九百六十八生目 地球
鱗の狼頭持ちである巨漢ホロウマンが雷の槍を大量にぶん投げてきた!
ラキョウの話も気になるが……まずこちらの対処を!
カエリラスは思ったよりも……おそらくここすらも一端だという組織の巨大さ。
世界のむこうがわ……迷宮世界から見える月が地獄と呼ばれる土地という話。
今私達がいる場所はその地獄ということ。
アンデッドが強く多いのはだいたいそのせいだったのかな……
そしてなぜ地獄がここにあるかというと地形を上書きしたから……
そしてカエリラスはこの地全てを地獄に置き換える。
カエリラスは地獄にすら連携を取るほどの大きな組織だったらしい。
そしていまなんらかの方法でラキョウは魔王の力の一端を手に入れている。
復活はまだだが……復活したらどれほどの事態になるのか。
とりあえず雷の槍をしのぐ!
「うわおちょっ!?」
「危ない!」
「チッ!」
「なんとかここで!」
イタ吉たちが乱れるように避け。
私はゼロエネミーを大盾化して出来得る限り雷撃を吸い取りみんなを防御。
ダカシがどうしても避けきれず雷撃の衝撃を散らすがグレンくんが急いで駆けつけ残りを打ち払った。
一旦落ち着いたか……
「まったく、それほどの実力をもちながら我々に歯向かうとはもったいない、どうだ? 我々の仲間になる気は?」
「「ない!」」
「聞いてみただけではあるが……なんともつまらん返事だ」
「それで結構! なぜお前が地上を地獄に変えたいかわからないが、勇者として、俺として、絶対にやらせるわけにはいかない!」
グレンくんが鋭い切り込みで雷の槍を一通り落とす。
そのまま小さな悪魔……スピダルへ飛び上がってから落ち斬りつける!
見えなくとも危機を察したのが踊りをやめ慌ててスピダルは離れる。
地面に思いっきり見えない刃が叩きつけられ伸びていたのかスピダルの真横まで床が斬りつけられさらに慌てて逃げていった。
「なるほど、やる理由か。それに関しては簡単だな。我々は地獄の一部と協力しているのは気づいたな? 契約だ。私はこれを果たして、私の本来の場所……魔法もアンデッドもいない、地球へと帰る」
「「……ん?」」
なんだ今の言葉の違和感。
聞き覚えがあり聞き馴染みのない言葉。
地球といえば普通はこの今いる惑星を指す。
でも今のは……英単語では。
ジ・アース。
そう聞こえたような。
「ああ? なんだ? 今の単語? 翻訳されてなかったぞ?」
そんなことつゆもしらずイタ吉が困惑する。
というかやっぱりか!
困惑は一瞬ですぐに跳ぶとそこにバファゴトが突っ込んできた。
ダカシはホロウマンの槍の痛みを引きずりつつもバファゴトの後を追う。
あの牛はダカシに任せよう。
スピダルはどこへ逃げた……いた!
めちゃくちゃ入り口近くにいる!
あそこまで逃げていたのか。
「キサマらに分かってもらおうと思ってなどいない。ただ俺は使える手は全て使って、帰るべき場所に帰る。それだけだ」
「ぐっ……! よくわからんがどっかに帰るだのなんだのに、そんなことにこちらを巻き込むな! それに地獄も巻き込まれて迷惑じゃないのか!?」
「地獄は遥か昔の隔離所でもある。現世で暴れたいやつらのな。それに向こうにも政治があるらしい。派閥など知らんが、我々カエリラスと協力している相手は魔王の復活や地獄を地上へ展開することに積極的でな。この城はそのために提供された」
ダカシが雷の槍が飛来するのを避け駆けてからバファゴトに飛びつく。
獅子特有のしなやかな筋肉とバファゴト牛らしい盛られた筋肉がぶつかりあい弾きあう。
……うっ! スピダルが遠くで悪魔的ダンスと共に空へ魔力が集まっている!
急いで迫る。
雷の槍は大盾ゼロエネミーで防ぎ……
火魔法を準備!
「まったく、最悪だな……! その地獄のやつらも、とんでもない迷惑だぜ……! 冒険するのはいいが、勝手な引っ越しは勘弁してほしいぜ」
「わからんだろうな、いつの間にか元いた地から別の地にいることは……延々とまとわりつく、この世界から外れていることだけの感覚は……」
今の……まるで社会からのハジキ者みたいな言葉だったが。
ラキョウのアレは違う。
もっと違う意味が聞き取れる。
まさかラキョウは……おっと!
スピダルの近くに来れば雨雲が産み出されていた。
それいけ! "フレイムボール"!
青い火たちが雨雲とぶつかり爆発!
魔力の塊同士だからそりゃそうなるよね。
私の方の威力を見誤っていたスピダルは地団駄を踏んで……
「サポートありがとう!」
横からグレンくんが剣を振り抜いた!
そのまま空へ打ち上がり……
イタ吉が私のイバラを伝って跳ね上がって上下にスピダルとすれ違う。
次の瞬間にはスピダルに大量の切り裂き傷が光で輝いた!




