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貧しさの彼方から  作者: 此道一歩
9/9

父の汚名

年が変わり、奈々子は高校三年生の秋を迎えていた。彼女の大学も決まり、松島の家は静かに時間が流れていた。

 ここまで懸命に走り続けてきた明子の不安はほとんど解消され、幸せそうなたか子の表情を見るたびに、彼女はかつて「会長を頼みます」そう言ってこの世を去った本社社長の青野のことを思いだしていた。


 何故か、無性に墓前に報告したくなった彼女が、誰にも行き先を告げず、一時間ほどかけて彼のお墓に出向いたのは秋晴れの穏やかな日であった。

 ここ数カ月は、ほとんど彼女を悩ますような案件もなく全てが順調に進んでいることを墓前に報告した彼女は、晴れやかな思いで帰途に着いたのだが、立ち寄ったカフェで見知らぬ男から声をかけられた。


「初めまして、衆議院議員 武山正の秘書をいたしております藤本と申します。高島支配人にはお初にお目にかかります。ぜひご相談にのっていただきたいことがありまして、一度お時間をいただけないでしょうか?」

 明子は【衆議院議員武山正】と聞いて、一瞬驚いたが、冷静を装って顔を上げると

「どういったご用件でしょうか?」そう言って見つめた秘書の顔には見覚えがあった。

「ここでは何ですので、一度席を設けさせていただきたいのですが……」

「いいえ、私はそういったところへは出向きませんので、松島の家へお越しください。これが私の電話番号です」

 いつもであれば、このようなところでの話については「また機会があれば……」と言ってあしらうのであるが【衆議院議員武山正】と聞いて彼女には二〇年前の父の無念が(よみがえ)ってきた。


 明子がまだ一〇歳の頃、父親の長田芳樹は【衆議院議員武山正】の第一秘書をしていたのだが、建設業者からの収賄疑惑をかけられたまま命を絶ってしまった。


 報道によればその概要は次のとおりであった。


 衆議院議員武山正の地元では、国の大型工事の受注を巡って大手ゼネコンを入札に参加させるかどうかの議論がなされていた。

 この工事はもともと地域活性化対策として補正予算が組まれたもので、地元の最大手、青井建設は大手ゼネコンを参画させないため、【衆議院議員武山正】に働きかけていた。

 武山側でそれを仕切っていたのが、明子の父、ということになっていた。

 だが父はそのことを全く知らず、武山正も知らないと明言していた。

 この話は、結局大手に仕事を取られ、腹を立てた青井建設の社長が愚痴をこぼしたことから、マスコミにリークされ警察介入ということになったのであった。


 青井建設とのやり取りの資料の一部が父親のパソコンに残っていたこと、金を受け取りに来ていた人間は、第一秘書の使いと名乗っていたこと、受け渡しと同時に、第一秘書からお礼の電話が入っていたこと等、状況は父親にふりであったが、警察は事情聴取を終え、あまりに形が整いすぎていること、細工があまりにもお粗末であること等から、父親は白と思われていた。


 むしろ怪しいのは女遊びが激しくギャンブル好きの第二秘書ではないかと考えていた。

 ところがある日、父親が毒物を摂取し、自ら命を絶ってしまった。

 その毒物は、父親のパソコンから裏サイトで取引され購入されたもので、そのパソコンには父の遺書も残されていた。

 宅配業者からその毒物と思われる物品を受け取ったのが第二秘書、藤本健であったことから、彼への疑いは色濃くなったが、彼はそれの中身は知らないし、受け取った後に長田の机の上に置いたと証言しており、疑わしくはあったが何一つとして証拠はなく、『早く始末をつけろ』という上からの指示で、長田芳樹の死は自殺として処理されてしまった。

