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九百六十五生目 未来

 声が筒を通して聞こえる……

 この声はもちろん。


「ラキョウ! 首を洗って待っていろ!」

『ハハハ、存分に待たせてもらうさ。ここまでたどり着けたらだがね』


 向こうから金属が閉まるような音。

 どうやら連絡を切ったらしい。

 まったく……道中も罠を仕掛けておく気まんまんだ。


「みんな、今のうちに回復と補助のかけなおしを。敵たちがおそらくまだ来る!」

「まったく……休ませて欲しいよな」

行動力(エネルギー)がからっけつに……早く治さないと」

「絶対倒して帰るぞ。アカネに会うんだ」


 絶妙にフラグじみた発言をダカシがしているが回復は早くしておかないと。

 というわけで。

 みんなで準備を整えた。





 扉から出て駆けてゆく。

 少しいけば早速という感じでカエリラス兵たちが待ち構えていた。


「やっちまえ!」

「「うおおおお!!」」


 召喚獣も出してきて向こうも全力だが……


「「邪魔だ!!」」

「「ぐわぁーー!?」」


 もはや私達を止めるには足りない。

 蹴散らしていく。

 階段を登ると今度はアンデッドたち大量に囲まれる。


 この部屋には先程のような機材たちはない。

 さっきの階層にアンデッドが配置されてなかったのを見るに互いに不可侵であることを条件に仲間としていたのだろう。


「アンデッドなら!」

「容赦はいらないな!」


 グレンくんとダカシが突っ込み切り裂いていく。

 イタ吉は小イタ吉と共に撹乱。

 私はみんなのうち漏らしをきっちりトドメ刺していく。


 グレンくんは目に見えてこの場での成長をしていた。

 これが勇者の成長力なのか。

 この城内だけで大きくレベルアップしている。


 私の3年間に彼が勇者として活動し始めて急いで追いつかれそうだ。

 "進化"差はあるけれどね。

 それでもただひたすらに斬る能力は……


 イタ吉はいわずもがなトランスを終えたいていの相手はイタ吉たちに攻撃を与えることすら叶わず。

 もともと耐久性が低いからそっちのほうが良いよね。

 ダカシは……ここにきて平行線だ。


 もともと強いのとあの身体に悪魔の力も扱えるようになったのとで他と渡り合っている。

 それに感情面ではこの中で最も熱い。 それでもたせている。


 だが……伸びが薄い。

 ダカシがあれ以上強くなるには心の折り合いもそうだが……

 肉体が元の形に近くならないと難しいのかもしれない。


 だが彼のレベルがだいぶ頭打ちで困難に打ち克つために踏み込める時がきたら……

 アカネをたすけられた今ならきっとやってくれるはずだ。






 かなり疲れた……

 私達の傷は癒やしつつ行軍したもののとにかく数が多くタフネス。

 狭い廊下にアンデッドを敷き詰めるな!


 階段をのぼりきった先に扉。

 豪華に飾られながらも重々しく存在感の有る扉。


「感じるか……?」

「うん、この先から強大な力を感じる……」

「なんなんだ、この邪悪な感覚は……!」


 イタ吉に私が反応していたらグレンくんが歯をくいしばり扉の向こう側を見つめている。


「勇者の直感ってやつか……?」

「えっ、ダカシはわからないの!?」

「いや、俺も……というかグレン以外わかってねえぞ。強敵の気配はするけどな」

「そうなのか……じゃあ、俺だけが……勇者だけがわかるのかもしれない。とてつもなく邪悪な……もしかしたら魔王の気配かもしれない……!」


 魔王と聞いたときに全員の顔がこわばる。

 それもそうだ。

 魔王がもう復活してしまったのかと思った。


 ただグレンくんは首を横にふる。


「あ、いや……魔王はまだいない。ただ魔王の気配だけは力強く感じる。おそらく……もう時が近いんだ」

「それはヤベェな……」

「ちっ、急ぐぞ! ここでアイツを止める! もう誰も……犠牲にしない!」


 ダカシの目は明らかに前を見つめていた。

 それは扉の向こう側を見据えているだけではない。

 そのもっと先の未来も。


 ダカシは復讐者だ。

 復讐者ゆえにここまでこれて……

 そして新たな復讐者が生まれる事態を誰よりも止めたがっている。そういう声色だった。


 その想いと共に今重い扉を開いた。





 扉の向こう側。

 そこは今までの中でも広い空間だった。

 空間魔法の気配はないから元からこのような状態か。


 黒の根が伸びるかのように部屋のあちこちから中央奥の壁に集中していた。

 遥か高みに座りこちらを見下ろすもの。

 怨念アンデッドの如き邪悪な気配を漂わせる残りのカエリラス。


 一気にみんなで近くまで駆け寄る。


「ラキョウ! 観念しろ、後はお前が倒れれば終わりだ! 魔王は復活しない!!」

「ハハハ……! 実に面白い! もう終わった気でいるとは、実に傲慢! 実に勇者らしい」


 グレンくんが勇者の剣であるナイフを空高い相手に突きつけた。

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