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冒険者組合にて

八話

 冒険者組合、そこは冒険者への依頼提供や依頼報酬の管理などを行っている。

 冒険者組合に属しているギルドは、自分で依頼の報酬を決めることができない。

 そのかわり、冒険者組合に持ち込まれる依頼を斡旋して貰える。

 他にも冒険者が使う道具なども安く買うことができる。

 それに加え、報酬に課される税金まで管理して貰えるため、普通に活動する限りでは組合に入った方が得だ。

 年会費は銀貨十枚。

 これは冒険者が年に稼ぐ額の平均、だいたいその十分の一だ。

 街に一つほどある冒険者組合の支部に行くことで、依頼を受けることができる。


 ただ、この街は冒険者組合が最初に生まれた地である。


 つまり、冒険者組合の本部がここにある。

 その分、建物もその年代に比例して大きい。

 縦に長いのではなく、横に広い。


「さすが、冒険者最盛の地ね……」


「エキュリソーさんってかなり詳しいよね。僕も見習いたいよ」


「まあ……」


 学院を首席で卒業したから……。

 にしても、思ったよりは閑散としてるわね。

 スマホを買いに行ってるのかしら。


「実は僕も来るのが初めてなんだ」


「そうなのね」


「うん。そもそも僕らは帝国に入ったのもついこの間だからね」


「そういえば言っていたわね。……ちなみに他の国でスマホはあった?」


「ある訳ないよ」


 ランヴェルさんはそう言って肩を竦めた。

 そうして話しながら、冒険者登録の受付に並んだ。

 並ぶと言っても、そこにはほとんど人がいない。

 ただ、私たちの前には一人だけが並んでいた。


「……君達。カップルかい? 二人で冒険者登録とはお熱いねぇ……」


「何だこいつ。殺すぞ」


「エキュリソーさん、駄目だよ……?」


「私たちはカップルでも何でもないわ。ただの……、友人? よ」


「なんで疑問符なの? 普通に友人だよ」


「くはははは!!」


 私たちの前に並んでいた男。

 その男は仮面を被り、表情は見えない。

 だが、精神の波が全く揺らいでいない。

 彼は、無感情に笑っている。


「くふっ……。いや、すまないね。これは反射のようなものなんだ」


「反射……」


「いや、君達にはこういった方がいいだろうね」


 何か嫌な予感がする。

 精神の波は依然として揺らがない。

 明らかにおかしい。

 普通の人間は大なり小なり揺らぎがあるものだ。

 だが、それがない。


「何者だ!」


「私の名はウラリルト。転生時に感情を取り去ったが、時々発作で爆笑するようになった。よろしく頼むよ」


「……転生者? 何のことか分からない。僕らはただの冒険者だ」


「知ってるかい? 天王であるノイアルル陛下はこの世界に日本語を持ってきた。だが、カップルという単語をそこに組み込まなかった」


「クソ、ノイアルルの所為か……」


「ノイアルル陛下、と呼べ!」


 ウラリルトは突然叫んだ。

 うるさい。

 どうでもいいだろ。


「ノイアルル陛下は、お前らのようなカスが気やすく呼んでいい方じゃねぇ!」


「【龍玉】の影響か……?」


 いや、精神を見てもその兆候はない。

 これは演技だな。

 そもそも怒ってない。

 くだらないな。


「まあいいノイアルル陛下は転生者を殺せと命じられた。君達には死んでもう」


「ま、まて……。僕らは同じ転生者だろう? なんで殺し合うなんてことを……」


「長い物に巻かれろ。郷に入っては郷に従え。私は世界の理から出ない」


 どうするか……。

 殺すのは別にいいが、勝てるか……?

 ランヴェルさんは戦力になるか怪しいし、私はあまり戦闘向けじゃない。


 私は服に忍ばせた暗器を触る。


 こいつ、相当に油断している。

 今なら殺せる。


「エキュリソーさん、下がってて。君が出たら彼が死んでしまう」


「いやいや、まさかね。人を殺すなんてね、そんな野蛮なことしないわよ」


「誰が出ようが関係ないさ。結局はどちらも死ぬ」


 舐めやがって……。

 ランヴェルさんが死んだらぶっ殺す……。


「僕だって【能力】を持っている。死ぬ気はないよ」


「来なよ。君達が私に勝つことは不可能だがね」


 ランヴェルが【能力】を発動させた。

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