九百六十七生目 上書
カエリラスのラキョウ。
そして彼が出したアンデッド悪魔4体。
ラキョウが語るのは……この土地が何か融合したかのような見た目と関係が?
「帝都と別の世界が融合しているか、か。なるほどいい観察眼だ。当たらずも遠からず。正確には上書きだ」
「世界の……上書き?」
「この土地に我らが城付近を呼び出し、書き足したのだ」
「んなっ……!?」
そんな大規模なことどうやって!?
とりあえずろロピエールにイバラで"猫舌打ち"!
イバラの先が光で別れビシバシとロピエールの細い身体に叩きつけていく。
「そもそも我らが城……この土地がどこにあったものか知っているか? 知らないだろうな。この土地は、2つ目の月にある」
「2つ目の月……? あの迷宮から見える?」
「そうだ。だから我々は旧き月の神と契約し召喚獣とした。あそこは一般的に言うところの……地獄に当たるのだろうな。つまりここは、地獄の一部を切り抜き、現世を塗り替えている。愉快だと思わないか?」
ロピエールが攻め込んできた!
一気に下がるがロピエールの両手両足が光をまとい追撃の構え。
私の前に小イタ吉が割り込む。
途端にロピエールがキラキラな光を撒き散らしながらラッシュコンボをかける。
だが私に当たらず小イタ吉が見事に空振らせていた。
当然そんなスキにイタ吉が尾の刃で斬り込んで裂く!
「何が愉快なんだ! この世を地獄に変える気か!」
「なんだ、よくわかっているじゃないか勇者」
「え……!?」
イタ吉に続いてグレンくんも斬り込み悪魔の目に見えない刃が突き刺さる。
見えない勇者の剣からあたたかな光が送り込まれ……
爆発した!
ロピエールは悪魔の目を失いそのまま倒れ込む。
1体目!
にしても今のラキョウの言葉って……
「そう、変えるのさ、この地を地獄へと。文字通りな。上書きをする! そのために帝都で実験したがうまく行ってよかったよ」
「どうやって、そんなことを……!」
「そう! それには絶大な力がいる……あっ……まさか」
「気づいたようだな、イバラの女。そこに魔王の力を利用している。地獄とコンタクトをとれているのも、我々カエリラスが魔王の力を扱えるからだ」
迷宮から見える月のうちひとつが地獄とかいう話ですら胡散臭いのにここにきて魔王の力で現世をそれで塗り替えようとか……
もはやめちゃくちゃすぎる。
雷の槍が飛んできたのを盾ゼロエネミーでそらす。
今のは……
ホロウマンの力か!
全身を鱗で覆う巨漢。
頭部の狼部分は唾液をたらしこちらを獲物として見据えていた。
アイツも厄介だけれど……
コウモリ翼を持つさっきからこそこそ動いている小さめのアイツ。
こちらの破壊力を下げる……おそらく雨みたいな魔法を使うはず。
わりと高速でランダムじみた軌道をとり尾を刺してこようとするのでやりづりい……
「今度はこの小さいのを! ……魔王の力、まだ復活していないのに既に使用を!?」
「なんだ? キサマら、こちらを魔王の復活の仕方も力の元もそれらの使い方もわからぬ烏合の衆とでも思っていたのか? それは良い、まさにこちらの思い描き用意したプラン通りだ」
「う、うぐ……」
予想は……していた。
けれどそれを言ったところで負け惜しみにしかならないな。
それをラキョウもわかっているのか私を気にせず話し続ける。
「キサマらに馬鹿正直に全て委細を話すつもりなどないが……そうだな。1つ言えることは、キサマらが思うより遥かに、カエリラスは巨大だ。国を越え、星を越え、世界を越えての組織、それこそが我々カエリラスであり、俺だ」
「な、なんでそんなことに……! なんで魔王を復活させたがる!? 俺やアカネみたいなやつを、どうして出したがる!?」
「黒いやつ、良い質問だ。だが同時にそれへ答えることは困難を極める。なぜなら、我々カエリラスはそれぞれ考え、目的があり動く組織。破滅と、終わりの始まりこそが望ましい結果へ導かれる者など、それほど掃いて捨てるほどいるというだけ。いやむしろ……」
ラキョウはひと呼吸おき。
その攻撃的なほどの笑顔を見せた。
「我々が、キサマらを掃いて捨てるためにいるということだ」
邪気がラキョウから放たれ暴風のように私達へ打ち付ける。
なんのこれしき……!
「「グッ!?」」
勢いに耐え……きる。
だが違和感はすぐに襲いかかってきた。
アンデッドたちの邪気が……強さの気配が増している!
ダカシがバファゴトに押し切られ後ろへ下がらされる。
スピダルは奇妙な光つきダンスを踊りだし。
ホロウマンは両手に雷の槍を持ち……危ない!
大量にこちらへぶん投げてきた!




