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九百七十二生目 転生

 やはりラキョウは魔王の力を取り込み魔王の力で攻撃している。

 その正体をつかめるのはグレンくんのみ。

 おみとおしくんメガネはしまってと。


「ラキョウ、お前は俺が勇者だから来たと、そう思っているの?」

「そうだとも。そうでなければ来るはずもあるまい」


 遠く離れたラキョウの動きに警戒。

 グレンくんはそのラキョウに勇者の剣を突きつける。


「確かに始まりはそうで、勇者の力がなければここまでこれなかった……けれど! 俺が勇者だから来たんじゃないって今なら言える! 俺は、良くしてくれるみんなを守りたい、この世界に居場所があったから護る、それだけの理由だ!」

「まったく、勇者だから綺麗事を並べれば良いものを私利私欲と言い切るか。しかも居場所だと……? キサマの居場所などキサマが勇者であるから確保されているにすぎない」

「それでも、俺は俺としてこの世界を救いたい! はあっ!」


 グレンくんが突きつけたナイフを振り抜くと剣の衝撃波が(エフェクト)となりラキョウを襲う!

 ラキョウはそれを何か振り弾く。

 (エフェクト)の爆発と共に土煙が吹き出た。


「グレンくん、今のは!?」

「なんだろう、あれ。吹き出るような……竜の爪みたいななにかが瞬間的に現れては消える……」


 爪……爪かあ。

 じゃあ動きとしては拳かな。

 それに似た動きを言われればしている気がする。


 よし拳の動きに気をつけよう。

 みんなも思う所があるらしく構えを少し変える。


「世界を救う、ね。俺も救ってほしいものだな」

「……なああんた」


 グレンくんが強く否定するかと思ったら剣を下げる。

 な……なんだろう?

 ダカシやイタ吉も困惑している。


「おい、危ないぞ!」

「どうしたグレン?」

「大丈夫。少し確かめたいことがあるんだ」

「……なんだ」


「ラキョウ……お前も(・・・)異世界転生者(・・・・・・)


 ……え?


「なんだ? 異世界転生者……? なんだそれは?」


 ダカシはひとり困惑している。

 私は別の意味で困惑している……


「ほーん」


 イタ吉はいつもどおりあまり興味がなさげ。

 そしてラキョウは……歯をむき出し笑った


「その概念を理解しているとは……キサマもか」

「えっ!?」


 グレンくんは静かに頷いた。


 グレンくんが……異世界転生者!?


 あの時……ラキョウの言葉に私以外の反応があった気がしたがグレンくんだったのか。

 え? グレンくん異世界転生者でラキョウも??


 え???


「まあ、細かな定義などは知らないが、俺は異世界転移者に当たるのだろうな。ここに来たのは10歳のときだ」

「異世界からの転移者……一応聞いておくが、地球(ジ・アース)でいいんだよな?」

「もちろん。太陽系第三惑星だ。俺がこの世界に飛ばされた理由などわからん。気づけばこのクソみたいな世界に落とされた。何も持たずにな」


 うわ……本当にあの地球じゃん。

 紫煙が揺れラキョウの姿がかき消えた!

 

「そこっ!」「おっと!」


 グレンくんとイタ吉が互いにカバーへ入る。

 ラキョウの姿はこつ然とイタ吉の背後に現れる。

 ただイタ吉は3体。


 小イタ吉とタイムラグなく繋がっているため即攻撃をそらせる。

 だが正体は見えないためかそれでもイタ吉の"クラッシュガード"が散る。

 グレンくんも反応して勇者の剣を伸ばし弾き飛ばした。


「入った!」


 グレンくんが嬉しそうに声を上げる。

 ……だが着地したラキョウの身体からすぐに傷が消え失せる。

 修復……いや過剰な生命力であの程度傷ですらないのか?


「なるほど、そちらも見えないのは厄介だな……」

「効いてない!?」

「大丈夫! 攻撃をどんどん重ねよう! ちょっと生命力お化けなだけ!」

「なぜ異世界転生者が帰ろうとするのを阻止する? いや、やはり感覚が違うのか。飛ばされたものと産み落とされたものでは、な」

「ぐっ!」


 今度は正面からグレンくんへ腕を振り抜く!

 空中と空中で互いに見えない刃でかちあっているらしく鍔迫り合い。

 ラキョウが蹴り飛ばして離れるとダカシが横入りして素早い蹴り飛ばし。


 ラキョウはグレンくんを蹴った反動で避けた。


「違いだなんてわからない……けれど、俺はこの世界で優しいみんなに出会えた。お前は――」

「言わせる気か!? 言葉も、金も、明日食うものすらなく10のガキが、まともな身分もないから保証すら受けれず、気づけば街の外に放り出される、そんな日々を!」

「そうか……」


 ここが……彼の源流か。

 だからラキョウはこの歳になっても未だにまだ故郷の地に戻りたくこの世界はどうなってもいい……むしろ壊したいと。

 わかりやすいあまりに真っ直ぐなほどの理由。


 苦しみに投げ込まれその苦しみを世界だと思ったがゆえの怒りだった。

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