精霊の設定
連載開始時の覚え書きです。
物語の背景としてあるだけで、本文中にはほぼでてきません。
精霊とは大いなる力、エネルギーの塊。ただそこに在るだけで、基本的に人間や他の生命に干渉する事は無い。
肉体は持たないが、化身であれば竜王のように肉体を持つ。
現在、居ると確認されている精霊、またはそれに類する者。
風の精霊の化身とされている竜王。
海底に眠るとされる『海の精霊』、その力のカケラを手に入れた『海の魔女』リリエラ(力を手に入れた時点で、精霊に近い者になっている)
木精。エクグラシアの王都シャングリラの王城に生える、コランテトラの木(サルジアの傀儡師の姫君に託された苗を、バルザムが建国の際に手ずからそこに植えた)の精霊。現在、ソラの体の中に精霊契約にて存在している。
精霊は、精霊契約に基づき、人間に力を貸すことはある。
サルジア皇国の源になった、人と精霊の恋物語。そこに精霊契約は介在しなかった。精霊界にとっては唯一の『失敗』とされる出来事。対価なくして力を貸すべからず。無償で力を与えれば、そこには悲劇が待ち受ける。
サルジア神話では、人に恋した地の精霊は、愛する番が寿命を終えた時人のように死ぬことを選び、自分の力を3人の子ども達に『無償』で分け与えたという。
頭を与えられた子は呪術師に、手足を与えられた子は傀儡師に、身体を与えられた子は死霊使いになったとされる。
精霊の力は子ども達を守り、国を守り、サルジアに未来永劫の繁栄を約束したはずだった。
呪術師は、人々の願いを言葉に乗せて叶える力を得た。良き事も悪しき事も、願えば叶う力を。
傀儡師は、人々の代わりに仕事をしてくれる、魂無き者を創り出した。良き事も悪しき事も、人の代わりに行う。
死霊使いは、精霊の力を得た人々の魂を使役し、死者の守りを得る力を得た。先祖の御霊にサルジアの国は守られ、その軍勢は普通の武器で倒す事は出来ない。
死して精霊になる……それがサルジアでは最上の死に方とされ、精霊になれなかった魂も、死霊使いが導く事で、国のために働きやがて精霊になれると信じている。それが変じて、精霊の力を持たない蛮族は、死しても精霊になる事は出来ない……という偏見が生まれたが、本来魔力の元になる魔素は、地上のどの生物にも存在している物なので、それは誤った解釈。
3人の子が守るサルジアの地は栄え、地上にサルジア皇国として隆盛を極めて行く。その都は花で溢れ、世界中から人や物が集まったという。
誰もが精霊の力を、うらやみ、恐れ、崇拝した。ある者はサルジアのように、精霊の力を手に入れようと、精霊達に近づこうとした。
だがそれは、精霊達をますます人の世から遠ざけただけだった。
やがて時が経ち、サルジアが衰退し始めたのも、手に入れた力のせいだった。
力を手に入れた人間は、身を滅ぼしていく。
精霊の力が薄まる事を恐れた血族婚や、力を奪い合うための同族殺し。
本来、精霊の力とは自由な物…命に交われば使う事により消耗し、薄れて行く事が必然。
力を使役できることを誇りに、それに固執したが故に、サルジア皇家はその在り方を歪めて行く。
始祖の精霊から慈愛ゆえにもたらされた力を、自分達の物として驕ってしまったが故に、自分達の運命を捻じ曲げてしまったとも知らずに。