ノイアルルの思惑通り
冒険者組合の受付さんがウラリルトを引き取ってくれた。
どうやらたまにこういった荒くれ者が来るらしい。
普段は屈強な冒険者たちが多いので少ないらしいが、最近はスマホを買った冒険者たちがそれに夢中らしく、あまり来ていないらしい。
ともあれ、私は冒険者組合に登録できた。
「じゃあ次はスマホを買いに行きましょう」
「え、あれ買うのかい……? 危険じゃ……」
「多分ですけど、仙孤さんがそこに行ってるんじゃないですか?」
「ああ……、彼女の知的好奇心はかなり強いからね……。行ってみようか」
まあ買っても問題は無いと思うけど。
例え私たちの会話を盗聴されたとしても、それを全て選別することは不可能だ。
現在何人がスマホを持ってるか分からないが、かなり普及している事は想像に難くない。
二十四時間、全てのスマホが録音した音声からどうやって私たちのを抽出できるというのだ。
AIもないのに。
あったとしてもAIは仕分けるだけで、結局のところ精査は人間の仕事だ。
普通に考えて不可能だ。
まあ余計なリスクを減らすというのであればそれでもいいが。
「それにしても、拳銃か……。僕はあまり詳しくないけど、かなり現代よりの銃だよね」
「拳銃自体は十七世紀辺りでもあったらしいけど、これはニューナンブM60に酷似しているわね。いわゆる日本の警官が持っている銃よ」
「……もしかして、ノイアルルさんの前世って警官とかなのかな」
「……!」
ノイアルルの前世……!?
気にしたこともなかった。
ノイアルルも私の前世を聞いてこなかったから聞いたこともなかったけど、確かに。
警官?
あいつが警官って、終末期の日本じゃあるまいし。
「あんなのが警官に居たら怖すぎるわね……。民間人を平気で撃ちそう」
「まあもしかしたらそれで死刑になって転生したのかもね」
「あ、それよ。絶対にそれ。死刑になってない方がおかしいわよ。あいつ」
合点がいったな。
つまりノイアルルはクズって事で。
「あ、あれがスマホ屋じゃない?」
「ん……? んー……、多分そうね」
「……人が多いね。僕たち、この中に入っていくの?」
「取り敢えず、周囲で仙孤さんを探しましょう。見つからなかったら突撃で」
「うわぁ……」
ランヴェルさんはあからさまに嫌な顔をした。
当然だ。
なんせ、人が集まり過ぎて当のスマホが全く見えないのだ。
よくこれで傷害沙汰にならないわね。
なにか絡繰りが……?
「ねぇ、エキュリソーさん。あれ見て」
「んー? ルークス? なにあれ」
「どうやら、このスマホはルークスと言うらしい」
「ふーん、ブランド名って事ね。それで金額をかさましにしていると」
ノイアルルが考えたのか、それとも販売している人が考えたのか。
まあノイアルルではないだろう。
あいつの思惑は手に取るように分かる。
わざわざブランドにはしないだろう。
恐らく大勢がスマホを持つような社会を作りたがっている。
それは、世界征服のために。