 その結果、青井建設からの収賄は明確にはならなかったが、世論としては父親の単独での犯行というイメージが強く残ってしまった。


 当時はマスコミに追いかけられ、家に帰ることもできず、母親の実家に身を寄せた明子親子は、母方の高島性を名乗り、影におびえながら日々を過ごした。

 そんな中でただ一人、この事件を追い続けているフリーの記者がいた。

 この記者、中村幸一は、若い頃、大きなミスを犯したところを長田に救ってもらったことがあり、それ以後彼を《師匠》と慕い、長田も義理堅いこの若者を気に入りとてもかわいがっていた。

 その中村からすれば、この長田に押し付けられた収賄容疑はあり得ない話であったし、何よりも長田が家族を残して自ら命を絶つこと等は絶対に信じられないことであった。

 彼は陰から明子親子を見守り続けたが、経済力のない彼には何もすることができず、何の恩返しもできない自分が情けなくて、それでもせめて長田芳樹の汚名だけは何とかして晴らしたい、そんな思いだけは持ち続けていた。

 久しぶりに秘書の藤本を尾行していた中村は、彼が明子に接触したことに驚き、彼が去った後、彼女に近づいた。


「お久しぶりです、と言っても覚えていないですか?」中村が微笑むと、どこか懐かしい笑顔に、明子は懸命に記憶をたどったが思いだせない。


「……」


「もう二〇年以上になりますからね、あなたはまだ小学生だった……」

(私の幼い頃を知っている人がいるはずないのに… 誰?)


「覚えていないですよね?」


「えっ、幸一さん?」自信なさそうに彼女が尋ねると


「えっ、名前が出てきましたか? 光栄です」彼は嬉しそうに微笑んだ。


「すごい、ほんとに二〇年ぶりですね……」明子も驚いていた。


「ご無沙汰してしまいまして、お母様が亡くなられたのも後から知りまして、申し訳ありませんでした」


「とんでもないです…… でもよくわかりましたねー」


「そりゃ、二〇年間ストーカーしていましたから……」


「えっー、ずっと見守っていてくれたんですか?」


「恥ずかしながら、見ていただけです。お母様が懸命に働いていても、私は何もしてあげられなかった。お父上の墓前に誓ったのに、二〇年経っても何の収穫もありません。顔を出せた義理ではないのですが、藤本と接触されたのを見まして、心配になりました」


「ずっーと、調べて下さっているんですか?」


「いくらかは食い扶持も稼いでいますから、できる範囲でということで理解して下さい。それに対した成果も得られていません」


「ほんとに申し訳ないです。どうかご自分の生活を大事になさって下さい」


「ありがとうございます。あの藤本が限りなく黒に近いのに、腹立たしい限りです。先日からふとしたことが気になって、武山議員に面会を申し入れているのですが、あの藤本に邪魔されて会うことができません。呪い殺してやりたいですよ」


「そんな…… 何を確認したいんですか?」


「いえ、あの事件の後、議員にお会いして、議員の思いを伺ったことがあったんですよ。その時、議員は『長田がそんなことするはずがない』って言いきったんですよ」


「そうなんですか……」


「それだったら遺族の今後は面倒見るのかって聞いたら、『人並みの生活ができるように支援はする』って言ったんですよ」


「だけど、それが実行されたのかどうか確認したくて…… それにお母様があんなに働いていたことを思うと、口から出まかせだったのかとも思うんですよ。あの議員については、今一つよくわからない所があって…… 何かその辺りが突破口にならないかと思っていたんです」


