三人の王
幕間
三つの席が均等に配置されている円卓、それはこの国における権力構造を可視化したものだ。
この国において王は三人いるが、しかしその権力は同等である。
聖王、エウレカリウス=グランディス。
魔導王、ヴァルザード=グリモワール。
龍王、アウル=ドラグニル。
この三者が互いに牽制し合い、秩序を維持している。
それは権力が同等だから、という理由だけではない。
純粋な力が同等だからである。
それを担保するのが神器だ。
聖杖、魔導書、龍玉。
所有する神器によって効果は変わるが、どれも国を揺るがすほどのパワーを持つ。
「おい、聖王。最近おもしれ奴が入って来たんだよ」
「なんだ、魔導王。どうでもいい事で私の時間を使うな」
「ちょっとぐれぇワシと世間話したっていいだろうがよ。龍王、そう思うよな」
「……どうでもいいな」
円卓に座った王らが、軽口を叩く。
従者たちはそれだけで途轍もない威圧感を覚える。
しかしだからと言って誰一人動くことはない。
この場で汗の一滴すら流せば死罪が決まる可能性だってあるからだ。
「つーか龍王。あのお嬢様、そろそろいいだろ? 30くらいだろ? もうババアに片足つっこんどるしよぉ。ワシに寄越せ」
「……あの位の年層に興奮する輩も多い。……そもそも奴の【能力】は強すぎる。……渡すわけがなかろう」
「よし。じゃあワシの部下を十人やる」
「……ふむ。……では先程言っていたおもしろい奴を貰おうか」
静かな重圧が二人の間を支配する。
聖王はそれに気が付いていないように目を瞑っていた。
王からすればちょっとした睨み合い。
しかし従者は耐えられなかった。
聖王の従者が嘔吐する。
瞬間、その者の身体が塵となって消えた。
「おお、よくやったぜぇ、聖王。吐かれたら掃除する奴に申し訳ねぇしな」
「私に話しかけるな。殺すぞ」
「あ? 【魔導書】、【爆腕】」
「【聖杖】、【XX】」
魔導王の後ろから一冊の本が出てきた。
それは一人でにページをめくり、145ページ目で止まった。
そこから巨大な腕が出現した。
その腕が聖王を殴ろうとし、しかし見えない壁のようなものに阻まれた。
「辞めておけ。お前は私と相性が悪い」
「ちっ……。ムカつくのぉ」
「……それで、さっきの話はどうなんだ」
「あ? ああいいぜ。ただ気を付けろよ。そいつ言語が分からねぇそうだ」
「……それは。……確かに面白い。……【龍玉】が効果を発揮しない可能性もあるのか」
「おい、魔導王。私にもそいつを見せろ。【聖杖】の取り込みができないならそいつは死刑とする」
「龍王に聞け。ワシはもう知らん」
「……殺させはせん。……貴重な研究資源だ。……それとも力で奪い取るか? ……お前は俺と相性が悪いというのに」
「ちっ……」
そして夜は深まっていく。
三人の王は、己の利の為に国を使う。
ただ、それだけの存在である。




