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他人事《ひとごと》ではございません その1

TVのニュースでは、カップルがインタビューに答えている。

「強制結婚法についてどう思われますか?」

「そうですねえ。国に相手を勝手に決められる、ということに若干の不安はありますが、ボクは良い相手に巡り会えたので、しあわせだと思っています。」

「やだぁ、なに言ってるのよ。」

インタビューでノロケている。

なぜこんなものを見せられなければいけないのか。

わずかにイラついてしまう。


そもそもこんなインタビュー自体が「やらせ」であることは明白だろう。

とくに根拠はないが、概ね間違ってはいないだろう。


強制結婚法とは、先日公布された「30歳以上の未婚の男女は、国が強制的に結婚させる」という内容の法律である。

それに対してのインタビューであるが、

わかりやすいプロパガンダ。

そうとしか言いようがない。


「国に強制されてはいるものの、良い相手と結婚できて幸せ」

こういうふうに言うように仕組まれているようにしか思えない。


まあ、どうでも良いことだ。

結論どうでも良いのだ。

国に強制されるのがイヤだったら、自分で相手を見つけたら良いだけなのだから。

それが唯一にして最良の解決策である。

しかし、それができたら苦労はない、というかなんというか。


世の中自由になりすぎた。

そのせいでいつまで経っても結婚できずに、独身のまま生涯を終える人間も少なくない。

そんな世の中になってきてしまったのだった。


もちろん、この法案を通す際にも反対意見はあった。

「独身のなにが悪いのですか?」「独身でいる自由はないのですか?」

家庭を持つ、ということに向いていない人間はたまにいる。

結婚したものの、離婚して、再婚して、やっぱり独身最高だね、という結論に至る者。

発言者の議員もそういう人間だった。


何度か結婚したものの、なにが原因かわからないが離婚を繰り返し、最終的には「生涯独身主義」という本を出版するまでに至っている。

さすがにそこまでくると、こじらせているな、と思わざるを得ない。

というか、自分を正当化するためにそこまでしないといけないのだろうか、と疑問に感じてしまう。

プライドが高いとこういうことになってしまうのだろうか。


なんにせよ、世間的には「結婚して当たり前」「結婚しろ」という圧力があるのかもしれない。

だから、こういう奇抜な行動に出てでも反論を用意しないといけないのかもしれない。


我々一般庶民からすると到底わからない世界と言わざるを得ない。


どちらにせよ、そういう反対意見すらも、無視されることとなった。

なぜか?それはこの国が民主主義の国家だからである。

民主主義とは多数決。つまり数の暴力である。

いくら良い意見だろうが、なんだろうが、多数派には敵わない。

その結果、こういった無茶な法案が通ってしまったというわけなのだから、

民主主義とは本当に恐ろしい。


とは言え、自分とはなんら関わりのないこと。

そう思っていた。

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