とあるギルドの受付嬢の驚き
拙い文章ですが、文章の練習も兼ねて投稿。
「すごい!全ての数値が1000超え!SSSランク級のステータスです!」
辺境の街で存在するギルド、そこで受付嬢をしている私。
ステータスを調べる水晶、そこに出てきた数値を見た私はそう驚く……フリをする。
ぶっちゃけ嘘である。実はこの水晶、ステータスを調べるのではなく、転生者、転移者かどうかを調べる機能しかない。
この世界にはいわゆる転生者、転移者と言われる人間が存在する。
彼ら、彼女らは他の異世界からなんらかの事情でこちらに連れてこられた人達だ。転生者はこの世界で生まれてはいるけど、まぁ前世の記憶があるって事で扱いは転移者に近い。水晶も反応するし。
魔王を倒す勇者になるため!スローライフを送るため!特に何もないけどこの世界を旅するため!
この世界にお呼ばれしたのは他の人で、自分は巻き込まれただけだっていう人もいた。
正直言うと、わりといたりする。そういう人間は。
今までに私が受付してる時に来た転移者は三桁くらいは行ってると思う。
それだけでも十分多いと思うんだけど。
私一人が受付した人数だけでもそれほどの人数がいるのだ。
当然、うちのギルドの受付嬢は私一人ではない。
それだけではない。冒険者ギルドというのは人類の生存圏ならどこにだってある。
実際ギルド間の情報の共有内容通りだとするなら王都の冒険者ギルドの方が多いらしいし。
……溢れすぎでしょ、転移者。
そもそもギルドに転移者への対応マニュアルがある時点でおかしいよ。本当にどんだけ溢れてるの。
この水晶使って反応したらSSSランクですーって驚いてくださいっていう一文しかないけど。
というかSSSランク自体がそもそも転移者っていう証なだけで実際上限Aランクまでだし。Sってなんなの。そのSが三つってなんなのさ。
少し話がそれたけど。
とりあえず、溢れすぎという理由でもう転移者の存在に慣れきってしまった私は今日も驚くフリをする。
慣れすぎているのと個人照会はギルドカードで出来るおかげで、笑い話にできるくらい極端に変な人でもない限り、相手の顔ももう見ないくらい。今回の人も平凡な性格なので見ていなかった。
……そこまで考えたところで、今日来た転移者はこういう顔だった!と仕事終わりに同僚と会話でもしてみようかな、と気まぐれに思った私。
その思いのままに私は手元の書類から目を離して、その転移者の顔を見て――――
待って、なんでこの人の顔ナスなの。
ちなみに後日、別の受付嬢のところにトマトが来たようです。