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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

告白絶対成功しない女の子と告白に気づきながら毎日受ける女の子の話

作者: 佐藤田中

 「私、実はあゆちゃんのことが…」


 目の前には夕焼けに照らされて顔を赤らめた少女。

たじろぎながら懸命に何かを伝えようとしている。

普通の人はこの少女を見て、「ああ、この子は今から好きな人に告白をしようとしているんだな。」と思うだろう。


 しかし、私は違う。


 何もこれが告白では無いと言っている訳では無いのだ。

これが告白であることは100も承知である。

では一体私は何を考えているかって?そんなの決まってる。


 私はサッと右腕の時計を確認し、その時刻が来ることを確認した。


 「す……なの!!」

 「最終下校時刻になりました。校舎に残っている生徒は速やかに下校してください。」


 少女の声をかき消すように聞きなれた音楽と声が私の耳に入ってくる。


 「ごめんみのり、聞こえなかった。」


 私は申し訳なさそうな表情を作りながら少女に告白がまた失敗したことを伝える。

すると少女はがっくりと肩を落とし、「なんでもない」と告白を取り消した。


 「あゆちゃん、帰ろ?」


 悲しみを閉じ込めた笑顔を浮かべ、少女は私の手を引く。


 私は勝手に上がりそうになる口角をなんとか押さえつけて手を引かれるがままについて行く。落ち込む少女の表情が私の欲をくすぐる。


 もっと辛そうな顔が見たい。

涙で溢れかえりそうなおっきなおめめを細めて私にバレないように作った笑顔がぎこちなくてかわいい。悲しそうなのがバレてないと思ってることがかわいい。抱きしめたい。ずっと私だけのものならいいのに。


 毎日私に告白を失敗させられていることに気が付かないで健気に想いを伝えようとしてくれるところも好き。


 いつも失敗ばかりでほんとは落ち込んでるのに強がって、落ち込んだ姿は周りに絶対見せないのも好き。でも私にはバレバレだよ?


 「あゆちゃん、また明日ね!」


 元気に手を振る少女と別れの挨拶をした後、玄関の扉を閉め、一息ついた。


 「はぁ……なんでこんなにかわいいんだろう。ほんと好き…。」


 毎日私に告白する幼なじみが、失敗して落ち込む顔がかわいすぎる。

初投稿。

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