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九百八十生目 変身

 ラキョウの身体を落下の勢いをのせてダカシが切り裂いた!


「ぐおおっ!?」

「手応えあり! 良しもう一回」


 ダカシは地面に落ちきる前に再度瞬間移動。

 ラキョウも瞬間移動し地面について苦しげに体制を崩す。

 やっ……やっと生命力5割いったかどうかか。


 ラキョウは怒りに顔を歪ませ低く力強く構える。


「クソが……クソガキどもめが! 調子に乗りやがって。良いだろう。より出力を上げてやる。魔王の力と俺の力、とくと味わえ!」

「や、やめろラキョウ! そんな状態でより力の解放なんてしたらお前が……うわっ!?」


 な……!

 さらに力の気配や行動力含む多量のエネルギーが膨れ上がっていく!?

 ここにきて力を抑えていただなんて!


 グレンくんが近づこうとして……凄まじい風圧に煽られる。

 正確にはラキョウのパワーが跳ね上がり過ぎてそれだけで押されたのだ。


「う、うおおおおおぉぉ!! ハァーハハハハハハハァー!!」

「ラキョウやめろ! 飲まれるぞ!」

「なんだかわからないが、止めたほうが賢明そうだ、な!」


 ダカシがかわりに歩みを進める。

 私も出来得る限り近づこう。

 ダカシは少し距離がある状態で後ろに剣を構え……悪魔の紋様を纏う。


「大人しくなれ、"魔獅子牙弾"!!」


 ダカシが前へ刃を振り抜くと同時に獅子のような(エフェクト)が飛び出す。

 昔の武技名に魔がついた。

 その変化はわかりやすく全身生まれた……まるで少し前のダカシみたいな獅子はその足で駆け出したのだ。


 ネコ科の瞬間的な速度はとんでもない。

 それが(エフェクト)にも反映されているのか圧力をものともせず瞬時に突っ込み襲いかかる。

 凄まじいエネルギーの勢いがラキョウの勢いと衝突し……


 大爆発!

 エネルギー同士のかち合いだから普通に白煙も残る。

 ラキョウは……


「ハーハハハハッハ!! 効かん効かんぞ!!」

「な、なんだと……!?」

「……あっ! ま、マズイこの感じは……」


 ダカシによる渾身の攻撃にもかかわらずラキョウは平然としていた。

 グレンくんがラキョウを見て何か気づいたようだが……

 私はイタ吉も気になる。


 イタ吉たちは倒れていた小イタ吉に手をかざしていてた。

 そして……傷が浅くなりパッと立ち上がる。


「よし、復活!」

「ってなんかその間にマズイことになってないか?」

「おいローズ! 俺たちはもう大丈夫だぜ!」

「う、うん」


 イタ吉たちが次々話すの若干まだ慣れない……が。

 それよりも確かにイタ吉は3匹とも復活か。

 ラキョウに集中できる。


 ラキョウは今だ凄まじい威圧で空中からも近づけやしない!

 それでも必死に押し込む……

 というか私にも何かラキョウのおかしさが分かるくらい現れてきた。


 ラキョウの全身からは凄まじい稲妻の(エフェクト)が立ちのぼりだしラキョウの肉体にすら降り注ぐ。

 ラキョウは高笑いはしているが新たな動きを見せないどころかだんだんと声が狂気じみてきている。

 さらにその目は……白目を向いていた。


「遅かった……ラキョウは魔王の力に……飲み込まれた!」

「……ええ!?」

「きっと皇帝の何かで防護を得て過信していたんだ。けれど魔王の力を個人に引き受けて平気で住むわけがない……単なる力じゃないんだ。魔王という意識の力なんだから……!」

「うお、オオオ!! オオォォォ!! グルオオアオオオオォォォ!!!」


 もはやその叫びに理性の色は見られない。

 ラキョウの身体周囲に奇妙な歪みが現れ……

 その歪みがラキョウすら飲み込む。


 そして正常に戻るとそこにいたのはラキョウの背格好をした何かだった。

 それは怪人とも呼ぶべきいびつな存在。

 両手から伸びた黒い獣じみた……もっと強くおぞましい爪が強い自己主張をしていた。


 全身は皮膚や服ではなく甲殻とでも言うべきものがまるで鎧のごとく覆っている。

 黒というより灰に近い色をベースに全身をおぞましく覆う。


 頭もまるで兜のよう。

 鬼のような形相と見えない瞳が生気のない強迫めいた力を感じさせる。

 ラキョウの周囲にある稲妻は収まり……


「グガオオオオォ!!」

「「うっ!?」」


 咆哮が凄まじい……!

 空気が風のように押し出され床に圧力とヒビが入る。

 私達にも凄まじい加圧により押し戻された。


 ほぼ同時に彼の身体の鎧隙間や目覗きの穴から紫の光が上がる。

 それはさきほどラキョウの皮膚から垣間見えていた光に似ている……

 だが炎のように燃え盛っているように見えた。


 力だ。

 圧倒的なエネルギーがそれを形成している。

 ……気づくと身体が震えていた。


「は、はは……マジでヤベェなこいつ、ぜってえここで倒そうぜ……!」

「こんなの外に放り出したらプレッシャーだけで生き物が潰れていく……!」

「クソが、ラキョウめ……! 俺に倒される前にわけわかんねー化物になっちまいやがった……!」

「みんな……! 勇者の俺が前に出る……! みんなはアレに確実な1手を!」


 グレンくんは……勇者はそれでも剣を手放さず相手へ突きつけた。

 

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