ちーたーはくそです
十二話には鶏がいる。
血を啜りたい。
あのニンゲンは危険だ。
子分がやられた。
赤子は美味そうだ。
いい香りがした。
血に酔って、目が回りそうだ。
あの集団は突然消えた。
だが、狼の嗅覚は騙せない。
神官さまが飛んだ。
お空に飛んだ。
おいら、びっくりこいたぜ。
ちびっちまった。
『し、神官さまが! 血塗れに!』
やべぇ。
死んだか。
これは無理だ。
『諦めないでよ!』
いや、この二足歩行の狼、デカすぎんだろ。
何メーターあるんだよ。
『い、いや、騎士がいっぱいいるから……』
あ、狼の群れが騎士を攻撃し始めた。
『死んだか。遺言をお願い』
断る。
俺の方が先に死ぬからだ!
『自信満々に言うな!』
「っ……」
「######」
お嬢様の腰が抜けちゃったようだ。
『まずいっ! お嬢様だけでも助けないと!』
大丈夫、メイドさんが俺を地面に置いてそっち行ったから。
「#####」
『お嬢様は私たちだけでも助けろって言ってる。お優しい方だ』
いや、それは悪手だろ。
見ず知らずの赤ん坊は囮にすべきだ。
「###########」
『メイドさんもそうだそうだと言っています』
……お嬢様、ビンタが早い。
『どうするの? ここで心中する? それとも……、策がある?』
策はある。
『さっさとやれ』
しょうがない。
やるか。
失敗しても文句言うなよ?
『失敗したら文句も言えないわよ。だから……』
成功させなさい。
「【かいとう】、【ぼにゅうせいせい】」
『カッコつけといて、母乳!?』
良いんだよ。
これは血だ。
狼は惹きつけられる。
そして腐っても【能力】だ。
『血の塊が……、動いてる?』
フッ、これが俺の切り札だ。
『おっそ! よっわ!』
でもデカ狼は夢中だぞ?
ほら、ぶん殴って壊した。
『うん………………。よっわ!!』
また作ればいいんだよ。
「【かいとう】、【ぼにゅうせいせい】」
『でもこれって作って壊しての繰り返しじゃない?』
いいや?
奴は血に酔っている。
そして地面も血塗れだ。
ここで空振りでもすれば、呆気なく転ぶ。
『どうやって空振らさせるのよ。あのスピードで殴ってくるのよ? 避けようがないじゃない』
避ける必要はないさ。
『どういう事?』
俺は【能力】をレベル分だけ保存できる。
そしてこの【能力】、【Ghost】のレベルは2だ。
『もう一つの【能力】って……、まさか!』
そう!
幻影の【ぼにゅうせいせい】!
触れることはできず、飲むこともできない!
だが見た目や匂いは全くの同一だ!
「【かいとう】、【ぼにゅうせいせい】!」
空振って倒れろ!
『あの巨体が……、倒れた……』
フッ、雑魚【能力】でも使い方で化けるものさ。
『ちなみにどうやって倒すの?』
ん?
倒しただろ?
『いや、起き上がってくるじゃん』
なるほど。
助けてえええええええええ!!!
「######」
『っ! お嬢様!?』
ちょっと!?
デカ狼に向かって突っ走ってんだけど!?
とめろ!
危険だ!
『無理! 赤ちゃんの握力を舐めるな!』
あっ!
お嬢様が倒れたデカ狼に触った!
野生の狼は汚いよ!
……なんかデカ狼消えたんだけど?
『ええ……? もしかして汚れを消す力ってさあ……』
汚れ以外も消せる、ってこと!?
チートじゃん。
やってらんねぇ。
バトル系小説の箸休めでバトルを書いてしまった。
しばらくバトルはいいかな。