でしたね……」


「ええ、まさかあんなことがあるなんて……」


「あれは死ぬかと思ったのぉ」


「生きていることが幸福だと思おう」


 紆余曲折あった。

 本当に大変であった。

 まさかあれがあんな事になってああするとは、誰も予想がつかなかっただろう。


「ま、死ななきゃ安いわよ」


「そうですね! それにこの街にも着きましたし!」


「なんて名前の街だったかしら」


「オゥヌチ街じゃよ」


「うんち街?」


「女の子が汚い言葉を使うものじゃないよ」


 セクシストめ……。

 でも口には出さない。

 私は成長したんだ。


(((性差別主義者め、とか思ってそうな顔してる……)))


「ん? どうしたの?」


「い、いやなんでも……。じゃあ街に入ろうか」


 オゥヌチ街は周囲を大きな壁に囲まれた街だ。

 この街に入るのも出るのにも身分証がいる。

 とはいっても、特別に必要なものはない。

 ただ、スマホ一つあるだけで十分。


 技術がどれだけ進んでも人間の適応速度には限度がある。

 ここまでスマホが普及したのは、恐らくノイアルルが人間の精神をいじっているから。

 ブレインでも盛り上がっていた話題がある。


 天王の上空飛行だ。


 ノイアルルが世界の上空を飛び、【龍玉】の影響を振りまいたのだろう。

 まるでウイルスのように。

 まあ私たちはそれを避けていたから見てないが。


「見てください! ロボット屋さんですよ!」


「家事代行ロボット、お値段は銀貨二十枚。普段の生活をサポートします、か。流石アクアリオ王国に最も近い街、だね」


「気持ち悪くなってきたわ……」


 これを動かすのにも人間の命を使っているなんてね。

 命より便利。

 でも、一番恐ろしいのは技術力。

 【魔導書】によって作ったのだろうか。

 あれはどんな【能力】があるかが未知数。


 そうしていると、大通りにリムジンがやって来た。


「……」


 考えるのはよそう。

 というか、車道があったから予想はついてたけど。

 そのリムジンは、道路の中央で止まった。

 そこから、二人の男女が現れた。


「こんにちは! ただ技術を貪る愚民の皆さん!」


「あれって……」


 そこにいたのは今ブレインを騒がしている少女だ。

 少女と言っても、齢十五歳を超えているようだ。

 十分少女か。

 名をジェリーという。

 彼女に対するネットの言葉は、その九割が似たようなものである。


 傲慢。


 彼女を表すとすればその言葉がふさわしい。

 常に他者を見下している。

 特に、アクアリオ国民以外のことを。


 めちゃめちゃうざいらしい。


「離れた方がよさそうですね」


「……なんで私を見るのよ」


「え、だって煽られたら……。いや、なんでもないです」


「淑女はね。そんなことでキレないの」


「金魚のふんみたいに生きて、恥ずかしくないんですかぁ?」


「ぶち殺すぞ! このメスガキ!」


「ああ……、やっぱり……」


「やり過ぎてはならぬぞ」


 舐めんな。

 十五年間ノイアルルと煽り合った私が負ける訳ない。

 レスバじゃあ!!

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