異世界の設定
書籍化が決まったときに書きだし、出版社に提出したものはこんな感じです。
こういった資料や設定を共有していきます。
【異世界設定】
エクグラシアの世界は、『地球』や『ユーラシア大陸』などの大きなくくりとなる名前はまだ考えていません。なので文中にもまだ出てきていません。
国も魔導国家エクグラシアと、隣国サルジア皇国ぐらいしか出していません。一応他にも交易相手となる周辺諸国はあります。
国内に少数民族が、幾つかあります。
・エクグラシア建国は500年前。
・王都の大聖堂は建国後50年頃に建てられる。つまり450年前
それ以前の世界の中心は、サルジア皇国。
・サルジア皇国は精霊と人が交わったという、建国神話を持つ。皇帝は精霊の末裔とされる。
・皇帝を頂点とした、中央集権国家。しきたりに厳しく排他的で、特権階級に属する者は得をするが、社会の底辺に居る者にはつらい。
・また特権階級同士の足の引っ張り合いも多く、皇族でさえ『家族で殺し合う』と言われる。
・文化的には成熟しているが、衰退の影もみえる斜陽の国。
・精霊の血を引くと言われているせいか、人間離れした美形が多い。(他民族の血が混じったおかげかも)
・独自の精霊術があり、魔術師ではなく呪術師が存在する。
・呪術師は口伝により弟子に術を伝えるため、魔術のような体系だった学問ではなく、学校も存在しない。
・呪術師の仕事は多岐に渡り、まじないや、呪い、時には医療行為まで行う。サルジアの人々は生まれてから死ぬまで、呪術師の世話になる。
現在のエクグラシアとなっている土地は、西の果てにある辺境とされ、ドラゴンが支配する不毛の地だった。
バルザム・エクグラシアが数人の部下と共に、ドラゴンの棲む地に赴き、交渉という名のバトルの末、当時の竜王ソルディムと契約。
それまでドラゴンを滅ぼそうとしたり、捕まえようとするのではなく、ともに暮らそうと考えたのは、バルザムがはじめて。
バルザムと竜王との契約は、〝精霊契約〟の最上位〝血の約定〟に近い。
〝血の約定〟では契約主の魔力の影響により、その契約に同意した者の色が変わる。
染めるのではなく、何かその存在の本質の部分を作り変えるために、起こる現象。ネリアが守護精霊に求めたのは、守護や安らぎ。
ちなみに〝王族の赤〟は竜王と契約した証。
エクグラシアでは〝王族の赤〟を絶やさないよう、つねに2~3人の契約者を置く。
継承権を持つのは〝王族の赤〟のみで、サルジア皇国のように血統に対するこだわりは薄い。
縄張り意識の強いドラゴンが棲む領域が、そのままエクグラシアの国土となり、地図にも載らない不毛の地に巨大な国家が出現した。
竜王の住まいは〝シャングリラ〟と名付けられ、爆発的に発展しました。
竜の脅威が無くなり、むしろその庇護下に置かれたことで、不毛の土地は豊かな資源を持つ、実り多い土地に変わっていく。
そして建国500年の現在、初期の開拓も終え、グレンの開発した魔導列車で国内の輸送能力は増し、エクグラシアはどんどん発展している。
・社会構造的には、新大陸発見でアメリカという国家が生まれたり、イギリスで産業革命により資本主義が生まれたころと似たような状況。
18世紀ビクトリア時代に近い。
・国王はあくまで契約者であり、国の主権はドラゴンにある。貴族は存在するが、『役目』を担う者という意味合いが強く、血統に対するこだわりは薄くその身分も流動的。
・ドラゴンの力を尊ぶ性質が強く受け継がれ、ある意味分かりやすい。
・初代のバルザム・エクグラシアは魔術師でもあり竜騎士でもあったが、現在はそれぞれ魔術師団長と竜騎士団長を別に置いて国防の役割を担わせ、国王は内政に注力している。
・『強力な魔力持ち』が社会の中心を担っていた時代から、『少量の魔力で使える魔道具』が普及する事で、『魔力』に頼らない社会が生まれつつある。
・女性の社会進出も盛ん……と言うか、働かないのは貴族の女性ぐらい。竜騎士にも女性を登場させるか考えたが、話がごちゃごちゃしそうなので、今は男だけ。将来的にはドラゴンに乗りたがる女性がいるかもしれない。
・高等教育はまだ国の隅々までは普及していないが、初等教育を修める学校(小・中学校程度のもの)は地方にもある。
・中央の変化のスピードが、国の末端まで行き届くには数十年単位の時間差がある。
・錬金術は『魔道具』作りから始まり、生きていくためだけに使っていた『魔力』を、それ以外の研究などにも振り向ける余裕ができてから生まれた新しい学問。
・錬金術は『変容』を司り、無から有を生み出す奇跡の技…と言われているが、魔力を物質そのものに作用させる事で、物や生命の本質に迫る学問ともいえる。