「それは絶対にいただいていないですよ…… 自信をもって言えます」


「やはりそうですよね…… 口先だけだったんですかね?」


「幸一さん、でももし、彼が指示していたのに、それが実行されていなかったとしたら、それは誰かが着服していたことになりますよね……」


「確かに、おっしゃる通りですね」


「私が調べてみます」


「お嬢さん、それは危険です。いまやあなたは松島にとっては欠かせない人、もしあなたに何かあれば、もうあなた一人の問題では済まなくなる。もっと慎重に検証しましょう」


「大丈夫です。まず幹事長の所へ行ってみます」


「お嬢さん、一人じゃだめですよ、必ず誰かを連れて……」


「ありがとうございます」


 その翌日、明子は幹事長にアポイントを取った。

 松嶋の支配人とあっては何ともしがたく、第一秘書は、最優先で調整を図り、その夜の八時に議員会館近くの会議室で会うことを約束した。


「お久しぶりです」


「いつぞやは総理の秘書が失礼をしたな」


「とんでもないです。幹事長に入っていただいたので松島も怒りは収まったようで何よりでした」


「それで、今日はどうしたのかね?」


「実は武山議員の第一秘書が接触してきました。その内に会うことになると思うのですが、少し調べさせていただいて気になることがございます」


「何かね?」


「二〇年近く前に、当時の秘書が収賄の容疑をかけられて亡くなっていますよね」


「昔の話だなー、もう二〇年か…… それがどうかしたのか?」


「当時、議員はその秘書の方は決してそのようなことをする人間ではないと明言されている記事が気になりまして……」


「うん、それがおかしいのか?」


「いえ、実は松島がふとしたことから、そのお嬢さんと懇意にしている記者から話を聞いていまして、議員は信じていると明言しておきながら、その後、遺族に対しては全く会ってもいないし、気にも留めていない…… その母親は朝から晩まで働き続けて、苦しい生活をしていたそうです。松嶋は、人として問題があると憤っておりまして、これが一年ほど前の話なのですが、もしそれが事実であれば、今回の支援はお断りせざるを得ないと考えております。一年ほど前と申しましても松島の頭の中にはかなり明確に残っているのではないかと心配しています。その場合、後から幹事長が動かれても難しいと思いますので、事前にそのことだけはご報告しておくべきかと考えましてお邪魔した次第でございます」


「その話はおかしいぞ、わしも当時、長田君の遺族の面倒はちゃんと見るようにと念を押しているし、彼がそんなことをないがしろにする人間でないことは私が一番よく知っている」


「お名前まで記憶されているのですか?」


「そりゃーね、当時は大変だったし、私も彼のことをよく知っていたが、決してそんなことをする人間でないことはよくわかっていた。ただ、当時の民自党は、内閣の支持率も低く、バタバタしていたから、あまり長引かせたくはなかったのだろうし、もし大きな事件に発展でもしたら命取りになりそうな危険もあったから、当時の幹事長の指示で幕引きを急いだのだろう」


「でも、その結果、秘書の方は汚名をきたままになっていますよね」


「そうなんだ、だからこそ、遺族への責任は免れない。当時はね、彼のためにとことんやって欲しかったよ、だけどね、私も当時は長いものに巻かれてしまったんだよ、ほんとに申し訳ないと思っている。ちょっと待ってくれるかね?」


「……」


「武山君に電話してくれ!」


「はい」秘書が対応した。


『武山君、二〇年前の長田君の事件なんだが、君は彼が亡くなった後、遺族に生活費を渡していたのは間違いないか?』


『幹事長、ちゃんとしましたよ、娘さんが大学を出るまで支援しましたよ。お礼状だっていただいています。何でしたらお見せしましょうか?』


『いや、それだけ聞くことができれば何も問題はない』


「聞いてのとおりだよ。彼が人生の中で一番大事にしている部分だよ」


「そうですか……」

 しばらく沈黙があったが、


「君は長田君のお嬢さんかね?」


「幹事長……」


「ほんとに申し訳なかったと思っている。長田君が汚名を晴らせないことももちろんだが、武田君の支援が君たちに届いていなかったのはとんでもないことだ。大変なご苦労をなさったんだろう。お詫びのしようがない」

