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ワンちゃん生き残れる

五話

「########」


「###########」


 両親が俺を見ながら喋ってる。

 何いってんだ?


『なんか、◯◯じゃないかもしれない、とか言ってる』


 ◯◯って?


『知らないわよ、初めて聞いた単語だもの』


 えきゅを。


『勝手に名前を変えるな』


 ◯◯が良いものなのか、悪いものなのか。

 判断がつかんな。


『お腹に足が生えているのは一般的に悪いものとして扱われそうだけど』


 だが、ここは異世界だ。

 名前のダサさも相まって、一般的な価値観はよく分からん。


『あなたはまず言葉を覚えなさい』


 正論やめて。

 とりま【能力】を発動するのは辞めておこう。

 隠しておけば今までの生活に戻るだけだ。


『そうね』


 馬車止まりそうだな。


『……止まったわね』


 はあ………、今日はここで野宿か。

 やだなぁ。

 普通に寒そう。


『しょうがないでしょ? あなたは自業自得よ。問題なのは私。あなたのミスで私までこんな目にあってるの、理解してる?』


 双子だからな。

 ミスも二等分だ。


『話が通じない……』


 ん?

 母乳くれそうだな。


『最後の晩餐にならない様にしなさいよ』


 うーん。

 凄いぎこちない。


『……あなたが【能力】を発動した時のこと、覚えてる?』


 確か……、母乳を飲んでる最中だったか。


『なんでお母さんがぎこちなく母乳を飲ませていると思う?』


 うーん……。

 分からん。


『明らかにあなたの【能力】を警戒してるでしょうがっ!』


 まあ、確かに。


「##############」


 母親、なんて言ってるんだ?


『……行く先を、変更するって』


 へぇ。

 どこに行くんだ?


『……私たちをここに置いて帰るって』


 ふむ、なるほどね。

 本来なら屠殺場に送られるけど、俺が【能力】を解除したから街道に置いておこうってことか。

 そんでもしかしたら優しい人が拾ってくれるかも、と。

 そういう理由ですな?


『あってそう……』


 まあしょうがない。

 そう言う日もある。


『あってたまるかぁ!』


 でも実際に現実として起きてる訳だし。


『あ、持ってきた荷物をベビーベット代わりにしてくれるっぽい』


 あ、父親が着けてた指輪を貰った。


『私はお母さんから貰ったわ』


 この世界って結婚指輪の概念あるのか?


『さあね』


 ……本当に置いていかれるんだな。


『ようやく実感できた?』


 ああ、なんかすまんな。


『もういいわよ。私たちは一蓮托生なんだから』


 そうか。

 なあ、一つ約束しよう。


『なに?』


 俺が近くにいる時、お前は絶対に安全だ。

 それを保証しよう。


『じゃあ、手を握って』


 なんで?


『それが、約束の証だから』


 分かった。

 赤ん坊の体は動かしにくいな。

 っ届いた!


『……あったかい』


 ……ならよかったよ。

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