龍王はカス
「あぁカス! 【解凍】、【母乳生成】!」
「……ほう、やはりその【能力】か。……【母乳生成】、その名前とは裏腹に強いな」
嘘だろ!?
脳みそを吹き飛ばしたのに動きやがる!
【龍玉】の影響か!?
つーか人間はその状態では動けないだろ!
骨という骨を折ってやったんだぞ!
「だが、腹に直接母乳を注いでやったぜ」
大腸内の細菌が母乳の乳糖を発酵させ、多量のガスを発生させる。
所謂、おならだ。
ただ、メタンガスを多く含むが。
「着火ぁ!!!」
ははっ、上半身と下半身を爆発で切り離してやったぜ。
死ねぇ!
ゴミがぁ!
「ははははっ! 最高の気分だぜ!」
「……ふむ、まさか動かなくなるまで攻撃されるとは。……精神性の欠落が見られる」
「殺すぞ」
「……お前には共感能力が圧倒的に欠如している。……他人の感情を他人事のように思う。……それが異常だ」
「他人の感情を他人事と思って何が悪いねん。殺すぞ」
「……取り敢えず次は拷問してみよう」
「お前の方が共感能力が欠如してるだろ!」
え、拷問?
冗談じゃねぇよ。
抜け出してやる。
絶対に抜け出して、いつかぶっ殺してやる。
「……抜け出そうだとか、考えているだろう」
「それはどうかな?」
「……無駄だから辞めておけ。……体力を消耗するだけだ」
「それはどうかな?」
「……俺から逃げられたとしても、他の王からは逃げられない。……特に聖王はお前を殺そうとしている。……諦めるのが賢い選択だ」
「それはどうかな?」
「……最近は帝国の情勢がどうにも怪しい。……聖王が関係なくとも怪しい者はスパイとして捕まる。……言語を解さないお前は特にな」
「それは……、ヤバいかも」
帝国……?
お嬢様がいた国か?
亡命が起きた後どうなったんだ?
くそ、やっぱ言語が分かんねぇと情報収取はむずいな。
だが、俺にはエキュリソーがついている。
いや、あいつは俺を助けないか。
「所で、いつまで見下ろしてるんだ?」
「……お前には近づかん。……その【母乳生成】という技、射程距離はおよそ10メートルといったところか。……その攻撃範囲に入るほど俺は愚かにならない」
「10メートル? 違うね、11ヤードだ」
「……? ……なぜ同じことを繰り返す?」
なるほど、翻訳は龍王の言語で表されるのか。
10メートルと11ヤードは大体同じ。
だから同じことを繰り返したと勘違いしたのだ。
翻訳は完璧ではないな。
これは役に立つ情報かもしれない。
「俺は勝つね。絶対に」
「……くだらない夢想だ」