 幹事長は目を赤くして深々と頭を下げた。


「幹事長、止めて下さい! 幹事長が頭をさげられるようなことではないです。それに、黙っていてすいませんでした。私はただ……」


「わかるよ、よくわかる。何とか収賄の汚名だけでも晴らしてあげたいのだが……」


「ありがとうございます」


「とりあえず、武山君に会ってみるかね? 彼は君が思っている以上に誠実な人間だよ」


「はい、是非そうさせて下さい」


「この件では、君の思いが最優先だよ、このことに関しては私も民自党の体裁は考えない。だから気がすむようにしてくれ!」


 その時だった。

「幹事長、武山議員です」彼がやって来た。


「入れてもいいかね?」


「……」明子は静かに頷いた。


「失礼します。あっ、お客様でしたか?」


「長田君の娘さんだ!」


「えっ、明子ちゃんなのか?」彼は信じられないといった表情で、目を見開いたまま彼女を覗き込んだ。


「初めまして、現在は母方の性を名乗っています。高島明子と申します」


「高島さんて、松島グループの?」


「そうだよ、松島の支配人だ」


「立派になって、お父さんも喜んでいるだろう」


「いいえ、まだ喜んではいないと思います。汚名を着せられたままでは、まだ成仏できていないと思っています」


「ほんとに申し訳なかったです。彼が自ら命を絶つなんて信じられなかった。でも、言い訳になってしまうけど、どんなに話しても警察の決定は覆らなかった。本当に申し訳なかったです」


「確認させていただきたいことがあります」


「先ほどの件ですよね、もしあなた方に生活費が届いていなかったのであれば、恐らく藤本しか考えられない。これを見ていただきたい。明細です。このようにお礼の手紙もいただいています」

 

 彼は数通の手紙を差し出したが、それは決して母の字ではなかった。

「私は決して言い逃れをするつもりはありません。藤本に全てを任せていた私の責任です。当時、警察は藤本を疑っていましたが、私にすればそれもあり得ないことで、あなたのお父上を陥れた犯人は近いところにはいても、決して内部の人間だとは思わなかった。ただ一人、記者の中に食らいついて来る人がいて、長田君がかわいがっていた若者で、彼も藤本を疑っていた。彼は『何故、遺族のもとへ足を運ばないんだ!』と詰め寄って来たが、当時はマスコミの追及が激しくて、君の母上からも、来ないで欲しいと言われて……」


「それは長田君の奥さんから直接言われたのかね?」


「いいえ、藤本から聞いたと思います」


「生活費は、もちろん現金で払っていたんだろうな!」


「はい、藤本が手渡ししていたはずです」


「限りなく黒に近いな……」


「未だに信じられません、しばらくお時間をいただけないでしょうか?」


「武田議員、私は援助のなかったことを責めているのではありません。ただ、何も手掛かりがなかった中で、ここをきっかけにして、切り崩していくことができるかもしれない、そう思っているだけなんです。しかし、真実が解っても、民自党や、次期幹事長候補と言われる武田議員のお立場を考えれば、決して公にはできないと思っています。それでも、もし犯人がはっきりするのであれば、せめてその人間だけは社会的に葬って、父の墓前に報告したい、そう思っています」


