ARRIVAL
十五話に辿り着いたぞ!
遂に辿り着いた。
俺たちにとっての理想郷。
ここの名前はちょっと分からないけど。
辿り着いたぞ!
『なに言ってんの?』
なんか、ようやく安全になった気がする。
『確かに』
てかさぁ……、着いたはいいんだけど、まだ待たなくちゃだめ?
門が全然開かない。
『なんか手続きがあるんじゃない?』
めんどいなぁ。
さっさと入れてくれ。
『しょうがないわよ』
待つかあ。
〜〜一時間後〜〜
長い!
まだ待たせる気か!
こっちにはお嬢様もいるんだぞ!
消し飛ばしたろか?
『お嬢様は眠そうだわ』
そうか。
ま、しょうがない。
『あ、門が開きそうよ』
うおおおおおおおお!!
開門だ!
待ってたぜ!
この時をよぉ!
『さてと、どこに行くのやら』
門の先に……、神殿が……、ある……。
『ここは宗教国家かなにかなのかしら』
まあ、亡命先としては妥当だな。
もし、もともといた国にここの宗教が広まっていれば、亡命したお嬢様を探すのも一苦労だろうしな。
『でもどうかしらね』
なにがだ?
『恐らく今回の亡命は他国との戦争の結果ではなく、ただの内戦よ。物質を消去できるお嬢様が亡命しているって事は、反政府勢力が勝った可能性が高いわ』
まあ、もしまだ内戦が続いているならお嬢様も戦いに行くだろうしな。
『そう。つまり、反政府勢力は今までの国家を乗っ取り、新たな国家を樹立させるでしょうね』
そのために内戦を起こすんだからな。
『そうなると、お嬢様を庇っているこの亡命先の国は、新たな国家と敵対する可能性が非常に高い』
なるほど、つまりここの国が自国の安全の為にお嬢様を切り捨てる、と。
『この宗教の教義がどんな物かは知らないけど、最悪の場合、お嬢様は異端者として処刑されかねないわ』
なるほど、俺たちに時間的猶予はあまりないと。
『分からないわ。今すぐ切り捨てられるかもしれないし、少し泳がせてから切り捨てられるかもしれない』
いや、時間はまだある。
『なんでそう言い切れるの?』
樹立された国家には信用がなく、国力も低下するからだ。
あくまでも乗っ取りであって、国王が引き継ぎを行なった訳じゃない。
国を運営するにも情報がいる。
国土にも寄るが、国政調査に大体3年くらいか?
役人も取っ替えただろうし。
『3年で終わるかしらね』
終わんなくても、終わったようなポーズをするだろうな。
だが、コネも信用もない新興国家と仲良くしたい国はないだろうな。
だから、しばらくは大丈夫なはずだ。
『もし、信用やコネがあったら?』
と言うと?
『反乱を起こしたのが国側の人間だったら、どうする?』
その場合であっても、宗教国家である以上はあくまでも中立を演出するだろうし、大丈夫だろ。
そう信じよう!
『そうね! 未来の事は考えないほうが楽よ!』
見て、神殿の奥にスゲェ綺麗な杯がある!
黄金だぞ!
宝石も付いてるし!
あれ、触られるのかなぁ。
『無理じゃない? 高級そうだし』
あ、でも触りそう。
『お嬢様は触れられるでしょ』
あ、騎士も触ってる。
予測が外れて可哀想。
『うっさい!』
儀式なのかな?
全員が触ってる。
わーい。
ぼくにもさわらせて〜。
ペタッ
Level up!
Lv.2になりました。
レベル上がったんだが?
『なんで?』
多分これがレベルアップに必要なものだったんだな。
『運が良いわね』
まあな、運だけは良いんだ。
俺には政治が分からぬ。
だから一章を終える。