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30過ぎの女 その3

前に付き合っていた男とは、浮気現場を見てから、

もう一度も連絡を取っていない。

男からしたら、突然どうした?というかんじだろう。

あれほど結婚結婚とうるさかった女が、急に音沙汰なしとは。


沙織としては、もうあの男とは終わっている。

そう思っていた。

しかし、ハッキリとお別れをしたわけではない。

そこが少し気がかりではあった。

そんな折、連絡がきてしまう。


「よう。最近冷たいじゃん。どうしたの。」

男はまだ浮気?がバレていないと思っている。

だから連絡してきたのだ。


どうしたもこうしたもない。

お前が結婚してるって知ったから離れたんだよ。

そう言ってしまっても良かった。

あの時一家団欒を目撃してしまって。

男のことをパパと呼ぶ娘も見てしまって。


「また久しぶりに遊ぼうよ。」

なんて軽い態度で接してくる。

男のヘラヘラした顔が思い浮かぶ。


「なんだかなぁ。」

前までは好きだったけど、こうなってしまうとなんだか冷めてきた。

向こうはまだバレていないと思っているが、こっちは全部知っている。

それだけに、すべての言葉が上っ面に聞こえてくる。

なんだかすべてが虚しい。

所詮この程度の男だったのか。

そんな男のことが好きだったのか。


なんだか自分が情けなくなってくる。


だんだん男にもイライラしてきた。

「悪いけど、私もう結婚したから。もう連絡してこないで!」

「え?マジで?それはおめでとう。」

「それからアンタんところの奥さんと娘さんによろしく!」

「えっなんでお前がそれを…。」

一方的に電話を切る沙織。


これで良かったのだ。

もうあの男とは関わらない。


スッキリとした気分。

これでなにもかもが終わった。

方がついたのだ。


これからは三郎に、もっとやさしくしよう。

これからは好きになってみよう。


なんて思った。

しかし、やっぱり目の前にすると、ダメ。

暑苦しいかんじはどうにも好きになれそうにない。


それでもなんとか、努力してみようと思った。

なぜなら、三郎が自分のことを好きになってくれているからだ。


それに、三郎の裏表のない性格に惹かれ始めていた。

もうあんな男はゴメンだ。


そういう意味では、三郎は非常に安心と言える。

そう思えた。

(こいつが浮気とか、想像できないな。)


一緒に生活していくうちに、だんだんと、

(ああ、この人なら私をしあわせにしてくれそう。)

そう感じたのだった。


今すぐに、というのは無理かもしれない。

でも、今後は三郎に寄り添っていきたい。

そう思った。


おしまい

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