2.メイド(奴隷)epi.4…問題児③
(え⋯なに⋯)
唇と唇が触れている。
——— チュ
「っ⋯!ふ⋯ん!」
顎を掴んだ腕を振りほどこうにも、びくともしない。
突然のことで、どこに力を入れれば良いかも分からなくなっている。
「ぃや⋯っ!」
キスで口を塞がれ、視界がぼやけて溶けてしまいそうな感覚から、突然の激痛に襲われる。
ガリッ
「いっ!!った!」
優しいキスをしていたかと思えば、今度は舌を噛まれた。
「次うざいことしたら、もっと酷くするから。」
呼吸を整えていると彼はそう言い放って去ってしまった。
「はぁ⋯はぁ⋯っなに⋯!?」
足に力が入らなくなり、地べたに座り込む。
口の中がじんわりと血の味がして、現実に引き戻された。
(わたし、キスしてた⋯!?)
頭の整理が追いつかないまま、とろけてしまいそうなあの感覚を思い出し
また、顔が熱くなるのを感じていた。
———キーンコーン
あれから教室に戻り、真っ赤になった顔面を見た彩羽は何があったの!?とわたしを問い詰めた。
昼休みに誰もいない中庭のベンチで説明すると、同じように頬を赤らめながら
「いやーっ!最低!!⋯でも一部の人からしたら、羨ましいのかな!?あんな美形に迫られるのって!」
コロコロと表情を変えながら、彩羽は続けた
「それにしても、葉室くんってそんな怖い感じなんだね??そんなイメージないし、怖い話聞かないのに⋯」
葉室柊の話を聞くと、誰に対しても当たり障りなく優しいとか、乱暴なイメージはないらしい。
たしかに、体育館でお水をかけてしまったあの瞬間は優しかった。
「身内⋯っていうか、従業員には厳しいのかな⋯」
お屋敷では退職者が続出するくらい厳しい人っぽいし、よくわからないな⋯。
「とりあえず、もしまた酷いことされたら教えてね??」
不安そうな顔をしながら彩羽は言った。
「ありがとう。不安だらけだけど、迷ってる暇とかないから頑張る!」
そう。
迷ってる暇も、後戻りもできないから。
どんなに辛いことがあっても、乗り越えるしかない。
気持ちを強く持って頑張ると、心に決めた瞬間だった。




