表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中国夜話 毛沢東異界漫遊記  作者: 藤原 てるてる
6/22

老子に諭されるの巻(六話)

古代中国の陰陽二元論、今も脈々と続いて来ている。

人の世は、この陰と陽から成り立っていると言う教え。

それだけではなく、この世の森羅万象も同じなのかも知れない。

また、中国の智慧の一つに中庸と言うのもある。

これは、陰と陽をわかったが上での、真ん中を進めと言うのだろうか。

真ん中こそが、大道なのだろうか、これも深すぎる。


達観とは何か。雲の上の境地なのだろうか。

老子は説く。己が道を、ただ進めと。これは中庸にも繋がるのではないか。

事と事との間を、ただ一人、黙々と、ただ進めと。

それで道が出来る。道こそが天下の母だと。


我らが毛沢東は、また老子と謁見することが出来た。

数百年に一人の傑物である。老子も、ほってはおかない。

さあ、この世の秘密に迫ってくだされ……



老子 「……そちの後ろに、わしはおるぞ。まだまだ隙があるのう」

毛沢東「おっ、いつの間に。またお会い出来て恐悦の限りであります」

老子 「この前の続きと行こう。陰陽二元論を紐解いてしんぜよう」

   「今やお前は、下界を離れ、この天界におるではないか」

   「そこで、下界の秘密の話を語ってみる、おいおいとわかるようになるぞよ」

   「いいか、陰と陽、これが人の世の仕組みなのじゃよ」

   「どこかに良い人がいるという事は、悪い人も、どこかにいる」

   「悪い国があるという事は、どこかに良い国があるということじゃ」

   「その一人の心の内にも、善と悪とがある。善ばかりではなく悪もな」

   「自分の底にある、この善と悪に気付き、無為の境地に達するのじゃ」

   「下界は修行の場じゃ。天界あっての下界ぞ、逆ではない」

   「お前も、あの世があると言う事が、来てみて、やっとわかったであろう」

毛沢東「仰せの通り、ごく自然とわかり申す。それがわかっておればと……」

老子 「陰と陽、善と悪、光と影、そう男と女もそうじゃ。二つで一つなのじゃよ」

   「また、善のような悪もあり、悪に見える善もある」

   「つまりのう、善人の中に悪を見、悪人の中にも善を見ることじゃ」

   「いくら悪人だって、着て、食べて、住んで、銭を使いおる」

   「その銭はまわりまわって、誰かの為になる。これが流れぞよ」

毛沢東「では、私のして来た血を伴った国作りは、どうかと……」

老子 「毛よ、あれが、お前の道であったのであろう」

   「ただ信じ進んだのであれば、それも道。どこかに嘘があれば、それも、また道」

   「この天界で、もっともっと修行をするのじゃ」

   「その暁には、何らか形で、下界に貢献出来ようぞ。繋がっておる」

   「下界と天界、これも陰と陽、二つで一つなのじゃからな」

   「……ここまでにしよう。その内にわかるであろう」

   「お前の心は読めておる、次は「素女経」を語るやもしれん、待っておれ……」

毛沢東「是非にと、願いまする……」



毛沢東は、自身が善か悪か、わからなくなった。

……私は、民の涙の海底から、出直したものか……

……いや、新中国建国では民の狂喜の渦に包まれたではないか……

……もはや、わからない、教えてくれ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