髪サマの云う通り
罪を犯した人に裁きを下す役割、『蛇髪族』……心から許されない罪人だと体ごと石に変えられ、やむを得ず誰かのために罪を犯した者は美しい宝石に変えられるが、その場合は再びもとの姿に戻る事が出来る。そんな恐ろしくまた、奇妙な能力を秘めている少年が今、裁きの審査を担っていた。少年の名はホタリア。ホタリアの罪人を見抜く力は一つ越えており、全て正しい審査を行う。そんなホタリアはこの日、盗みの裁きを行うためある二人のもとにやって来ていた。裁きの場所はルノア公園。少女、モニカは盗みの罪をきせられ、青果店の店主、ハンリオはモニカが商品の桃を盗んだと言う。町の人々は、蛇髪族の審判を見届けようと集まっていた。二人の前に立ち、ホタリアは問う。「再度お尋ねします。青果店から桃を盗んだのは、モニカ氏貴女ですか?」これに対しモニカは反発した。「違います!私は桃など盗んでいません!」店主のハンリオは唇を噛み締め、感情を抑えている。「ハンリオ氏、貴方はモニカ氏が桃を盗んだところは見ましたか?」ハンリオは少し間を開け、一言口にした。「直接盗んだ瞬間は見ていません。ですが、この女が店を立ち去った時には、桃が一つ消えていたんです!お客は他にはいませんでした!」ハンリオの声には必死さが込められている。「両者の言い分、聞き取りました。後の審判は私が下します。二人以外は目を伏せて下さい!」そう叫ぶとホタリアは頭に巻いているスカーフを解き、頭部に生えている無数の蛇を二人に見せた。蠢く蛇の瞳が二人を捕らえる。(見えた!罪の真実!)ホタリアと蛇の審判が下された。「!」次の瞬間、片方が石化し、もう片方が宝石と化した。「目を開けて良いですよ」ホタリアが言うと、皆は目を開いた。「あ……っ!」驚きの声が上がった。石化したのはモニカで、宝石の姿になったのはハンリオの方だ。周りからざわめきが起きる。「信じられない。この娘、無垢な顔をして盗みをはたらいたか」「しかもハンリオが心を込めて育てた桃を……」人々がモニカを非難する中、ホタリアは真実を述べた。「モニカ氏は桃を盗んでいません」「え?」「どういう事?」「石化したって事は、盗みをしたんだろ?」「盗みました。モニカ氏は……栗を」「栗?」「ちょっと、話が見えないよ!説明してくれ!」言葉が不足しており、審判の結果には説明が必要となる。「モニカ氏は栗を盗み、盗んだ事を隠すため桃を一つ栗の籠に入れたのです」単純なトリック、しかも桃が盗まれたとハンリオが言うものだから、皆はそれを信じていた。「モニカ氏は蛇髪族の審判を誤解されていました。偽りさえ言わなければ罪は逃れられると思われたようですが、私の力は罪人を裁く事です。石化の姿で反省すれば、もとの姿に戻れます。そして罪人ではないハンリオ氏も、まもなくもとに戻りますとも」蛇髪族の審判に一ミリの狂いもない。




