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食わぬ殺生、食う殺生。その手は桑名の焼き蛤!

七話

 ランヴェルさんが目を閉じた。


 正気か?

 いや、それが【能力】の攻略に必要な鍵?

 けど、それじゃあウラリルトの攻撃を防げない。


「【断罪】」


 ランヴェルさんが【能力】を発動させた。

 ウラリルトによって防がれていた【能力】を。

 それは剣だ。

 黄金のオーラを纏った剣。


「ふぅ……。君の罪はどれほどだい?」


「その剣をどうやって私に当てるつもりだい? ちなみに、目を瞑っていても私の位置が分かれば【能力】は消えてなくなるよ」


「エキュリソーさん! あとは頼みます!」


「え」


 ランヴェルさんが私に剣を投げてきた。

 なるほど、動いていないから場所が分かるのか。

 そう感心している内に、剣が目の前まで接近していた。


「え、ちょ、ちょっと!?」


 止めなかったら死ぬ?

 クソ!

 ランヴェルめ!

 せめて合図を出せよ!


 しかし、座ったままだった私は咄嗟に構えることができず……、その剣は私を貫いた。


「くはっ……、君はそうとう間抜けなようだね。味方を殺すなんて」


「罰を他者が肩代わりすることは決してない。それが【断罪】の本質」


「はっ……?」


 ウラリルトの背を剣を貫く。

 その剣は、ウラリルトの体内から現れた。

 ウラリルトの体内から現れ、ウラリルトの背を貫いたのだ。


 私の身体を貫いた剣は、肉体から床に移動し、更にウラリルトの肉体まで潜行した。

 これが【断罪】……!

 恐ろしい【能力】だ……。

 だが、これならノイアルルを殺せる!


「くふっ……。しかし、威力は弱いらしいね」


「まちなさい。ランヴェルさんはノイアルルを殺すために使える。本当はランヴェルさんが死ぬまで傍観しようと思ってたけど……」


「え?」


「でも、彼の力は使える。あなたに殺させる訳にもいかないわ」


 音割れ聖歌をウラリルトの脳内に流す。

 その瞬間、彼は床に膝を着いた。


「が、があああああ!! な、なぜ……、なぜ【能力】を使える……!」


「秘密。ミステリアスな女性って淑女っぽいでしょ?」


「ぐ、ぐぅ……。貴様ぁ……!!」


 ウラリルトは懐に手を入れた。

 まだ動けるか。

 音割れ聖歌の強い所は鼓膜が破れない所だ。

 つまり、いつまで経っても音が止まない。


 やはり、精神に波の立たないウラリルトには効果が薄いわね。

 まあまともに近づけないでしょうし、このまま弱るのを待ちましょう。


「私はこんな時の為に短剣を使っているんだ……!」


 ウラリルトが懐から取り出したのは拳銃。












「拳銃!?」


 パンッと乾いた音が鳴る。

 痛みは聴覚の後からやって来た。

 心臓のある位置を丁度撃ちやがった……!


「エキュリソーさん!?」


 そして、撃たれた場所から血の代わりに炎が噴き出した。

 危ない。

 再生しなくては……。


 悪魔の体(私の本体)は地獄に堕ちたままだ。

 エキュリソーの肉体が傷つくと、地獄が現世(こちら)へやってくる。


 早く塞がなくては……!

 肉体が朽ちてしまう……!

 まさか地獄がここまで近いとは……。


「エキュリソーさん、それは……。いや、女性にあれこれ聞くのは失礼だったね」


「それ、女性差別じゃない?」


「くっ……、君は苦手だ」


「まあそれより、こいつ殺しちゃいけないのよね」


「できれば。拳銃は回収するけど、後のことは衛兵さんに任せよう」


 私たちは音割れ聖歌によって気絶したウラリルトを衛兵の詰め所まで運んだのであった。

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