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龍王の死角

 あの〜、エキュリソー。

 嫌な予感が……。


『同感』


 こいつ、本体じゃない?

 影武者?

 というか、【龍玉】で操られた人間なのでは?


『本体は?』


 ……無理だ、追えない。

 誰が本体かも分からない。


『もう諦めましょう』


 そうしたらいつか俺は暗殺される。


『あなたが暗殺されたらどうなるの?』


 知らんのか、お前が暗殺される。


『龍王殺すしか無いわね……』


 でも奴を追う方法がねぇんだよな……。


『いや、あるわよ』


 ねぇんだよな……。


『あるわよ』


 あるんならさっさと提案しただろうし、ねぇんだろうな……。


『一人で暗殺されろ』


 いや、これ俺が悪い?

 悪くないと思うんだけど。

 なんですぐに提案しなかったの?

 馬鹿?

 馬鹿だったか……。


『自己完結すんなカス。……私も自信はないのよ』


 保険かけんなよ。


『うるさい。私は精神の波が見えるって言ったでしょ? さっき【龍玉】と精神の所有権を奪い合ったから分かるんだけど、【龍玉】はかなり特殊な波を放ってる』


 それを追うのか。


『ええ、そうすれば本体を叩けるはずよ』


 思っても見なかった龍王の死角、か。

 これなら勝てる!


『【龍玉】はそう遠くないわ。逆探知されるとは知らないようね』


 気付くものか!

 あの力は外付けのアイテムだ!


『私たちのもあの神から貰った外付けの力だけど』


 うるさい!

 俺が言いたいのは根っこを張ってるかって話だ!

 龍王のは根っこがない。

 行くぞ!


『ええ。あ、その角を右よ』


 右!


『嘘よ』


 クソが!

 左!


『実はそれも嘘だとしたら……?』


 クソが!

 右!

 これ十一年前もやったな!

 殺すぞ!


『いや、これには理由があるのよ。龍王は恐らく部下の目を通して私達を監視してるの』


 なるほど、迷ってる風な感じを出したのか。

 だがうぜぇ。

 普通にそうやって言えばいいだろ。

 嘘つく意味あったか?


『それは、やっぱりジョーク的な? 雰囲気重いじゃない。和ませようとしただけよ』


 イカれてる。

 こんな状況でやるか?


『まあ、うん。別によくない? パッションパッション。フィーリングでやっていきましょう』


 クソが!


『あ、その扉の向こうね』


 っしゃあ!

 かち込みじゃあ!!


「……よくぞ来たな。……ノイアルル、そしてエキュリソーよ」


 名前バレてんじゃん。


『私の名前は隠してたのに』


 まあいいや。

 母乳ばら撒こう。


「【解凍】、【母乳生成】」


 さあ、龍王が死ぬ時だ。

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