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九百八十六生目 不穏

 グレンくんが大きく爪で切り裂かれ大きく吹き飛ぶ。

 イタ吉やダカシも距離を取り1撃離脱型に変更。

 私はイバラで邪魔をしつつ鞭剣ゼロエネミーの重い1撃を加えていく。


 私自身は下がってグレンくんに接近"ヒーリング"。

 さすがにレベルが自分よりも低いみんなは4×2連"ヒーリング"でぐんぐん治る。

 ただ生命力が9割減ってて出血もすごくかなり不安だったが。


「あ……ぐ……てて……!」

「本当に強い……刺しどころが悪かったら本当に死んでたよ。良く気絶しなかったね?」

「そこは、慣れたからね……!」


 グレンくんもそこそこ修羅場をくぐり抜けているんだろうなあ……

 勇者の剣ナイフを地面に突き立てているグレンくんはなんとか必死に立ち上がり始める。

 骨もやられているから魔法をひとつ変えて光魔法"イノスキュレイト"で修復。

 イバラで殴り続けイタ吉やダカシがスキを突いて斬っているがそれもここまで。


 再び空に炎が浮かび上がる。

 紫の炎の塊はイヤというほどその力を味わった。

 身体の1部でも火が移ると全身を焼くまで止まらないのだ。


 延焼という状態異常で私が全力で"リフレッシュ"をして敵の魔力に打ち勝つ必要がある。

 かなり大変なのでくらうのは避けたい。


「来るよ!」


 私の指示と共に一斉に皆四方八方に散る。

 グレンくんは……大丈夫ちゃんと動けている。

 離れると"ヒーリング"効率が著しく落ちて(エフェクト)の球をとばす形を変化させたほうが良いから少し切り替えに時間かかるんだよね。


 炎は……うわっ。

 グレンくん狙いだ!

 そりゃ弱っている相手に追撃するか!


 私達が四方八方に散ったのはあの炎を隅に誘導したいから。

 壁際に当たることで伸びる炎の犠牲範囲が下がる。

 さらにまとまっていないことによりうっかり全員食らうのを避ける。


「グレンくん!」

「うん!」


 グレンくんの方へと急激に加速して落ちる紫炎の塊。

 落下まで1秒もないが……

 そこは各々避け方がある。


 グレンくんは壁に足をかけ……

 そのまま蹴り(エフェクト)を纏って急加速!

 炎を背後に脱出した!


 本来は急襲の武技だが離脱にも使える。

 炎が床に触れると共に着地。

 迫りくる広がる炎から全力疾走で逃げる。


 駆け抜けてギリギリグレンくんの足裏を焼きそうになる炎。

 それでも火が移ること無く駆け抜けた。

 セーフ!


「そろそろ!」


 グレンくんは刃をそのまま身構える。

 そして大きく跳び……

 (エフェクト)を纏った刃が斬り裂く!


 火花が散り爪で勇者の剣が防がれる。

 たった片腕でだが……

 そこに私がイバラを伸ばす。


 イバラを爪がどんどん切り裂いていく。

 必死にこらえつつひたすら抑え……

 2つの影。


「こいつでー!」

「死ね、化物!!」


 イタ吉の尾刃とダカシの2剣が煌めく。

 それを塞ごうとする爪を私とグレンくんが抑え……

 大きく斬り裂く。


 今までの中でも最大の切り抜き。

 今のは明らかに手応えがあった。

 敵が大きく後ろへよろめく。


 火のエネルギーが全身を覆いだしそのまま空へと登っていく。

 今度は一体……?


「今度こそ倒せたよな……!」

「なんだ……? 死んだんじゃないのか?」

「はぁ、はぁ、まだ……?」

「燃え尽きる……?」


 イタ吉やグレンくんは手応えに自信アリ。

 グレンくんはヒザをつき荒く息をはく。

 私はその炎を見る目がどんどん険しくなってしまった。


 その炎は移動して行き……

 前ラキョウが座っていた椅子に。

 そのまま乗って……周りが(エフェクト)で輝き出す。


「あの椅子……まさか!?」

「グレンくん?」

「あの椅子から……魔王の力が! さっきまではラキョウが受け取っていたからかと思ったんだけれど……違う! ラキョウだけじゃない! あの椅子が魔王の力(・・・・・・・・・)だ!!」

「……え!?」


 なんだかよくわからないが……

 なにかしようとしているのなら止めたほうが良い。

 グレンくんから伝わる焦りでそれだけはわかった。


「なーるほど、あれって魔王のモンなんじゃねえか?」

「「え!?」」

「イタ吉、それって……」

「そのまんまだよ。魔王のもちものから魔王の力を操ったり引き出したりする……フツーのこったろ?」

「なるほど……あれが魔王の玉座だとしたら……まさか!」

「と、止める!」


 イタ吉の発言を検討する余裕はない。

 すぐに飛び鞭剣ゼロエネミーをそばに控えつつ敵の元へ――


「ウッ!?」


 ――割と距離あるのに弾かれた!?

 直線速度そのまま逆ベクトルの力が倍かかるような。

 とにかく行った速度でそのまま床へと叩きつけられる。


「あたた……!」

「おいおいローズ、どうした?」

「いきなり逆方向に飛んだように見えたが……弾かれたのか?」

「うん、それでわかった。あれはマズイ(・・・・・・)!」


 何が起きているのか流石にこの身で味わえばわかる。

 魔王が蘇ろうとしている!

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