お弁当の夢
休日の朝、娘が目を真っ赤に腫らし、しょんぼりとした表情で起きてきた。
どうしたのかと聞くと、しばらく間を置いてから訥々と喋りだした。
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「おべんとうやさんでね。おべんとうつくってたの」
「すーちゃんとか、おかーさんとか、みんなかってくれて」
「みんな、おいしい、っていってて」
「うれしくて」
「いっぱいつくった」
「……そしたらね」
「おいしいけど、そんなにいっぱい、たべられないって」
「うれなくて」
「赤いシールはったけど」
「はんがくにしたけど」
「うれなくて」
「よるになったのに、いっぱいのこってて」
「だれもいなくなったのに、いっぱいのこってて」
「ぜんぜんうれないから、だめになっちゃうって」
「おさかなも」
「からあげも」
「エビチリも」
「みんな……」
「だめになっちゃうから、わたしがたべなきゃって」
「でもいっぱいあるから、たべきれなくて」
「たべきれなくて、みんな、だめになっちゃうって」
「わたしが、おべんとうにしちゃったから」
「たべきれないのに、おべんとうにしちゃったから」
「みんな……だめになっちゃうって」
「それで」
「……めがさめた」
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今朝見た夢の話らしい。
いっぱいあるスーパーのお惣菜に、いっぱい赤いシールが貼られてるのを見てメンタルがやられたので、やられたメンタルのまま書きました。