「支配人、そこまで考えていただいてほんとに申し訳ない。武田君、取り敢えず、藤本に正してみるしかないのか?」


「それしかないと思います」


 その翌日、地元から事務所へ帰って来た藤本は、武田が長田の娘に会ったということを聞くと、

「もう時効ですよ、先生の推察のとおりです。でもこんなこと公にできませんよ。わかっているんですか?」

 彼は開き直った。


「君が長田君を殺したのか?」


「先生、殺人に時効はないんですよ、そんなこと、仮にやっていたとして、やりましたっていう馬鹿がいますか?」


「もう君の顔は見たくない、止めてくれ」


「いいんですか? 未だに嗅ぎまわっている記者だっているんですよ、私を止めさせるのであれば、私にだって考えがありますよ」


「君は何年私に仕えているんだ、私がそんなことに屈すると思うのか!」


「次期幹事長ですよ、屈するでしょう」彼は意味ありげに薄ら笑いを浮かべ言葉を吐き捨てた。


 その翌日、幹事長と、明子の前で

「着服していたのは藤本に間違いありません、長田君を殺害したことは時効がないからと言って認めませんでしたが彼に間違いありません」


「やはりそうでしたか……」


「私は議員である前に人間失格です、あなたの母上が亡くなられていることさえ知らなかった。お詫びのしようがありません」


「後は、彼の処分を考えよう、下手すれば彼だって牙を向いてくるだろう」


「そうですね、後は先生方にご迷惑が掛からないようにしていただければ……」


「全て公表します。 もう辞職願も出してきました」


「先生!」


「やはりそうなるか?」


「幹事長…… 」明子が心配そうに見つめた。


「こういう人間なんだよ、元来なら彼を止めるところだが、どうにもならないだろう、あなた方への罪悪感から、彼はもう立っていられない状況だろう。欲望に負けることなく自分自身を見つめることのできる人間なんだよ……」


 その翌日、

「藤本君、数日後には記者会見で全てを明らかにするつもりだ。君が言うように殺人罪は時効がない。君も覚悟しておくんだな!」


「あなたは次の幹事長候補ですよ、みすみすそのチャンスを無駄にするんですか? そんな馬鹿なことはしないでしょっ。その手には載りませんよ!」


「君がそこまで愚かだとは思わなかったよ、私は昨日辞表を提出してきたよ」


「何ですって!」


「君はうわべだけだったんだな、何年も傍にいながら私という人間が解っていないようだ。人の道を踏み外した者に、国民の代表が務まるわけがない。長田君の遺族に辛い思いをさせてしまったのは、全てを君に任せた私の責任だ。私には辞表を出して、長田君の汚名を晴らし、彼を葬った者に報いをうけさせることでしか、彼の遺族に応える道はないと考えている」


「馬鹿な、何の得があるんですか!」


「君にはわからないだろう、いいんだ、君に理解してもらおうとは思わない」


「……」


「その内に再捜査も始まるはずだ、警察が世論に負けるまで私は絶対に緩めない」

 数日後、彼は記者会見で全てを明らかにし、収賄に関わっていない長田芳樹が自殺をするはずがないと付け加えた。

 このことによって長田芳樹の汚名は払しょくされたが、民自党への批判は想像を絶するものがあった。

 それを予期していた、明子は中村幸一に独占記事を依頼していた。

 彼は、この解明に党が受けるだろう批判をも顧みず、懸命に尽力してくれた幹事長のこと、そして潔く責任を取った武田のことを褒めたたえ、被害者である明子がいかに二人に感謝しているかということを訴え、記事には墓前に報告する明子の写真も掲載されていた。



 彼は最後にこう締めくくった。


 この事件を二〇年追ってきて、ようやく真実にたどり着いた。

 当時、長田さんの遺族は、マスコミに追いかけられ周囲の目にさらされ、苦悩の日々を送って来た。

 確かに藤本のような秘書を雇っていた武田議員に責任がないとは言えない。民自党を支える者として幹事長の責任もあるのだろう。

 ただ、我々は二〇年も前のこの事件に真摯に向き合い、遺族のやり場のない怒りから逃げることなく全容の解明に尽力したこの二人を誰が責めることができるのか、人の荒を探し、責めることは容易だが、このような議員に会ったのは初めてである。

 信頼できる国民の代表とは、まさにこのような人を言うのではないか」

 

 この記事の効果は絶大であった。世論は二人を称賛し、矛先は全て藤本に向いてしまい、彼は姿を消してしまった。


 警察もようやく重い腰を上げて再捜査に踏み出した。


 明子から報告を受けたたか子は、明子の長年背負ってきた思いが、洗い流されていくのを感じて、彼女もこれで恋愛をはじめることができるかもしれない、窓をたたく激しい雨音に耳を澄ませ、そう思って微笑んだ。


                            完


最後までお付き合いをいただいてありがとうございました。

感想でも、批判でも、何でも構いませんので、一言いただければ嬉しいです。


此道一歩のHPへも立ち寄ってください。

投稿していない物語もお楽しみいただけます。

https://www.irodoriippo.com 



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