龍王をぶっ殺せ!
母乳は撒いた。
俺を息を止めておくか。
『普通に私も殺してきそう』
息止めとけ。
「……ノイアルル、少し話をしないか?」
「ことわる」
「……したじゃないか」
『何で返事したの?』
はっ!
しまった!
おのれ龍王め……!
「……俺は何もしてないぞ。…………心も読んでいない。……そんなに憎たらしい目をしていれば誰だって分かる」
「くそが」
まあ少しくらい会話してもいいか。
『冥土の土産に聞いてあげなさい』
「……お前たちは神の存在を信じるか?」
「ああ」
「……そうだ。……神は実在する。……いや、したといった方が適切か」
「した」
「……ああ、神が実在したのは過去の話だ」
そんな馬鹿な。
俺たちは神に出会ってこの世界に来た。
『信仰上の話かも』
確かに。
「……今、神の代わりをしている奴がいる」
「かわり」
「……それは人々の信仰を用いて神の御業を再現する」
「……」
「……ノイアルル、分かるか? ……俺の言いたいことが分かるか?」
面倒なメンヘラかよ。
『うわ、似てる』
おいおい、龍王が可哀そうだろ。
そんなこと言ってやるな。
『殺意を覚える』
「……俺は感動している。……ノイアルル、お前には最初ほとんど期待していなかった」
「しね」
「……だが、お前は二人の王を下したのだ。……それは実際にそれまで凄まじい事ではないが、問題なのはお前の【能力】。……【虚飾】と言ったか」
「ほ」
「……それは恐らく、相手がその【能力】だと思った力を手に入れる、そうだろう?」
「……」
『バレててウケる』
お前のかーちゃんでーべそ!
『親は同じだろ』
「……その【能力】、信仰を用いる神の力と近似していると思わないか?」
「は」
俺が、神……?
流石、見る目あるな。
『うわぁ、性格が悪い所まで神そっくり』
聖王に殺されろ!
あ、聖王死んでるか。
「……俺は、お前の【能力】が欲しいんだ。……それがあれば永遠に現人神として君臨できる!」
あ?
何か、違和感がある。
『何で龍王がここまで長話をしたかってこと?』
ああ、すぐに攻撃を加えればいいものを。
「……なぜ、俺がここまでの長話をしたと思う?」
あ、答え言ってくれるんだ。
『やさしい』
「……俺が、この部屋に毒ガスを撒いているからだ」
「ゴホッ……」
なるほどね。
毒ガスか。
だから俺と話していたと。
『話せば口を開くから、それで毒ガスを吸わせたのね。龍王は口を開かずに会話できるし』
はぁ……。
そういうの、俺たち以外なら通用したかもな。
「……さて、乗っ取らせて貰おうか」
「【解凍】、【母乳生成】」
「……は?」
よかったよ。
念のために指文字で会話しておいて。
『龍王は気が付けないのね。翻訳でしか理解できないから』
龍王の実験材料としていた時に、どんな言語で話しても意味だけがあいつに伝わると知ったからな。
俺たちがいくら息を止めていても、息を止めたまま会話はできない。
息を吸わせるために龍王は会話をしたんだろうが、まあ無意味だったな。
『さっさと殺せ! なに悠長に勝利の余韻を楽しんでるんだ!』
確かに。
「じゃあな、神の成り損ない」
「……がっ、クソ、があああ!!!」
龍王を殺した。




