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他人事《ひとごと》ではございません その2

ピンポーン


チャイムが鳴る。


あれ?誰だろう。

なにも通販で買ったりしてないはずだけどな。


普段誰かが訪ねてくることなんてない。

チャイムが鳴る時というのは、ネットで注文した品物が届く時のみ。

そう思っているから、特に予定なくチャイムが鳴ると身構えてしまう。


ピンポーン


また鳴ってしまった。

居留守しても良いが、ちょっと相手が気になるな。

こういう時はインターホンが欲しいと思う。

ウチにはそんな便利なものはないので、ドアスコープというドアについた覗き穴から覗くしかない。



なんてやってると、相手にバレてしまった。


観念してドアを開ける。


なんだろう。MIB(メン・イン・ブラック)かな?

そこにいたのは、ちょっと雰囲気のある、うさんくさい男たちだった。


なんだろうと思っていると、ついに来てしまった。

赤紙ならぬ、強制結婚が。


二人の屈強そうな男に突然部屋に上がりこまれた。

有無を言わせないのか。

こちらはなにも抵抗することもできずに、二人の男を家の中に入れてしまうのだった。


テーブルを挟んで、向かい合って座ると、男から話し始めた。


「で、キミ彼女はいるの?」

「いえ、いないです。」

「じゃあ結婚の予定はないね。」

「はい。」


ここでウソをついても良かった。

しかし、結婚相手がいないのは事実。

一時しのぎのウソを突き通すための相手もいなかった。


「それじゃあこれね。よく目を通して。」

男から封筒を渡される。

封筒には「あなたの結婚計画」と書かれている。

中身を軽く確認し始めると、結婚までの段取りが書かれた書類が入っている。


普通なら本人の希望とか、そういうものがあって、選びに選んで結婚相手を決めるものだと思うが、

なんとそこは政府の仕事。

結婚相手を選んできてくれる。

しかも、我が国の超優秀なスパコン様によって慎重に選んでくださるんだそうだ。

ありがたいことですわ。


「それじゃあ日程をよく確認して、指定した場所にくるように。」

それだけ言うと、男たちは去っていった。


ポツンと一人残される。

突然現れて、爆弾でも置いて行かれたような感覚。

わけがわからない、というほどではないが、

ちょっとまだ現実味がない。


結局どうあがいても、この結婚からは逃れられない。

それだけはハッキリしていた。


とりあえず資料にはちゃんと目を通す。

正直言ってしまえば、こんなものに従いたくない。

だが、もう決まってしまったものはしょうがない。

国が決めたことだし、この法案によって決められた相手との結婚は絶対である。

よって、「確実に結婚しないといけない」。

そのために、結婚する二人を間違いなく引き合わせるお仕事、というのが先程の二人なのだった。

重要な機密情報を持っている。だからああいったうさんくさい雰囲気なのだろう。

あまり口数は多くなかったが、

多くを語らない、というか語れないのか。


ともかく、オレはあの二人に導かれて結婚することになった。

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