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猫の帝国

作者: しろぎつね

前の投稿からだいぶ空いてしまいました。

ちょっとダークな現代ファンタジーですがよろしくお願いします。

「猫ってこんなにいたっけ?」

「前からこんなもんじゃないか。あまり変わらないと思うけど」

最近猫が増えている気がする。

猫を飼う人が急に増えたのだろうか。

「そういえばお前の家には猫いないの?」

「いないな。実家は犬を飼っているけど」

「珍しいな、猫以外を飼っているなんて」

珍しい?

犬は猫と同じくメジャーなペットだ。

何か妙だ。

ペットショップや動物病院を見ても、看板のイラストはほぼ猫だけで、犬を描いているところはとても少ない。

普通は両方じゃないのか?


家に帰ってテレビをつける。

やけに動物特集が多い。

しかもほとんどが猫だ。

なんだか不思議な気分のままその日は眠りに就いた。


夢を見ていた。

ある日突然巨大な宇宙船の集団が現れ、地球に降伏を要求してきた。

地球側はもちろん拒否したが、各国の軍隊は手も足も出ず、またたく間に地球は占領されてしまった。

そして宇宙船から降りてきたのは、なんと猫だった。


目が覚める。

変な夢を見たものだ。

家を出て駅へ向かう道でおばさんが猫にエサをあげていたり、小学生が猫をなでたりしている。

普通の風景だ。


昼休み、ぼーっと景色を眺めていると友人が話しかけてきた。

「どうした浮かない顔をして。好きな人ができたとかなら相談に乗るぞ」

悩んでいるように見えたのだろう。

友人に夢の話を伝える。

「昔そんなSFを見た気がするなあ。もう少しひねらないと人気が出ないぞ」

「夢に点数を付けるなよ」

「そういえばこの前から猫のこと気にしているな」

「そうなんだよ。やっぱり猫はこんなにたくさんはいなかった気がするんだ」

離れたベンチで猫を可愛がっている若い女性たちの姿が見える。

「前からこれくらいいただろう。人の数より多かったら驚くけど」

頭では理解しているけど気分が落ち着かない。

とても変な気分だ。


その夜またおかしな夢を見た。

人類は猫に降伏した後逆らわないよう定められ、猫は支配者として地球を治めることとなった。

人びとは猫を大切にし世話をする。


というところで目が覚めた。

人類が猫に負けたというところはともかく、猫を世話するのは昔からやってたことじゃないか。

空想と現実が入り混じった夢だなあ。

そんなことを思いながら家を出る。


「人類が負けたからじゃないよなあ」

ひとりごとを言った時、周囲の猫たちが一斉にくるっとこちらを向いて、そしてまた何事もなかったかのようにくつろいでいた。

今のは何だったのだろうか。

本当に地球は猫に占領されてしまったのか。

足を止めた僕のところに猫がすり寄ってきた。

その表情を確かめようとしたが、何もわからなかった。

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